名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

20170904今日の一手(その565); 駒損でも主張を作る(追記あり)

2017-09-04 | 今日の一手

20170904今日の一手

7月8日の名南将棋大会から、KさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは同程度。美濃囲いのほうが少し深いですが。
先手の攻め駒は86角59飛で2枚。
後手の攻め駒は78銀1枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
後手が金取りに銀を打ちこんで技をかけに来たところです。後手を持ったらかなり不安に思うところですが。後手の狙いは金を逃げて87銀成で角が取れます。これは四手角に出てくる嫌な筋ですね。
角を取らせるか、避けるか、大きな方針は2つですが、駒損になりそうなので他の主張を作っておきます。つまり玉の堅さか攻め駒の枚数です。


× 実戦は68金と引いて

87銀成89飛86成銀同飛82飛

まあ妥当な手順でしょう。角銀交換で先手の駒損です。ここから71銀83飛72銀73飛81銀成

銀二枚を投資して桂馬を取っただけです。一応は二枚換えですが、この二枚の銀が働くとも思えません。以下は79角58金寄(58金上で頑張るべきか)46角成84飛83歩

飛車も引くしかなく、どんどん差が開いてしまいました。

71銀よりは83歩のほうが軽いのですが

83同飛72銀に85歩

73飛と逃げてもらえれば1枚節約できました。けれどこれで飛交換では自信なしです。


× 57金と逃げても

68金とほとんど同じです。


○ しっかり58銀と投入して

87銀成89飛86成銀同飛82飛

と同じように進んだら、駒損でも先手玉が堅いですね。ならば軽く75歩同歩85歩同歩同飛

と飛をさばくことができます。これなら良い勝負でしょう。

(コメントをいただきましたので補足します。)
まず、58銀に67銀成

と金を取られるのは、67同銀68金57飛67金同飛56歩65桂

これは86角を取られず、67金がさばけた、という展開ですから、先手玉が薄くなっているとはいえ歓迎です。(確かに気になる変化ですが、まあ大丈夫だろうと思っていました。書いておけばよかったです。)

87銀成以下の変化ですが、この図から

75歩同歩85歩に73桂

ではないか、というご指摘でした。73桂では93桂も難しそうです。1歩あれば74歩ですが歩切れです。74銀85歩89飛

ここで51角と打たれたら、確かに先手が悪いです。実戦では打ちにくいのではないか、ということと、打たれても85桂から暴れられる(だから打ちにくい)ので、良い勝負ではないかと。

それば気になるのならば75歩同歩に76歩

とゆっくり指すのでしょう。

この変化は角銀交換ですから、後手が悪くはないです。でも先手としては指せないことはないという感じです。


△ かなりひねって58金と受けて

87銀成89飛86成銀同飛82飛47銀打

と駒損でもしっかり受けて待っておくこともできます。これで良いわけでもないですが、後手としては悩ましいです。


× 角を使うなら65歩で

67銀成64角77成銀53銀

本当は91角成としたいのですが、駒損で65飛とさばかれてしまいます。以下は92飛42銀成同金53金同金同角成63金

駒損がひどいので攻めていても自信なしです。

また、後手としては桂馬を取らずに68成銀として

57飛64飛同歩56金

で寄せ合いにするのもあります。


○ 65桂と跳ねてみると

65同歩は53銀61飛42銀成同金77金

で銀取りと53金を見て先手有利です。

65桂に87銀成は

53銀61飛64角

と逃げてしまえば87銀成が空振りに終わります。

65桂に同銀は

65同歩67銀成84角

で91角成と53銀をみてまあまあ指せます。

65桂に67銀成は

53銀61飛64銀成

で65銀同歩くらい。桂損だけなので攻め筋(53成銀や54歩)があれば悪くはないです。


☆ まとめ
振り飛車だから(玉が遠いから)ということがあるのですが、桂損くらいなら攻め筋があればなんとかなる場合もあります。
65歩では銀桂損で自信なし。
65桂は桂損くらいで攻め続けることができます。

受けに回るなら、銀が入手できることを見越して、銀を打って守っておきます。
玉の堅さに差があれば、角銀交換でも飛を交換できるなら十分指せるでしょう。これは1対1の交換なので攻めや受けに使える駒の数は減りません。


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大山将棋研究(631);三間飛... | トップ | 大山将棋研究(632);三間飛... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ikecchi)
2017-09-05 06:55:46
いつも楽しみに見ております。
ひとつ気になるところがあるのですが、58銀の変化で、87銀成89飛86成銀同飛82飛75歩同歩85歩の局面では73桂と指されると飛車交換に持ち込めないように思えます。85歩とせずに72歩と垂らすくらいでは先手自信ないです。
また筋は悪いですが、58銀に67銀成同銀68金57飛67金同飛56歩のような手もイヤなところです。
58銀は先手難局で、この局面は65桂しかないのではないでしょうか。
補足 (関)
2017-09-06 06:46:16
ikecchiさん、コメントありがとうございます。確かに58銀は先手難局なのですが、実戦的に指せないこともない、というくらいではないかと思います。
本文に補足しました。
Unknown (ikecchi)
2017-09-07 08:25:06
67銀成・87銀成どちらの変化も納得のいく補足解説をしていただきありがとうございます。
87銀成の変化は85歩に73桂がピッタリに見えましたが、74銀と指しておけば実戦的にはまだ難しい将棋ですね。本当に勉強になりました。
Unknown (関)
2017-09-08 05:58:49
ikecchiさん、疑問に思うことがあれば遠慮なくコメントをください。とてもありがたいです。

コメントを投稿

今日の一手」カテゴリの最新記事