無明長夜もかくばかり…

食のこと、家族のこと、ペットのことや日々の雑感… 
手探りをしながら、書き綴っていきたいと思います。

下町人情散策~その2

2006-05-20 | 雑感


さて、大量の文化フライを持って向かった先…
と、言いたいところだが、さすがにそれは無理であった。
一旦、会社に戻り一休みした後に向かった先が浅草は合羽橋。
来週のバーベキュー、オレの秘密兵器が「文化フライ」なら
ニョウボは「パエリア」でショーブしたいとのたまう。
しかし、今うちにあるパエリア鍋では貧弱すぎて無理!ということで
12~3人分がいっぺんに作れるような鍋を調達すべし!との命が下り
早いハナシ「パシリ」ですな。
大パエリア鍋を求めてやって来たというわけだ。

仕事場のある西巣鴨から、白山通りをひた走り
17号から、東大前を左に切れて言問通り。
金竜小学校前の交差点を右折すれば、そこに合羽橋道具街がある。
ちょうど三社祭の宵宮であったらしく、
祭り装束に身を固めた人々が多く行き交う。

傍らにバイクを停め、道具街を見て歩くと
これがなかなか面白い。



やや写真がぶれてしまったが、蝋細工の食品サンプルを発見。
これが実に楽しい。もちろん値段もいい。
外人観光客の多くがコレを土産に買っていくというが、それも頷ける。
時間のある時にゆっくりと見て回りたいくらい
厨房機器、器類、調理器具など、家庭用からプロ仕様まで
ありとあらゆるものが揃っている。

しかし、あんなに青かった空の雲行きが怪しくなってきた。
早いところ用事を済ませなければと、それでも色々見て回り
ようやくパエリア鍋を発見し、それを購入。



直径45cm、人数にして12~3人前分。
こりゃ当日が楽しみになってきた。
安心して店を出ると、あっという間に空が真っ暗になってきた。
馬の背を分ける雨というが、まさにその通りで
凄い勢いで降り出してきてしまった。



こうなったら慌てても仕方ない。
幸いアーケードになっているので、
濡れずに色々な店を冷やかすことが可能だ。
もちろん懐の都合もあるので、無闇に買うわけにもいかないが
パエリア鍋が予想以上に安かったので
以前から欲しかった「ホットサンドプレート」を購入。



朝食の楽しみが増えた。
それにしても鉄製でデカイ鍋が重くて、しかも持ちにくい。
雨宿りを兼ねて、どこかでお茶でも飲もうかと
喫茶店を探すのだが、「あった!」と思うと
大概はディスプレー見本だったりして、ややこしいたらありゃしないのだ。



ようやく見つけたと思ったら、皆考えることは同じらしく
雨宿りの客で満員だったりする。
ふと、とある喫茶店用の家具の店を見ると
↓こんな看板が…



一階が喫茶店家具で、二階には本物の喫茶店があった。
喫茶店というもの自体、少なくなった昨今。
オレはアイスコーヒーか、アイスカフェオレ派だが
やっぱりこういう下町の店に入ったら、そういうものが飲みたい。



「クリームソーダ」である。
こういう鮮やかなグリーンのソーダ水も、滅多に見なくなった。
この喫茶店が、実に家庭的でお母さんの店主に娘さんと
その子供という、三代で切り盛りをされている。
とはいっても三代目は、まだ幼稚園児らしいが
この女の子が、可愛い祭り装束に身を固め
客が出て行くと、かわいらしい声で
「ありがとうございました~」と送り出してくれる。
しかも階段の上では、店のマスコットなのか
シーズーのワンコが陣取って、客を送り迎えしている。



しばらく外の様子を見ながら、一服していると
どうやら雨も小降りになってきた様子なので
今のうちに一気に帰ってしまおうと、空を見上げると
まだ、やや降ってはいるものの、雲は切れ始め
遠くの空には明るさが見えてきた。
帰るなら今のうちと、走り出したのだが…

やっぱり降りが激しくなってきやがった。
結局、会社に戻る頃にはズブ濡れである。
仕事場においてあったジャージに着替え、
濡れたジーパンを乾かしていると



雨のバッキャロー!

下町人情散策~その1

2006-05-20 | 雑感


一昨日、久しぶりにはすぴーさんに電話をした。
来週の日曜日に、社内の有志を募ってバーベキューをやることになった。
オレが以前から、事あるたびに話題に出していた文化フライ
これを「食べてみたい」という希望があったので、
ではひとつ、久しぶりに取り寄せてバーベキューのメインにしようではないかと思い
「長谷川商店」さんに電話を入れてみた。
ところが何度コールしてもお出にならないため、「もしや」と思ったのである。
急な電話はご迷惑であったろうが、はすぴーさんは快く話に応じてくれ
更には「もしよかったら、貰った分があるからお分けしますよ」とまで仰ってくれた。
毎度毎度頂戴しても申し訳ないし、何よりも今回は量が多い。
バーベキューの分、また、一家揃って文化フライファンの自分の家用と合わせると
1パック15枚入りのものを4パックほど欲しかった。
最悪の場合ははすぴーさんのご厚意に甘えるとして
一応昨日、もう一度「長谷川商店」さんに電話を入れてみると
旦那さんがお出になってくれ、前回の礼を述べ、また今回も譲って欲しい旨を伝えた。

