名南将棋大会ブログ 名古屋

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20171231今日の一手(その625); 振り飛車の寝技

2017-12-31 | 今日の一手

20171231今日の一手

10月7日の名南将棋大会から、HさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
香と銀歩歩の交換で後手に持ち歩があるので歩はカウントしませんが竜を作っています。先手の駒得です。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は持ち駒角銀で2枚。
後手の攻め駒は69飛と持ち駒香香で3枚ですが、と金を作って4枚目の攻め駒を作ろうとしたところです。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として

先手は駒得だけれど後手に攻められてどうしようか、と悩むところ。後手玉に手がついていないので寄せ合いは負け、というのが普通なのですが、後手の持ち駒香2枚は横から攻めるには不向きです。だから寄せ合いでも指せそうな感じです。
駒得なので持久戦にしたいのですが、と金で攻められると金銀1枚と交換になりそう。すると駒得が消えます。

駒得なので長期戦、寄せ合いで1手勝ちを目指す、どちらも課題がありますが、この二つの選択です。
単に玉を固めて待つ、ではまずいでしょう。もっと駒得を目指す、というのも方向が違います。


△ 普通に寄せ合いなら81竜

59歩成に64角

58と56銀59飛成54歩57と

59竜の利きが遠く53まで通るので53歩成47と が自信なし。

途中58と に66銀ならこれを避けられるのですが、63香

を打たれます。73角成66香45桂44角54歩

後手は52香は打ちたくないので、25歩53歩成同金同桂成26歩同銀同角24歩

こういう形勢不明の寄せ合いです。


△か× 64角を先にすると

65桂56銀68飛成65銀67歩成

今度は6筋で竜の縦の利きが利いてきます。手順前後するとちょっと困っているみたいです。


△か× 82竜と2段目に入ると

59歩成64角58と56銀68竜54歩52歩

2段目のほうが厳しく見えるのですが、歩を受けられるとパッとしません。


△か× 37桂と使って

59歩成45桂44角54歩52香

後手が歩を入手するのが間に合わないから香を使わせて、まあまあともいえるのですが25歩と攻められる筋が残って忙しいです。


△ 54歩から

65桂56銀68飛成65銀

後手は歩を入手して52歩の余地を作る攻め方を選び、先手は桂を取ります。67歩成53歩成同金54歩52金82竜

これは先手の調子が良さそうです。

ということはやはり後手は59歩成の方か。

53歩成同金82竜

これで41銀狙いです。この寄せ合いは互角に見えます。


○ 実戦は35歩

後手の銀冠は金2枚が横に並んでいるので横からの攻めのほうが強いのです。だから上から(小びんというべきか)攻めてみました。同時に78角を狙っています。だから67歩成と捨てて、67同歩59歩成34歩同銀35歩同銀62角

両取りで好調のようですが、37歩同金寄に36香が強打。36同銀同銀同金58と

73角成(34桂狙い)34歩35歩

うまく攻めているように見えるのですが、手を抜いて57と34歩44角45歩に47銀

で明らかな寄せ合い負けでした。

途中35歩がぬるかったので81竜57と23香

ならば難しい寄せ合いでした。

また、もう少し戻って62角を打たないで36歩ならば穏やかで

44銀34銀58と56銀59竜37角

駒得が広がったので手堅く受けに回って長期戦です。68竜に45歩57と46角という調子。先手よしでしょう。


○ 88竜として

59歩成に78銀

駒得を狙うわけではなくて、後手の飛を取って攻めを遅らせます。うまくいったようですが、85香87歩同香成同竜79飛成

香を犠牲にして逃げられました。それでも97角で死んでいるようですが、86歩77竜65桂

竜の取り合いでは投資した角銀が遊んで、取られてしまいます。代わりに桂をもらうわけですが、うまくはないです。

78銀がまずければ78竜

58と に69竜同と64角

これなら と金がそっぽに行ったわけで、寄せ合いに行って勝ちそうです。



☆ まとめ

横から寄せ合いに行くなら、81竜か82竜か64角か。この比較は難しいのですが、間違った手を選ぶと負けてしまいそうです。どうやら81竜が正しいようなのですが、互角の寄せ合いでした。
もう少し工夫して、54歩~53歩成同金82竜ならばこれも互角です。

実戦の35歩はさすが。Kさんの経験が生きています。金の位置の違いから上から攻めるほうが厳しいと考えました。ただし後手に強気に応じられると危なくて、嫌味をつけながらゆっくり指す指し方が必要でした。

88竜から78竜、というのはかなり気が付きにくいのですが、69飛が生なのでいじめる指し方がありました。これならはっきり先手有利になります。

こういうのが振り飛車を指す難しさなのですが、居飛車側に戦法の選択権があり、その選択によって振り飛車の指し方が変わるのです。
さばく振り飛車、攻める振り飛車、粘る振り飛車、これらすべてを使いこなせないと勝ち続けられません。(それが私が振り飛車を指しこなせない理由なのですが。)現代なら久保先生がさばく振り飛車の代表かもしれませんが、粘って指している将棋も多いです。大山先生が粘る振り飛車と思ってしまうかもしれませんが、軽くさばく将棋や強引に攻める将棋もあります。1つだけマスターするのも大変ですが、それだけで勝てるわけでもない、というのが難しい。よく言えば奥深い。
問題図では粘る振り飛車でないと勝ちにくいです。駒得で条件が良いようなのですが、寄せ合いではなかなか1手勝ちが見えてきませんでした。


今年最後の問題はいろいろ考えさせるものでした。来年もよろしくお願いします。


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