名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(314); 三間飛車に中央位取り

2016-10-21 | 大山将棋研究
昭和51年11月、有吉道夫先生と第26期王将戦です。


大山先生の後手三間飛車、有吉先生は急戦のようですが、本当かな?

大山先生は手堅く向い飛車に。54歩と突いていないので少し攻めにくい意味はありますが、今ではというか昭和の終わりごろには定跡化されています。37桂と跳ねて、45歩同歩55歩~45桂~37銀~46銀という攻め方です。

変化されて有吉先生はつい位取りに。こっちのほうが棋風なのです。

ただ、これは左右どっちつかずの感じです。持久戦なら46歩36歩は突いていないほうが良いし、攻めるなら67金の形が反撃に対応していない。

で、悩みつつ48飛~38飛と手待ちのような指し方です。それを見て大山先生のほうから攻めかかります。

35歩を無視して香を走ります。普通は18歩で何でもないのですが、すると35歩で同飛としにくいという寸法です。

17に歩を謝ったら強攻です。

有吉先生は端を受けられないので反撃。

飛車を切って両取り

先が長いので端折りますが、有吉先生が先に桂香を取っているけど早い攻めもないのでだんだん追いつかれるという展開です。

大山先生がと金作りを目指せば

有吉先生は馬の利きで と金の活用を阻止します。ほぼ互角。

問題はここで桂を使ったこと。馬の利きが消えたので

87香成から金香交換に。でもすぐに寄る形でもありません。

先手陣も飛車には強いです。

ここが勝負の分かれ目、端攻めです。87玉の形なのに反動が怖くないかと思うところなんですが。

端はすぐには破れません。

かなり投入して金香交換ではつまらなかったです。97の桂馬がなければよいのですが。

大山先生の飛車が手に乗って働きだし

84歩の交換には香を打ち、田楽刺しですが

角は取らないほうが手堅いようです。大山先生が有利を拡大しています。

あとは2枚の竜を使いつつ攻めます。

金を交換し竜を潜る、もとは58にいた香を取ろうということでした。

馬を引かれれば馬を攻めます。

これでさらに駒得。後手陣がしっかりしているので、ゆっくり駒得しながら攻めればよいだけです。

投了図。

こういうじりじりした将棋、私は苦手なので有吉先生のように攻めてしまい よく墓穴を掘ってしまいます。ゆっくりでもいいから、右から と金で攻めるような形にしなければ勝てないのでしょう。端攻めが失敗して終わりました。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:有吉道夫8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二飛(82)
7 2五歩(26)
8 3三角(22)
9 6八玉(59)
10 4二銀(31)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 3六歩(37)
14 7二玉(62)
15 5八金(49)
16 8二玉(72)
17 5六歩(57)
18 7二銀(71)
19 4六歩(47)
20 2二飛(32)
21 5五歩(56)
22 4三銀(42)
23 5七銀(48)
24 5二金(41)
25 5六銀(57)
26 6四歩(63)
27 9六歩(97)
28 9四歩(93)
29 6八銀(79)
30 7四歩(73)
31 6六歩(67)
32 6三金(52)
33 6五歩(66)
34 同 歩(64)
35 同 銀(56)
36 6四歩打
37 5六銀(65)
38 1四歩(13)
39 1六歩(17)
40 5二飛(22)
41 6七金(58)
42 5四歩(53)
43 同 歩(55)
44 同 銀(43)
45 5五歩打
46 4三銀(54)
47 4八飛(28)
48 1三香(11)
49 3八飛(48)
50 1五歩(14)
51 同 歩(16)
52 1二飛(52)
53 3五歩(36)
54 1五香(13)
55 3四歩(35)
56 5一角(33)
57 1七歩打
