さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

王者の衰えか、挑戦者の質ゆえか ゴロフキン僅差で勝つ

2017-03-21 17:06:34 | 海外ボクシング



「セミ」の衝撃で霞みかねないメインイベントでしたが、こちらも普通なら
なかなか想像しない試合内容が見られました。

いつも圧勝するのが常のゲンナディ・ゴロフキン、ついにカリブの天才ウィルフレッド・ゴメスの
17連続KO防衛記録を破るか、という試合でしたが、純正ミドル級、タイトルホルダークラスの
アメリカ黒人ボクサーであり、ゴロフキンのキャリア中最高の相手か、と見えた
ダニエル・ジェイコブスの前に、世界戦では初の判定防衛でした。


初回、ゴロフキンが出て、ジェイコブスは時に下がり、回り、出る。
距離が詰まったら、ゴロフキンが振りの小さい、力を込めた右。外れる。
すると間もなく、今度はジェイコブスが同様の右を振り切る。これも外れる。

共にミスブローでしたが、このふたつのパンチに、それぞれの意志が見えたように思いました。
闘う型、展開は違えど、共にここぞという時には、力を込めて急所を狙う意志が。

ゴロフキンはいうに及ばず、ジェイコブスとて、ピーター・クイリンとの
ブルックリンダービーにおける、右一発からの超高速ラッシュでのストップ勝ちを見れば、
たった一瞬の隙を、瞬きする暇もないうちに、自らの勝利への決め手に変えてしまう力があります。

両者はその力を、意志を互いに秘めたまま、緊迫の攻防。
がっちりした、という表現を越えた「異形」の厚みを持つ肉体のゴロフキンが、
じりじり出てジャブから右。
しかし、いつものような、思うさま打ちまくるという展開には持ち込めず。

フレームでは上回るジェイコブスは、派手では無いが丁寧に打ち、こまめに動く。
キャンバスに幾何学模様を描く、とまではいかずとも、適切な位置取りの繰り返し。

ただ、サウスポーへのスイッチは「止めた方が良い」と断じるようなものでなく、
一定の効果はあったにせよ、良し悪しもまたあり。
4回、ダウンを喫した、飛び込みざまの右ダブルは「そのせい」で食った?とも見えました。

中盤以降、ゴロフキンの「いつもと違う」感じは変わらず。
ジェイコブスはダウンが軽ダメージだったことを証すように、懸命に動いて当てる。
9回、右アッパーを決めたゴロフキンが、「いつも」の展開に持ち込むかと思ったら、
ジェイコブスもシャープな連打を返す。

終盤みっつ、ゴロフキンは未知のラウンドに突入、もちろん威力ある攻撃を見せるが、
ジェイコブスも果敢に反撃、左フックやボディのヒットなどが印象的。
結局倒せず、判定でした。


正直言って、採点に迷いまくった試合でした。

ゴロフキンは体つきこそ、衰えどころかさらに分厚くなっているようにさえ見えましたが、
肝心の動きに切れや思い切りの良さが見えなかった。さすがに若干衰えてきたのかな?と。

しかし、こちらが普段、ゴロフキンの圧倒的な強さを見慣れているせいなのか、
ジェイコブスのまとまりの良い攻防が、実際以上に印象的に見えてしまっているのかな、とも。
残念ながら、印象的なヒットはあれど、威力は足りず、ダウン奪取やKOの予感などは皆無だったわけですし。


結果はゴロフキン勝利でしたが、自分の採点は、と見ると、6対6。
ダウンの分だけ勝ったかな、という感じでした。

しかし、最初から最後まで迷い、保留、どっちもあり、と記した回が全体の半数以上(汗)
こんなもの、もはや「採点」の体を成していない。
まあ、所詮素人の仕業、こんなものですが、それでもこれはいかん、と反省した次第です、ハイ。


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さて、今後は母国でサンダース戦、その次がカネロ戦という計画というか方針というか
はたまた観測気球なのか、そんな話も早速出ているゴロフキンですが、
その圧倒的な実力と、着実に上昇中とはいえ、人気や知名度ではカネロに劣る現状故に、
これまではなかなか、ビッグマッチが決まらなかった状況が、少し変わり始めるかな、とも思います。

今回の試合内容は、彼の衰えなのか、挑戦者の質が高かったゆえなのか。
カネロ側がどう見るのか、そして試合が組まれるとして、それが条件面や状況をどう決めるのか。

私は、ゴロフキンの状態に対する不安を感じるクチですが、
それが、これまで恵まれなかったビッグマッチ決定を後押しするなら、
その先はもう、彼の奮起、ひと頑張りを期待したい、という気持ちでもあります。
矛盾もいいところですが、ファンというのは、常に勝手なことばかりですので...。


