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【イディオム】Run out of steam イエレン発言待ちで市場は息切れ

2016年08月26日 | 英語・経済

このところ米国株の動きは小動きでさえない。昨日はダウ・S&P・ナスダックとも0.1~0.2%ほど下げた。市場は今日イエレン連銀議長がジャクソンホールで行うスピーチを待っている。

ブルンバーグはこのような状況をStocks,Bonds,Dollar run out of steam before Yellen's speechと述べていた。

市場はイエレン議長の発言から連銀がいつ政策金利を引き上げるのか(あるいは引き上げないのか)を探ろうとしているのだ。

市場では若干ながら早期に金利引き上げが行われるという見通しが高まっている。今月初めの調査では9月に金利引き上げがあると予想する人は18%だったが直近では32%に上昇している。また年内に利上げが行われると予想する人は59%である。

Out of steamは「元気を失って」というイディオムだ。Steamには蒸気のほかに元気という意味がある。米国は雇用市場が底堅く、今のところ景気は堅調だが、世界経済は押しなべて低迷気味だ。その中で米国株式市場が堅調に推移してきたのは、イエレン・プットといわれるように株価が下落すると連銀が金融政策のかじ取りを緩和基調に向け、株価下落を支えてくれるという期待があったからだ。

株価が膠着状態にあるのは日本も同じだ。日本では株価が下がると日銀がETFを購入するので今のところ下値は堅いが、積極的に買い進む外国人投資家はいないので株価の上昇が望めない状況が続いている。

こちらは米国以上に完全にout of steamである。

さてイエレン議長がどのような発言をし、それに対して市場がどう反応するかは今夜(東京時間)の楽しみだが、私は仮に連銀の政策金利の引き上げ時期が現在の市場予想よりも先になると判断された場合は市場に与えるマイナスのインパクトは大きいと感じている。つまり底堅いと思われている米国景気がそれほど強くないのではないか?という懸念が浮上するからだ。

この場合100円台で推移しているドル円為替は円高に振れる可能性は高いだろう。

ということで個人的には年内に一度は政策金利を引き上げる可能性が高い(もちろん今後の雇用・インフレ統計次第だが)といった趣旨の発言の方が好ましいと考えている。

ただしこれはかなり希望的観測である。そして希望的観測はしばしば外れるのでご用心。いずれにせよ金融政策に過度に依存した市場は早晩out of steamになるのだろう。

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