音の講演会

2017年06月28日 | 日記・エッセイ・コラム
 先日、音の講演会ともいうべきある講演会に行って来ました。講師のその人は、自らが奏でる音楽を空想民族音楽と称していました。
 自分の口笛から始まって、アフリカのジンバブエの親指ピアノ。アンデスの弦楽器チャランゴ。チリ製の50㎝~60㎝の長さの筒状の棒。それは上下をさかさまにすると水の流れる音がする、名前を聞きそびれた楽器。大小のカウベル。などなどの素朴な楽器や手作りの楽器と肉声を巧みに使って奏でられる音楽。いや、音楽というよりも、音の連なり、音の響き合いとでもいうものだろうか。日々、電気で作られた音の中で生活することに慣らされた身には、素朴なそれらの楽器から響く音の柔らかさが、何やら懐かしいものに触れているような、何ともいい心地でした。
 しかし、ここにそこで紹介された楽器の名前をいくら書き上げても、残念ながらその楽器が奏でる音色やリズムやメロディーやハーモニーは伝えられません。
 会場の後ろの壁の前に並べられた椅子に座って、その人の話や音楽を聴いていた私は、知らぬ間に自然を感じさせる音に包まれている感覚になっている自分に気が付くのです。不思議な感覚です。
 リズミカルな、高い、澄んだ、微かな、柔らかな、音たち。会場をちょっと暖かく、ちょっと優しく、ちょっとうれしく、ちょっと微笑ましい空間にしている音たち。
 緊張が強く、全身が一枚の板のようになっていた重度の脳性麻痺の幼児の耳元で、鳥のさえずりのような口笛を吹いたら、その瞬間、幼児の体から緊張が消え、全身脱力になったという自らの体験から、その人は音の力を確信したのだと言うのです。
 参加していた重症心身障害児者の車椅子や、ストレッチャーに楽器を触れさせて、その奏でる音の振動を伝えます。その音の振動が車椅子から彼らに優しく伝わるのです。その心地よい振動が彼らの緊張を解いていくのです。参加していた人たちも和んでいきます。
 皆さん、音の講演会を文章で表すことは出来ません。ご勘弁ください。
 しかし、それでも私は、例えばアンデスの山々の奥地で奏でられるような素朴な民族音楽の音には、私たちの魂というものにそっと触れて、その緊張を解く何かがあるのかもしれないと感じたことを、直にその音楽を、その音を聴いて体験したことをお伝えしたかったのです。
 重い障害の人たちの感性に直接触れる、自然を感じさせる音には不思議な力がある……ということでしょうか。


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