さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

華々しい幕切れか 墓標に名を刻む儀式か メイウェザーvsパッキャオ、遂に決定

2015-02-23 17:18:36 | フロイド・メイウェザー



ということでメイウェザーvsパッキャオ、ついに決定。
やっとこさ、今更、という言い方もありましょうが。


何よりもまず、メイウェザーという人は、ファンの期待や要望に応えるのでなく、止むに止まれぬ事情なくば、
この手の試合、相手にも一定以上の報酬配分を認めなければならぬような試合には出ない、という現実を
改めて思い知らされたような、試合決定までの流れでした。

ま、こうやって引っ張るだけ引っ張って、上手いこと話題になったやないか、てなものなんでしょう。
私なんかは頭が古いもので、とうの昔にやっとかないかん試合を、やっとやる段になってまだコレか、
ようやるのう、という気持ちです。大人の態度で理解を示す、という心境にはありません。

試合自体に関しては、メイウェザーはどの道、あの通りだろうから、パッキャオの奮起に期待するだけ、というところです。
逆に言えばそれがなければ、良い試合にはならないと確信しています。
要は今度の試合で、メイウェザーが、ハグラーに「感動的な逃げ勝ち」をしたレナードになるのか、
それともデュランとのラバーマッチのときの「無味乾燥な完勝」をしたレナードになるのか、ということです。

対するパッキャオの現状には様々な見方があるでしょうが、明るい展望はない、という見方もあり得るでしょう。
マルケス戦のKO負けは、いわば「勝負」に行った結果、と言えますが、その前のブラドリー戦の「油断負け」から
彼のボクサーとしての心のありようが瓦解しつつあったのだ、というのが私の見方です。
そこに、強烈なKO負けによる心身のダメージが覆い被さっているとしたら、そこからの復調が、再起後の試合で
証されたのかどうかは、正直計りかねます。


それでもなお、この試合は、ひとつの時代を画する一戦であり、注目に値する試合だとも思います。

ハグラーvsレナード戦で、両者合わせて2500万ドルくらいだった報酬が、ほぼ10倍になろうかという話ですが、
はっきり言って現状のメイウェザーとパッキャオが、どれだけフルに互いの持ち味を発揮したとしても、
あの試合と比較しうるようなスペクタクルになるとは、現時点では思えません。
仮にそうなったとしても、10倍の報酬額というのは、PPVインフレの頂点というべき数字です。

レナード、ハーンズらが先鞭をつけた、複数階級制覇路線と共に、世界王座の権威ではなく、誰と闘ったか、を
価値基準とした「スーパーファイト」の時代と、それを下支えしたPPVビジネスの飽和。
その極限、到達点として位置づけられるのが、今度の試合なのでしょう。

そして、今度の試合内容が、多くの期待に反するものになるだろう、という予測が、
私のような一介のファンひとりではなく、米国のボクシング関係者にも多く存在するのではないでしょうか。
アル・ヘイモンが、PBC中継をひとつのTV局に独占提供するのではなく、合計4局にて流すのは、
メイウェザーとパッキャオの時代が遠からず終わり、その次に彼らに成り代わるスター育成の舞台として、
より広範に、多くの視聴者に見られる試合中継の場が必要だという、彼の時代への展望そのものだと思えます。


いわば、すでに新たな時代が動き出している今になって、やっと組まれた両巨頭の対戦は、どういう試合になるのか。
ひとつの時代の趨勢に乗り、その最先端を走り続けた二人による、盛大なフィナーレといえる試合になるのか。
それとも、飽和したビジネスのスケールにはもう追いつけなくなった二人が、その名を、時代の墓標に刻むような試合になるのか。


この二人の闘いをいざ見られるという段になって、もっと違った感慨を持っていたかった、と思います。
しかし残念ながら、そうなりえた筈の時は過ぎ、今はいささか、複雑な心境でいます。




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2 コメント

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Unknown (さんちょう)
2015-02-25 13:27:53
色んなところで5年遅いとか言われるのは仕方ないですが、それでもやらないよりはやったほうがいいに決まってるカードであることには変わりありません。 僕はいまから純粋に楽しみです。  
両者最高のコンディションで来るでしょうし、負けられないのは無敗のメイウェザーですし、パッキャオのアルジェリやマルケスからダウン奪ったあの左ストはどこかで必ず当たると思います。 試合はどちらかの圧勝にはならないと思いますね。  
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2015-02-25 21:45:33
>さんちょうさん

確かにやらないよりはやったほうが良いですよね。仰るとおりです。試合自体は楽しみにすると思い直します。
試合成立と、周辺事情に「時代」の切り替わりを感じ、その節目に対する両者、ことにメイウェザーの身の処し方には、やはり複雑な思いがありはしますが...。

パッキャオの左は、距離さえ合えば、かなり広角に打てる特別なもので、マルケスが二戦目のときに「ここに頭を置いておけば打たれない」はずの位置取りをしていたのに打たれてダウンした場面が印象的ですね。ただメイウェザーの場合、常にセーフティファーストで、角度プラス距離の確保を優先しますが、今回の試合ではその辺がどうなるかですね。


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