電話でのやりとりで旦那さんから、大変恐縮で
そして「ちょっといい話」を聞かせていただいた。

今年の春のこと。
花見にでもおいでになったのだろうか、会社の近くの飛鳥山公園に来られたそうで、
その時、オレの会社が近くであることを思い出され、
お土産に文化フライを持って、会社に訪ねてこられたというのだ。
前回お会いしたとき、こちらの住所を教えた記憶がないので
恐らくは会社の電話番号から、調べていただいたのであろう。
ところが、ビルの受付でオレの名前を伝えると
「うちにはそういうものはおりません」と言われ、仕方なく帰ったということだ。
うちの会社の入っているビルは、建設会社の持ちビルで
1階はエントランスになっており、メゾネット式の階段で2階の受付に続いている。
しかし建設会社の受付であるため、そこでオレの名を出しても
「おりません」と言われるのが当然だ。

「うちのヤツが大変ガッカリしましてねぇ」

もちろん客観的に考えれば、オレの落ち度はないのだが
失礼ながらご高齢の身で、しかもオレが大好物であると言った文化フライをお土産に、
わざわざ会社まで来ていただいたことを考えると
これはひたすらにお詫びをするしかない。

下町のおばさんには、こういう方が多い。
今なら「大きなお世話」の一言で片づけられてしまうのだろうが、
オレのためにお土産を持って、わざわざ訪ねてきてくれる
この気持ちには「喜ぶ顔が見たい」という以外に一切の打算がない。
しかもオレが居なかったからといって、それをオレに愚痴るでもない。
「電話を下されば…」と言ったのだが、実はそんな簡単なことではない。
押しつけがましさの微塵もない、純粋で「世話好き」で「喜んで貰いたがり」な
いい意味の「おせっかい」。シャイな江戸っ子の下町気質。

ひたすらに恐縮して詫び、しかも今回も届けてくれるとまで仰るのを固辞し
長谷川さんの地元である、西新井まで出向くことになった。
実際にお会いして、直にお話しさせて頂くのが
その気持ちに対する礼儀であると思ったのだ。

心配であった空模様は、まるで真夏のような強い陽差し。
上着を着ていると、バイクに乗っていても暑いほどである。
約束の駅前の交番へと向かう。
前回同様20分も早く着いてしまったので、西新井大師を散策してみた。



時間が早いためか、参詣客も少なく、露店も開業前と行った風情だ。



懐かしのアメ細工は主人が不在だったが、ガキの頃はその細かい細工に目を見張ったものだ。
「あなたの干支を作ります」とある。



喫煙所の前の池には、散歩や参詣のお年寄りや子供連れのお父さん達がくつろぐ。



鯉に混じって親子の鴨もいる。長閑な昼下がりだ。



参道は草だんごの店が多い。



昔ながらのせんべい屋さんの店先では、店番のおじさんが居眠りをされていた。

ブラブラと10分ほど彷徨いて暇を潰し、待ち合わせの交番前に行くと
自転車の荷台にそれらしい荷物を乗せた、年輩の男性が
タバコを吸いながら環七を行き交う車を眺めている。
前回は「長谷川のおばちゃん」が来て下さったが、
今回は旦那さんらしい。しかし顔を知らないので恐る恐る尋ねてみると
思った通り、旦那さんであった。
会社を尋ねていただいた際のお礼とお詫びを言い、
立ち話ではあったが、少しお話をさせていただいた。
旦那さんのお話によると、はすぴーさんの宣伝効果のおかげか
最近はポツポツと注文なども増えているらしく、
先日は、オレの出身地でもある松戸の市民祭りで500枚もの注文があったという。

「最近はお宅の近所にも届けてるところがあるんで
言ってくれれば2パック以上ならお届けしますよ」
「『文化フライ』を継いでくれる方はいないんですか?」

そう聞くと、やや寂しげに笑っておられた。

「もったいないですよね。うちも家族みんな大好きなんですよ」

15パック入りのものを4パック注文したのだが、
前回同様に“おまけ”をくださった。有り難いことである。

「もし次回訪ねて頂くようなことがあれば」

と、オレの名刺を渡した。
これではまるで「お土産」をねだっているようなものだが
オレはこれでいいと思った。
注文をしていないのに「近くに来たから」という理由で
わざわざ訪ねてくれる、この人達の気持ちは
遠慮することが逆に失礼であると思ったからだ。
もしかしたら絶滅してしまうかも知れない『文化フライ』の存在を、
オレ達の心の中で大事に生かしていかなければならない。

お礼を述べて旦那さんと別れ、会社に戻って包みを開けて驚いた。
4パックどころではない。3パックの包みが2つ。
10枚入りのパックが一つ。おまけが2パック。
計9パック100枚の文化フライ!
秘伝のソースはペットボトルに2本。



これはバーベキューで大盤振る舞いしても、家族でも充分に楽しめる。
有り難いことである。

長谷川のおばちゃん、旦那さん
ありがとうございました。
お気持ちしっかり頂きました。
遠慮なく頂戴します。

下町の人情散策の1日




追記/はすぴーさんのブログ「今日のつれづれ。。。」にて紹介していただきました。
『文化フライ』は『はすぴー倶楽部』「絶滅寸前のこだわり商品」内にある
『文化フライ』『続・文化フライ 』に詳しいです。