名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(222); 四間飛車穴熊に急戦

2016-07-21 | 大山将棋研究
昭和50年5月、富沢幹雄先生と第2回名将戦です。


富沢先生は急戦を見せていますが(急戦を得意にしている先生ですが)大山先生は四間飛車穴熊に。

46歩に32金は大山先生らしいです。

富沢先生が25歩を決めていないので違和感がありますが、3筋を交換して

だんだん整ってきました。

34金としようとしたところ。富沢先生は軽く仕掛けます。

銀を使わないで桂馬で攻めるのが富沢先生の好きな攻め方です。

角交換を迫られても77角と上がっている効果で2筋を取り込めます。

これで飛車交換ですが、桂馬を逃げて と金ができているので居飛車十分です。

55角から37歩成があるので振り飛車も指せないこともないのですが、先手で飛車を打たれるのは痛いです。

75桂は悪手。61飛と打つのが絶妙手になってしまいました。75桂では65桂が正しく、歩が打てるので逃げられないでしょう。それなら居飛車が寄せ合い勝ちです。

手順に銀を引き付けたので2手は得した計算です。富沢先生は両取りに角を打つも37の と金を払えず

角を切ることになりました。そのあとの大山先生の72銀は落ち着いた手です。

26角打から と金で攻めます。

富沢先生も手順を尽くして角を攻めます。

でも先手で飛車を打たれるのでは逆転には至らず。

大山先生の52銀打はおかしな手で、44竜ならまだ長かったのですが

32竜と逃げたので44の角を切られ、35の角を成られてはもうだめです。

大山先生も寄せをもたついていると思うのですが投了図。


名将戦は持ち時間が長くないので棋譜を見ると少し雑です。富沢先生が十分に指せていたのですが、寄せを間違いました。図面だけ見てもらえばいいでしょう。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:富沢幹雄7段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 3六歩(37)
16 4三銀(32)
17 6八銀(79)
18 9二香(91)
19 4六歩(47)
20 3二金(41)
21 3八飛(28)
22 9一玉(82)
23 3五歩(36)
24 同 歩(34)
25 同 飛(38)
26 8二銀(71)
27 3六飛(35)
28 7一金(61)
29 3七桂(29)
30 3四歩打
31 7七角(88)
32 3三金(32)
33 2五歩(26)
34 5二銀(43)
35 5五歩(56)
36 1四歩(13)
37 9六歩(97)
38 3二飛(42)
39 2六飛(36)
40 3五歩(34)
41 4五歩(46)
42 同 歩(44)
43 5四歩(55)
44 同 歩(53)
45 2四歩(25)
46 同 歩(23)
47 2五歩打
48 4三金(33)
49 2四歩(25)
50 7七角成(22)
51 同 銀(68)
52 3六歩(35)
53 2三歩成(24)
54 3五飛(32)
55 2五飛(26)
56 同 飛(35)
57 同 桂(37)
58 5五角打
59 5一飛打
60 5三金(43)
61 2一飛成(51)
62 3七歩成(36)
63 5九銀(48)
64 4六歩(45)
65 7五桂打
66 6一飛打
67 同 龍(21)
68 同 銀(52)
69 2六角打
70 3五歩打
71 同 角(26)
72 4四金(53)
73 同 角(35)
74 同 角(55)
75 4八歩打
76 7二銀(61)
77 4一飛打
78 2六角打
79 2七歩打
80 同 と(37)
81 4三飛成(41)
82 3八と(27)
83 6三桂成(75)
84 同 銀(72)
85 2七歩打
86 3五角(26)
87 3三と(23)
88 4七歩成(46)
89 同 歩(48)
90 4九と(38)
91 3四と(33)
92 5九と(49)
93 同 金(58)
94 6八歩打
95 7九金(69)
96 2九飛打
97 3九歩打
98 同 飛成(29)
99 4九金打
100 2八龍(39)
101 5八歩打
102 5二銀打
103 3二龍(43)
104 7七角成(44)
105 同 玉(78)
106 6五桂打
107 7八玉(77)
108 5七角成(35)
109 4三と(34)
110 6一銀(52)
111 4四角打
112 4八歩打
113 3九金(49)
114 4九歩成(48)
115 同 金(59)
116 3九馬(57)
117 同 龍(32)
118 同 龍(28)
119 同 金(49)
120 5九飛打
121 4八角打
122 5八飛成(59)
123 5九歩打
124 6九銀打
125 8八玉(78)
126 6七龍(58)
127 3一飛打
128 7八金打
129 投了
まで128手で後手の勝ち

