【イベント報告】GPL vol.4 オバマ新政権と安全保障政策

2009年02月21日 | 活動報告
2月20日に、
Global Peace Lectures vol.4 「オバマ新政権と安全保障政策〜『変化』は日本に何をもたらすのか」
を下北沢で開催しました。

 講師をして頂いた梅林様、金曜の夜にもかかわらず寒い中わざわざ足をお運び頂いた皆様、どうもありがとうございました。今回も前回に引き続きたくさんの方々においで頂き、活発な学習会ができた訳ですが、それはアメリカのオバマ新政権へ向けられている関心の高さと期待の大きさが反映されているということもできると思います。


 去る1月20日(イベントのちょうど1ヶ月前だったんですね!)、世界中の注目とアメリカ国民の熱狂の下に、初のアフリカ系となる第44代合衆国大統領が誕生しました。私も個人的に、インターネットで中継された彼の就任演説にリアルタイムで耳を傾け、アメリカが彼に寄せる「変化(または変革)」つまり”Change”への期待の大きさを感じました。ブッシュ政権のやり方に嫌気がさしたこと、今まで散々差別され虐げられてきたアフリカ系(いわゆる黒人)が政治のトップになるまでになったこと、100年に一度とも言われる経済的な危機的状況にあることなどが原因となって彼の人気の原因と言われますが、就任の時点でオバマに課された問題は膨大です。果たして彼はそれらの問題をどのように解いていくのか、今回のイベントはそれを冷静に考えるいい機会でした。


 特に、安全保障の考え方は時のリーダーによって大きく左右されます。まず、今日の梅林さんの講演の中で、オバマ新政権の安全保障政策を読み解くためには国防長官であるロバート・ゲイツ氏の考えを知ることの重要性が説明されました。ゲイツ国防長官はブッシュ政権からの留任です。それでは大統領の首が変わっただけで国防関係は何も変わらないのではないか、と言えばそうではなく、むしろラムズフェルドが悪化させた諸国との関係を改善するために登場したゲイツ氏は、共和党政権の中ではだいぶ異質な存在でした。そして、軍事力への過剰な依存をやめようという思想では、オバマと一致する部分が大きいのです。彼はブッシュ政権時代から既に、軍事力(ハードパワー)偏重の戦略から脱却し、ソフトパワーとの巧みな組み合わせによる外交の必要性を主張しています。




 そして新政権では、ハードパワーとソフトパワーを組み合わせた「スマートパワー」を説くヒラリー・クリントン女史が国務大臣になりました。この「スマートパワー」は2007年頃からアーミテージやナイといった外交・国防の専門家が口にし始めた言葉です。また、彼らは日本が軍事的にもっと活動範囲を拡大すべきといった報告をまとめています(『日米同盟2020年へ、アジアをあるべき姿に』)。そこでは日米同盟の強化・深化の必要性が主張されています。これらの主張は、米国内での関係省庁の連携や同盟国との関係発展を促進しようとするオバマ・バイデンアジェンダやゲイツ、クリントンの考え方と軌を一にしています。


 アメリカの国防戦略において、「テロとの戦い」は最重要とも言えるポイントの一つであり、「大量破壊兵器の不拡散」や「非正規戦」などもそれに付随して重要な部分を占めています。それらの解決方法としてハードパワーに依存しすぎたブッシュ政権のやり方をやめよう、というのがオバマ新政権で目指される「変化」であり、その内容にはあまり根本的変化はありません。日本に軍事的な役割の増強を求める姿勢も、「スマートパワー」や「タフで直接的な外交」の流れの中でむしろ強まる可能性すらあります。




 梅林さんは最後に、しかし、オバマ新政権には聞く耳があるということをおっしゃいました。つまり、内閣や国会の動き次第で、日本はアメリカの言うままに動かされるのではなく、意志を表現しそれに基づいた行動ができる、ということです。そこで大事になってくるのが来たる総選挙での私たち国民の判断です。どちらがいいという訳ではなく、日本政府にこれまでの安全保障政策の変更の意志を持たせるような結果を持たせることが非常に大事になるのです。


 オバマは核開発停止と核実験のジレンマに苦しみながらも、有識者を中心とした核廃絶の世論を味方につけ、「核兵器のない世界」を具体的に追求することを明言しました。様々な障壁やしがらみがあるにしても、世論が動き、強く望めば政治家はそれに真剣に耳を傾けざるを得ないと思います。今回の講演は、今がそうしたチャンスの時期であるとともに、非常に大事な時期だという認識を新たにするいい機会になりました。政治家に、オバマに、私たちの声を届けるために、積極的に社会や世論に働きかけていかなければならないと感じました。


(ぼんど)


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安全保障政策 ブッシュ政権 アフリカ系 クリントン ソフトパワー 大量破壊兵器 テロとの戦い ラムズフェルド アメリカ国民 アーミテージ
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