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山好き金融マン(OB)のブログ
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繁忙月残業上限100時間未満、長すぎるでしょう

2017年03月15日 | ニュース

一昨日(3月13日)安倍首相は経団連と連合の会長に繁忙月の残業上限を100時間未満にするよう要請した。

これを受けて菅官房長官は「100時間未満まで残業を認める案は過労死につながらない」という見解をしめした。

一方民進党の大串政調会長は「100時間未満であっても長いと言わざるを得ない」と否定的な見解をしめした。

私は基本的には自民党支持の立場だが、本件については民進党の意見を支持したいと考えている。

その根拠の一つは厚生労働省が過労死等過重労働による健康障害が高まる残業時間を月80時間超としている点だ。

だがより基本的には「過労死につながらなければ長時間労働をしても良い」という考え方が基本的に間違っていると考えることにある。

企業側も必ずしも超長時間勤務を希望している訳ではない。

HR総研の調査によると、49%の企業が月80時間という残業上限を適切と考え、43%の企業はもっと短くても良いと考えている。80時間では短いと考える企業は8%に過ぎない。

ところで世界的に見て、日本人は長時間労働をし過ぎなのだろうか?

ILOのデータを元に総務省が発表している「労働力調査」によると、週49時間以上働く人の割合は日本が21.6%(男性30.5%)、米国が16.4%(性別データなし)、ドイツが10.5%(男性15.5%)、香港32.2%(男性31.6%)、韓国35.4%(男性41.0%)となっている。(韓国以外は2013年のデータ)

このデータから見れば日本人は欧米人よりは働き過ぎで、韓国・香港よりはややましということになる。

ただし過労死を引き起こす月間80時間を超えるような残業については諸外国の統計データがない(おそらく大半の先進国でそんな残業はありえない)ので、超長時間残業の国際比較はできない。ただし過労死Karoshiという言葉がそのまま英語になっていることを考えると、超長時間労働はかなり日本的な労働慣行?と考えられる。

HR総研の調べでは過去1年間で80時間超の残業を行った社員がいる会社の割合は54%と半数を超えているから、超長時間労働はかなり一般的な現象なのだろう。

ではどうすれば残業を減らすことができるのか?

幾つか思いつくところを述べてみると

  • 過剰なサービスを提供しない・顧客も過剰なサービスを要求しないという風土を作る(お客様は神様という考えを捨てる)
  • 会社の意思決定・報告ラインを短縮化して、縦型構造を横型構造に変えることで一人一人の業務範囲を拡大するとともに、権限を明確化する。
  • IT技術の徹底活用
  • 過当競争業界のM&A推進等による業界整理と余剰人員の他業態への転換

だが最も大事なことは「人は何のために働くのか?」という基本的な問題を考えることだろう。

 

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