名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(262); 四間飛車に棒銀

2016-08-30 | 大山将棋研究
昭和50年12月、中原誠先生と第14期十段戦第3局です。


大山先生の四間飛車に中原先生は棒銀です。

大山先生はいつもの78金で、中原先生は袖飛車を避ける意味もあって44歩と止めます。

しばらく駒組みで、27銀を見て75歩から戦いが始まります。

8筋は金で受けているのですが角交換になり

37角はよさそうな手に見えます。

中原先生も24角と好手で返します。

大山先生は金を上がるしかなく

47金に46歩が何度かあって、中原先生は手を稼いで飛桂を配置につけました。

中原先生の陣形が整ったので45歩から動きます。

銀交換から76歩と突きだせば中原先生が好調です。

大山先生は銀を投入して守れば、中原先生は銀を打って攻めます。

中原先生のほうがよさそうに見えますが、持ち歩が少ないので実際に攻めるのは大変です。

大山先生の反撃、ここで67歩を取らなかったのがよくわからないのですが

互いに飛車をかわします。

66銀に68歩成から57桂成と捨てたのが強烈な手。57同金は45桂ですね。

飛車交換から78飛は痛そうです。

でも大山先生が相手ですから攻め切るのは大変です。中原先生は35歩で、1歩持っていれば簡単ですが

角を捨てて

金を取って攻めを続けます。(大山先生の37角は37角打ちではないかと思うのですが)

と金を払って銀を引けばまだまだ、と思えましたが

あっさり竜を切れば35歩が厳しいです。

控えの44桂から結局36桂が実現し

投了図。

中原先生が強すぎました。持ち歩が少なくてぎりぎりの攻めをよくつなげました。後手をもって堪能しましょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:中原誠十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5二金(61)
13 2八玉(38)
14 5四歩(53)
15 6七銀(78)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 7四歩(73)
19 3八銀(39)
20 4二銀(31)
21 4六歩(47)
22 8五歩(84)
23 7七角(88)
24 7三銀(62)
25 3六歩(37)
26 8四銀(73)
27 7八金(69)
28 4四歩(43)
29 6五歩(66)
30 4三金(52)
31 5六銀(67)
32 5三銀(42)
33 6七金(78)
34 4二金(41)
35 9六歩(97)
36 9四歩(93)
37 2六歩(27)
38 3三角(22)
39 2七銀(38)
40 7五歩(74)
41 3八金(49)
42 7六歩(75)
43 6六角(77)
44 7三銀(84)
45 7六金(67)
46 8六歩(85)
47 同 歩(87)
48 4五歩(44)
49 3三角成(66)
50 同 桂(21)
51 3七角打
52 2四角打
53 7四歩打
54 6二銀(73)
55 4七金(38)
56 4六歩(45)
57 同 金(47)
58 7五歩打
59 7七金(76)
60 8四飛(82)
61 4七金(46)
62 4六歩打
63 同 金(47)
64 7四飛(84)
65 4七金(46)
66 7三桂(81)
67 6六金(77)
68 4四銀(53)
69 4六歩打
70 5三銀(62)
71 3八銀(27)
72 4五歩打
73 同 歩(46)
74 同 銀(44)
75 4六歩打
76 5六銀(45)
77 同 金(66)
78 7六歩(75)
79 6六銀打
80 5五歩(54)
81 同 金(56)
82 7七歩成(76)
83 同 銀(66)
84 5四銀打
85 5六金(55)
86 5五歩打
87 6六金(56)
88 6四歩(63)
89 同 歩(65)
90 同 飛(74)
91 7四歩打
92 6五桂(73)
93 7五金(66)
94 6七歩打
95 9八飛(68)
96 6一飛(64)
97 6六銀(77)
98 6八歩成(67)
99 同 飛(98)
100 5七桂成(65)
101 同 銀(66)
102 6八飛成(61)
103 同 銀(57)
104 7八飛打
105 7七銀(68)
106 5六歩(55)
107 4九桂打
108 4八歩打
109 同 金(47)
110 3五歩(34)
111 同 歩(36)
112 同 角(24)
113 3六歩打
114 4六角(35)
115 同 角(37)
116 4八飛成(78)
117 3七角(46)
118 5七歩成(56)
119 6一飛打
120 4一歩打
121 5七桂(49)
122 同 龍(48)
123 6八銀(77)
124 3七龍(57)
125 同 桂(29)
126 3五歩打
127 5五歩打
128 同 銀(54)
129 6五金(75)
130 4四桂打
131 3五歩(36)
132 4六銀(55)
133 3四歩(35)
134 同 金(43)
135 4三歩打
136 3六桂(44)
137 2七玉(28)
138 2八金打
139 1七玉(27)
140 3八金(28)
141 4二歩成(43)
142 同 銀(53)
143 5四角打
144 4三銀打
145 投了
まで144手で後手の勝ち