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20160721今日の一手<その359>; 位を生かす

2016-07-21 | 今日の一手

20160721今日の一手

昨年の東海団体リーグから、私とHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
金と角桂の交換で、と金を作られています。やや駒得ですが終盤なので考慮しなくてもよいでしょう。(ほかの形勢判断の要素でカバーしています)
玉の堅さは同程度。ただし先手玉のほうが広いです。
先手の攻め駒は持ち駒角角銀桂で4枚。十分です。
後手の攻め駒は71飛67銀58銀と持ち駒金で4枚。

総合すれば先手やや有利です。

例によって何手で詰めろか数えてみます。
後手玉は84歩~75桂で詰めろ。現状3手すきです。
先手玉は78銀不成97玉76飛は詰めろ。78銀不成に同玉も76飛で詰めろ。多分現状2手すきでしょう。

ということで先手番ではありますが後手のほうが早く詰めろがかかりますから後手有利です。

大局観として

最終盤で大局観は必要ない(読むだけ)ですが、このまま進めば後手が勝ちです。先手は受けて4手すき以上にするか、攻防の手で先手玉が3手すき後手玉が2手すきというようにできれば逆転します。こういうのが終盤の理論です。
76と78両方を狙われているのでしっかり受けるのは大変そうです。
でも先手玉が広いのですから玉が端に逃げてしのいだり、89飛が攻めにも使えるようになったりということが狙えるので逆転しやすい局面なのです。


○ 実戦で私は84歩としました。

76銀成98玉86金

と進んだのですが、これは詰めろではありません。86金と打たなければ後手玉が詰めろだったので仕方ないのですが、98玉としたのが攻防の手になったというわけです。以下は83歩成同玉84歩同玉85銀

と上からおさえて、73玉84角72玉54角83玉62角成

と駒を渡さずに詰めろをかけて勝ちです。

86金ではなく84歩としても

84同飛83歩74桂

と迫れるので勝てそうです。83に金を合駒するなら飛車を切って上を抑えて85銀から76銀と取ってしまうのが保険になります。

後手の工夫はもっと戻って78銀不成。

これには97玉89銀成75桂

でもよいのですが(飛車を切って73金打で粘られる)

78同玉67銀打88玉78金97玉89金75桂

と1枚もらって詰めろをかけるほうが良いでしょう。

ということで、84歩は端に玉を逃げるのが詰めろになるので攻防の手を予定していたのです。


△ 75桂と打つのも攻防に見えます。

もう少し駒があれば83桂成で詰み筋がありますし、76の地点も守っています。
ただし75同飛同歩76金97玉78銀不成と迫られるのが問題です。ここで54角

まで見えていればいいのですけど、わかりにくい受けです。
65桂と捨てても取られて詰めろ。89銀成76角68飛41飛

先手玉は詰まず、角がよく働いています。後手玉には詰めろが続くでしょうから先手の勝ちです。


△ 75銀でもよさそうで

とりあえず76の地点を受けただけですが、74桂や84歩が残っています。
75同飛同歩76銀打97玉78銀不成には74桂

桂馬を持っているので飛車を切れば詰み筋があります。

戻って75銀に78銀不成同玉67銀打87玉

74桂がありますから74歩64銀を入れて78金としがみつけば44角

これで先手がよさそうです。


○ 54角と打つ方が飛車を切られないのでもっとわかりやすそうです。

78銀不成同玉67金88玉78銀としがみつかれても75桂

が詰めろ。飛車を切られても今度は角筋が通るのでさらに安全になるという寸法です。


× 76の地点を受けるだけの88桂は

78銀不成同玉67金87玉78銀

で97玉に飛車でも桂でも取られて負けです。


× 68桂のほうがましですが

78銀不成同玉67銀打87玉68銀不成

桂馬を捨てて手を稼いだとはいえ攻めにくくなり、84歩同歩83歩同玉75銀73金打

では何とも言えません。


玉を移動すると後手は小駒で追うことになるので手を稼ぎやすい
97や96に玉が逃げる余地がある、端の位が大きい
飛車の利きが通れば84歩が詰めろになる
ということで、問題図では形勢不利ですが逆転しやすい要素がありました。

実戦の84歩の寄せ合いでもどうにか勝ちですし

54角と打つのが安全な(攻)防の手です。(後手玉は詰めろにはならないのですが受けにくくなります)

75桂や75銀は飛車を切られるので危ないのですが、後手玉も危険なので先手に勝ちがありました。


玉頭方面に位を取る将棋は、終盤で位が生きれば勝ちやすいです。居飛穴が序盤から玉を固めるのとある意味同じ思想ですが、終盤がより複雑で、その中に勝ち筋があるという感じです。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする