さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

規制よりも大事なこと

2007-12-24 21:22:36 | その他
亀田大毅の惨敗を受けて、検討されていた世界挑戦資格の問題ですが、
結局今回は否決、ということです。

地方ジムから反対の声が多かった、とのことですが、
やはり、というか、これが当然というのが私の意見です。

確かに、世界挑戦者たるもの、一定のハードルをクリアした者であるべしと
誰もが思うでしょうし、それをルールで明文化出来れば良い面もありましょう。

しかし、地方ジムの関係者からすれば、どうしてもタイトル挑戦の機会が少ないし、
こと日本ランキングに関しては不当な扱い、不可解なことが多いと感じるのでしょう。

例えばAという地方の選手がいます。一度、日本タイトルに挑戦して惜敗。
再度挑戦を目指して、地元で連勝を続け、日本1位となりました。
しかし、日本2位だったBという、東京のジムのホープが、
さしたる強豪に勝ったわけでもないのに、ある日突然、世界15位以内に入り、
翌年のチャンピオンカーニバルでの挑戦権は、Bのものになりました。

このようなことは、ごく普通に起こっていることです。
地方ジムの選手が、独自に世界ランカーを招聘して闘ったり、
OPBFタイトルマッチ獲得を目指すことが多いのは、
こういう実情が背景にあるのも、一面の事実です。

確かに、日本や東洋王者のみ世界挑戦というのは、耳障りは良いです。
しかし、日本で勝ち星がほとんどないタイ人を倒してOPBF王座を獲って、
それで世界ランクに入って世界挑戦し、惨敗を喫した選手が最近もいました。
抜け穴はいくらでもあることが、最初からわかっている「規制」に
さしたる意味もないでしょう。

協会やコミッションがまず心せねばならないことは、
ボクシングというスポーツへの信用は、
こうした安易なルール作りによって得られるものではないということです。
ひとつの判定、ひとつの裁定、ひとつのランキングを、
徹底的に公正なものとするために心を配ること。
その上で決まった真の王者たるボクサーのみが、世界に挑むというなら、
それをルールとして、明文化してもいいし、私も賛成します。

しかし現状はどうでしょうか。
元OPBF王者だから関係ない話かもしれませんが、例えば小松則幸。
7月の吉田健司戦における彼の敗戦は、本当に彼の負けだったのでしょうか。
あの試合は、吉田応援団を除く大多数の目に、吉田の反則負けであるべきと
映った試合ではなかったでしょうか。
しかしあの試合後、レフェリーは何の処分も受けていませんし、
コミッションは再戦指令をすることも、小松の再挑戦権を保障することもありませんでした。

いずれ世界王座奪取をなし得る選手がいたとしても、
それが吉田健司のような相手とかち合ってしまったら最後、
不当な裁定に甘んじ、余計な遠回りを余儀なくされるわけです。
それが正しいことだとは、私には思えません。


今回の否決について、私は喜びはしませんが、納得しています。
協会首脳諸氏に対しては、規制より先に考えるべきことが他にありますよ、と言いたいですね。

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4 コメント

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Unknown (レノンバッファ)
2007-12-25 07:29:06
この件については、中央のファンと地方のファンで意見がはっきり分かれている気がしますね。
私は関東在住なので、最初は「世界挑戦を日本、東洋獲得経験者に限る」という規定に大賛成でした。今も基本的には賛成です。
しかし、地方のジム選手が日本タイトルに絡みづらいという実情もたしかに存在するわけです。この件を過去のいろいろなケースに当てはめて考えると、改めて一筋縄ではいかないことに思い至りました。(我が家でもSKY-Aが視聴できるようになり、関西の試合を見る機会が増えたことで、やっとそのような状況が見えるようになってきた次第です)
中央の一部のジムの資金力や政治力に苦杯を飲まされ、タイトル挑戦の機会そのものが訪れなかったり、開催地の不利があったりと地方ジム選手には相当のハンデがある。これは厳然としてある。
ではどうすればいいのか・・・。
今回はいろいろと考えさせられました。とにかく、良い方向に改革が進んでくれればいいのですが・・。

コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2007-12-25 17:08:42
まあ、今回は地方の反対で否決ということでしたし、中央と地方の立場の違いは確かに大きいでしょうね。ただ、それを抜きにしても、やはり大きな抜け穴がありますし、そもそもタイトルマッチが「興行の論理」で開催される以上、規制といっても難しいでしょう。規制をかけるなら、業界全体から広く意見を募り、合意形成をした上で、もっと細かく、厳しいものでないと、やる意味がないですね。

...まぁ、こういう大事なことを、熱海の旅館で宴会のついでに決めようって神経が、そもそも理解不能ですけどね。もっと多くの意見を集めて、きちんとした会議の場ひとつ設けることもできんのか、と、いささか呆れております。そもそもこれだけ世間を騒がせた例の試合から話は始まっているはずなのに、外部の意見を取り入れる、なんて考えはカケラも無いようですしね。ある意味、大したものですわ(呆)。


ちなみに、以前、自分のジムの選手を世界ランカーと対戦させた複数のジム関係者に聞いたのですが、決して「勝ったら即世界戦」というような目論見ではないそうです。
「普通に勝ち続けていてもランキングはなかなか上がらない。確かに厳しい賭けだが、そうでもして世界ランクに入りでもしないと、カーニバルでの挑戦権が取れるかどうか、わからない」ということでした。地方のジムが今回の規制に反対した理由の一端は、こういうところにあるのでしょうね。
Unknown (とみー)
2007-12-27 01:02:45
 こんばんは。
今回の提案、僕個人としては賛成でした。
しかし、地方ジムの選手にタイトル挑戦がスムーズにいかなくなるかもしれないということまでは考えがおよびませんでした。
日本、東洋タイトル獲得だけではなく、防衛してから世界に挑戦ということでも良いかもしれませんね。
なかなか難しいのでしょうが。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2007-12-27 10:38:52
私も、何らかの規制というか、ハードルが必要であるという意味では賛成なのですが、常日頃の日本、東洋タイトルマッチにおける諸問題を一顧だにせず、ただ単に規制だけを作る、というのは無意味だと思うのです。少数派の意見かもしれませんが。

しかしそうした問題を別に考えれば、おっしゃるとおり、王座獲得のみならず、指名試合クリアというのは良いかもしれませんね。特にOPBFでは、時に世界的実力を持つ比国人ボクサーが1位にいたりするので、そういう選手との対戦をクリアする王者なら、世界挑戦者としての資格はあると言えそうです。

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