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20160830今日の一手<その379> ; 形勢判断で方針を決める

2016-08-30 | 今日の一手

20160830今日の一手

8月13日の名南将棋大会から、OさんとJさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。






一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手だけ竜を作っているので少し駒得です。
玉の堅さは難しいところで、5筋と3筋で歩がぶつかっているので先手玉はすぐに薄くなります。後手玉は金銀4枚ですが31に傷があるし。互角としておきます。
先手の攻め駒は71竜と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は持ち駒角1枚。

総合すればやや先手が指しやすいです。

大局観として

現実的に駒得ですからゆっくり指そうというのは無難です。
後手のねらいは82角の筋です。そのねらいを防ぎつつ玉を固める手があるかどうか。
攻め駒は2枚だけですから一気に寄せるわけにはいかず、81桂を取るとか、と金を作るとか、77の桂を使えるようにするとかで増やすことを考えます。

終盤の入口のような、中盤に戻りそうな局面です。方針を決めて指しましょう。


× 36同歩は玉の堅さをキープする自然な手ですが82角で

竜が消えて76歩が残ります。駒得が消えるのでもったいないです。


× 56歩でも

37歩成同桂36歩25桂82角

82同竜同飛33桂成同金

駒得とはいえ先手玉が薄くなるのでこれで良しとは言えません。


× 64歩は82角のラインを止める手ですが

57歩成同銀64飛

で悪いというほどでもないですがぱっとしません。


△ 75角と打って

83飛に64歩なら

後手は73飛とはぶつけにくく、64同歩同角73角か。

73同角成同飛81飛成

76歩には65桂が飛車に当たるので何とかなっている気はしますが、後手から手が多いのでよくわかりません。


○ 66角と打って

83飛72竜73飛81竜

としたほうが前の変化よりも先手陣がしっかりしているので指せそうです。これはすぐに優勢になりそう。


△ 実戦は31から角を打って

32玉42角成同銀72竜51金74金

角で金を取って、その金を打って飛車を攻めるのではあまり良い調子ではありません。71歩63竜41角

84金63角64飛54角打74金

52金63金同金84飛46歩

難しい応酬が続き、形勢互角の局面です。


○ 駒得になったので75竜として

54飛56歩同飛67金

として先手が少し良いでしょう。57歩と打つと93角の筋があるので注意です。後手は88角から香が取れますが、先手は角で桂香が取れそうです。


○ 76竜のほうが手堅く

57歩成や37歩成の時に竜の利きがあれば受けやすいでしょう。


△ 73歩からと金を作るのはどうか。

76歩72歩成77歩成62と

43金右52と32金(取れば75角がある)41角42金引

と進み、42と同金77金で駒得。後手玉も薄くなり、これならよさそうです。

後手の工夫は62と に53角で

ここで52と では足りないので、66角54飛77金

として81竜をみます。後手には55銀がありますが31銀の傷もあり、難しい戦いです。



先手が指しやすいのでいくつか有利になりそうな候補があります。

56歩や36同歩は最初に考えて切りすてますね。

64歩は手筋ですが飛車で取られると善悪不明。
その改良は75角83飛64歩で、怖いけれど指せそうです。

66角に気が付いたら、敵玉をにらむ攻防の手だなあ、とわかるでしょう。そのあとは81の桂を取りに行きます。

駒得だから持久戦、と考えれば75竜あるいは76竜で、粘り強い振り飛車党という感じがします。

Mさんは筋の見える振り飛車党ですが、実戦の31角は強引です。74に金を打つのでは今一つ。形勢がよくなるとすぐに勝てそうな手にみえて、こういう手を指してしまいたくなりますが、攻め駒の数が少ないうちは指してはいけません。(攻め駒が多ければ後手玉が薄くなるので考えてもよい)

73歩は と金を作って一気に寄せようとする手で、でもまだ3枚の攻めなので善悪は難しいです。

いずれにしても形勢判断の3つの要素
駒の損得
玉の堅さ
攻め駒の数
のどれを強化していくかで指し手が決まります。これを大局観と言います。

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