何かとごちゃごちゃ、余計な話ばかりのボクシング界において、
ゲンナディ・ゴロフキンの圧倒的な強さは、細かいことを吹き飛ばす爽快感に満ちていました。
これぞ最強、わかりやすく強い。
誰が何を言うたって、この先生が、出るとこ出て、白黒つけてくれはるわ、と。

しかし、そういう彼のキャリアも、これからそう長いわけではないでしょう。
その最後が、カネロ・アルバレス戦を含めた、大きな試合で締め括られることを願っていましたが、
今回の試合を見ると、期待と不安、共にあり、という感じになってきたのも事実ですね。



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6 コメント

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Unknown (さんちょう)
2017-03-21 18:03:31
最初のダウンで結末が近いと思いましたが、意外な展開でしたね。ジェイコブスがIBFの当日計量を無視したと聞いて、ゴロフキンのパワーに対抗するための作戦と思いましたが、それさえも吹き飛ばすほどの破壊力があるのがゴロフキンなので今回は試合には負けましたが、上手く戦ったジェイコブスの作戦勝ちでしょう。
確か5R当たりのジェイコブスのジャブに下がりながらカウンターのジャブを放ったゴロフキンに痺れました。

カネロ戦はやっぱり見たいですね!
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2017-03-22 21:56:52
>さんちょうさん

当日計量を意図的にパスし、IBFタイトルを棄てても体格面の優位を作りたかった、ということですかね。ようもまあ、そんな余計なことまでアタマが回るものやな、と呆れますが...。
これは複数タイトルが同時にかかる試合におけるひとつの課題ですね。各団体がルールを揃えないと、両者のコンディション調整における公平性を保証できない場合があるわけで。両者の体格差が試合展開に影響したというか、それがなければジェイコブスの健闘はなかったのかも、と思います。
カネロ戦はやってもらいたいですね。やるとなれば、もう余計な話はいらないですし、どう白黒つくのか見るだけですから。また先延ばしにして来年のいつ頃、なんて話はもうたくさんですね。
Unknown (失吹丈)
2017-03-22 23:05:26
ひと言で言えば、噛みあわなかったかな、という印象を持ちました。お互い90%前後の高いKO率を誇るハードパンチャーであるという事実が、互いにいつも以上にディフェンスに神経を使わずにはいられなかったのかな、と。中盤以降、ジェイコブスが時折見せるシャープな左ボディブローにゴロフキンも顔を歪めたようにも見えましたが、リスクを負ってまで追撃するようなことまではしてなかったように見えました。昨年、ウォードがコバレフに勝利したことが、ジェイコブスの戦略に影響を及ぼしたのかなと深読みしてる部分もあります。
一方のゴロフキンも、ジェイコブスが巧みにポジションをとったせいもあってか、いつものような追い足の迫力がなく、決定打を奪えずじまいでした。ゴロフキン陣営は、衰えではなく、相手のレベルが上がったせい、というようなコメントをしていますが、概ね私も同意見です。少なくとも、前戦でブルックがゴロフキン攻略の糸口の一端を見せてくれていた訳ですし、弱点を見せれば相手もそこを突いてくるでしょう。
ただ、今年も既におよそ3か月スパンであと2試合戦うプランがあるみたいですね。目に見えないところで勤続疲労のようなものがあるのかも知れません。これはロマゴンにも言えることかも知れませんね。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2017-03-23 21:53:05
>矢吹丈さん

初回の右のミス応酬などを見るに、互いに相手の力を警戒した面はありましょうね。ジェイコブスはポイント取れていると思っていたのかもしれませんが、ダウンの分、或いはその影響も考えると、その読みが甘かったか。米国vsロシアと、旧共産圏、旧ソ連、という括りは、ある程度共通点がありますね。なるほどです。
ゴロフキンのここ最近の試合内容が、彼の今後にどう影響するか、興味ありますね。カネロがゴロフキンを「攻略可能」と見切る時はいつか、その判断は正しいのか...まあ、興味はありますが、そんなことを考えるより先に、組まれるべき試合がすんなり組まれればそれが一番ですね。
ゴロフキンには、ロマゴンほど、目に見える形で歴戦の疲弊が見えているかというと、まだそこまでではないかな...とも思いますが。

Unknown (こここ)
2017-03-24 21:06:48
ジェイコブスは好きなボクサーで応援してはいたのですが
ゴロフキンに対してはとても有利に考えきれず、判定まで行くとは思っていませんでした。ゴロフキンは圧勝が多くて中盤くらいまでのKO勝ちかなと予測していましたが、意外でした。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2017-03-24 21:18:34
>こここさん

ジェイコブスは、ミドル級ナチュラルで、タイトルホルダーで、アメリカ黒人王者水準のスピードもパワーもある、という意味では、ゴロフキンにとり、過去のどの相手より危険かもと思ってはいました。内容は想像したより、ゴロフキンの側に不足が見えたかな、という印象でしたね。

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