58 同 香成(15)
59 同 香(19)
60 1六歩打
61 3三歩成(34)
62 同 角(51)
63 1三歩打
64 同 飛(12)
65 3三飛成(38)
66 同 桂(21)
67 2二角打
68 1二飛(13)
69 3三角成(22)
70 5二銀(43)
71 4五歩(46)
72 3九飛打
73 2三馬(33)
74 1一飛(12)
75 4四歩(45)
76 1七歩成(16)
77 5四歩(55)
78 2一飛(11)
79 1四馬(23)
80 8四香打
81 7九金(69)
82 5五歩打
83 同 角(88)
84 5八歩打
85 1七桂(29)
86 5九歩成(58)
87 2四歩(25)
88 5七歩打
89 同 金(67)
90 5四金(63)
91 7七角(55)
92 5五歩打
93 6七銀(56)
94 4四金(54)
95 2五桂(17)
96 6九と(59)
97 同 金(79)
98 8七香成(84)
99 同 玉(78)
100 6九飛成(39)
101 7九香打
102 1九龍(69)
103 1五歩打
104 1一飛(21)
105 1三桂成(25)
106 6三銀(52)
107 5九歩打
108 3一飛(11)
109 3二歩打
110 5一飛(31)
111 9五歩(96)
112 同 歩(94)
113 9二歩打
114 同 香(91)
115 9三歩打
116 同 香(92)
117 9四歩打
118 同 香(93)
119 8六桂打
120 9三金打
121 9四桂(86)
122 同 金(93)
123 9五香(99)
124 8四金(94)
125 8五歩打
126 同 金(84)
127 9九香打
128 9三歩打
129 9七桂(89)
130 8四金(85)
131 8五歩打
132 9五金(84)
133 同 角(77)
134 5三飛(51)
135 6六金(57)
136 2八龍(19)
137 5八香打
138 3三飛(53)
139 8四歩(85)
140 同 歩(83)
141 同 角(95)
142 8三香打
143 8五歩打
144 3七飛成(33)
145 9五角(84)
146 9四歩(93)
147 7七角(95)
148 2六龍(28)
149 8六金打
150 6五歩(64)
151 同 金(66)
152 7三桂(81)
153 5五金(65)
154 6六歩打
155 7八銀(67)
156 5五金(44)
157 同 香(58)
158 5六龍(26)
159 5八馬(14)
160 5五龍(56)
161 4七歩打
162 5六香打
163 6九馬(58)
164 5八歩打
165 同 歩(59)
166 同 香成(56)
167 5六歩打
168 同 龍(55)
169 5七歩打
170 6九成香(58)
171 5六歩(57)
172 6八成香(69)
173 6六角(77)
174 4七龍(37)
175 投了
まで174手で後手の勝ち

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20161021今日の一手<その405>; 攻められた角を交換する

2016-10-21 | 今日の一手

20161021今日の一手

10月1日の名南将棋大会から、YさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。先手玉のほうが金銀3枚ですが連携が悪いので。
先手の攻め駒はありません。
後手の攻め駒は22角1枚。

総合すれば互角かやや後手が指しやすいか。

☆ 大局観として

まだ駒組み途中とみれば何ということはないのですが、後手玉のほうが(41金は中途半端ですが)先に囲えたので、後手は攻めを考えることができます。先手は55歩を見せられて46銀から58飛と受けたのでしょう、でも自分から仕掛けがないので作戦負け気味です。後手は34歩を保留したのがうまくいったようです。
後手から55歩は備えたところなので何とかなりそうですが、75歩から玉頭を攻められるのが嫌味です。その対応を考えて駒組みしなければなりません。


× 実戦は45銀だったのですが

これで歩を取れるのです。でも75歩同歩72飛

で一目つぶれそう。54銀52金55歩同角65歩

と角を交換するのはよい判断ではあるのですが、77角成同金75銀73歩同飛55角

玉頭が薄いので反撃も今一つ。74飛11角成に66角が強打。

66同馬同銀76歩57歩68飛56角

54の銀も取られそうですし、先手玉が危険です。これは後手の圧勝です。

先手としては途中で65銀と使ってどうか。

65同銀同歩77角成同桂

これは後手が歩切れなので難しい形勢。

でも65銀に75銀とかわして

76歩64歩75歩65歩同歩77角成同桂

これは63の歩が手持ちになった勘定で、後手から76歩同金49角か、49角28飛76歩か、どちらにしても1歩持っているので後手有利です。


○ 88銀が手堅い手で

72飛86歩75歩87銀

と受けることはできるか、といえばこの場合は76歩同銀同飛同金75歩

と強攻されて困ります。後手が穴熊で無ければ(雁木の袖飛車で見る変化)こういうのもあるのですが。(76歩同銀75銀87銀76歩88角~68金~77歩同歩成同金右)

75歩に同歩と取れば

75銀87銀66銀

というように玉頭を守ろうとしても1手遅れています。

72飛には65歩

と目標にされそうな角をさばくほうが良いでしょう。銀を逃げれば55歩があるので、65同銀22角成同飛77桂64歩

は互いに難しいところ。先手は68飛から65桂を狙う形でしょうか。

88銀に75歩を先にされたらやはり65歩

77角成同銀76歩同銀

ならば十分です。

といって65歩に同銀でも75歩

76歩88銀22角48角

おとなしく調子を合わせて66歩を狙います。


× 68銀でも同じようなことになりそうですが

44歩から

駒組みの時に玉を固く囲えないのが不満です。88銀なら銀冠や銀冠穴熊に組めました。75歩同歩72飛が気になりますが、86歩から87玉というのも悪い形です。


△ すぐに65歩とするのは

65同銀22角成同飛77桂64歩

は前の変化と比べて88銀の1手を損しているので少し損か。

65歩に53銀として

後に64歩同歩同銀

とされるのは後手の得なのでしょう。

また、53銀に角交換をしてこういう形になっても

後手の得です。


× 88玉は危なさそうで

75歩同歩72飛の筋は怖いです。穴熊に組もうとしても

76銀同金同飛78金72飛

というのは後手のほうが指しやすいでしょう。

ということで、88玉75歩に65歩でどうか。

65同銀75歩44歩には98玉76歩88角

でなんとか間に合います。

戻って65歩に77角成同桂76歩とされて

76同金は67角が嫌で、64歩77歩成同金64歩

という形は76歩とたたかれる傷があるので不安です。


× あとは59角とかわしておく手ですが

75歩同歩同銀

48角72飛77歩64歩

となると65歩同歩66歩の筋があり、先手が指しにくそうです。



問題図は34歩が後回しになりましたが、振り飛車の角筋が通っていて、居飛車が66歩と止めて玉を囲おうとするのは作戦負けになりやすいのです。相手からの攻めを気にしながら囲わなくてはなりません。角筋を止めたほうが守勢になるというのが普通で、対抗型の居飛車ならそれを避けたいと思うのです。

実戦では先に攻めようというよりは1歩得してしまおうと45銀と出たのですが、一目危険な手です。玉頭を狙われて悪くなりました。

玉頭を守るなら駒を足すのが普通で、88銀~86歩~87銀ですが、この場合は間に合いません。

後手が75歩同歩72飛となるとすでに受けにくく、75歩の時に65歩とやっていくしかなさそうです。1手余裕があるのですが、88銀が一番手堅いです。
68銀では相手が攻めてこなければ駒組みに困り
88玉は攻められた時に不安です。
すぐに65歩は1手損している(後手は72飛を省略できた)こともあり、問題図では早い感じです。

75歩とする前に72飛のほうが受けるほうは嫌で、やはり65歩しかないのですが65同銀で桂歩と銀の二枚換えになりそう、それは66桂があるので58飛78玉の形がよくないのですが、まあ仕方ないです。

角頭を狙われたら角をさばいてしまう、振り飛車みたいな話でした。相手がなにか動いて来たら角を交換するというのがタイミングです。もちろんその下には玉がいるので、より慎重に考えないと失敗が怖いです。

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