アリの一言 

オキナワ、天皇制、朝鮮半島の現実と歴史などから、
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「北朝鮮問題」に対するガルトゥング氏の「緊急提言」

2017年07月31日 | 朝鮮半島の歴史・政治...

     

 北朝鮮の弾道ミサイル反射(28日)に対し、米空軍と航空自衛隊が30日、朝鮮半島沖で共同訓練を行いました。米軍はそのあと韓国軍とも共同訓練を行っており、アメリカを中心に米日韓が北朝鮮と軍事的に対峙する構図が鮮明になっています。

 この事態をどう見るべきか、日本は北朝鮮に対しどう臨むべきか、これまで以上に冷静な判断が私たちに求められているのではないでしょうか。

 その点で重要なヒントを与えてくれる本が「緊急出版」されました。「積極的平和主義」を提唱し(安倍首相のそれは名前だけ横領したまったくのまがいもの)、「平和学の父」といわれるヨハン・ガルトゥング氏(ノルウェイ)の『日本人のための平和論』(ダイヤモンド社、2017年6月)です。

 「集団的自衛権」「構造的暴力」「平和運動への提言」など14の章からなる同著で、第6章が「北朝鮮ー理解不可能な国なのか?」です。

 ガルトゥング氏は「ピョンヤンで北朝鮮外務省の官僚たちと会談(2000年)」し、「日本との関係をどうすれば改善できるか、そもそも両国の関係はなぜこんなにこじれてしまったのか」と尋ねたところ、彼らは「問題と考える日本の行為」として6項目のリストを示しました。6項目とはーー。

 ●韓国・朝鮮人100万人の殺害または拷問(被爆者を含む)
 ●韓国・朝鮮人600万人の戦時徴用(20万人の「慰安婦」を含む)
 ●経済的略奪
 ●文化的宝物の押収または破壊
 ●在日韓国・朝鮮人が日本で置かれている状況
 ●米ソによる朝鮮半島分割に日本の植民地政策が及ぼした影響

 「リストされた問題は日韓併合の1910年までさかのぼり、彼らの抗議は日本が同化政策を行った全期間に及んだ」(ガルトゥング氏)

 さらにガルトゥング氏は、北朝鮮の核兵器保有について、「私は北朝鮮の核保有には5つの理由があると思う」として、こう述べています。

 「第1に、抑止力のため。第2に、攻撃されたときの反撃のため。(中略)
 第3、第4、第5の理由はもっと興味深い。第3に、彼らは核のない朝鮮半島を望んでいる。そのための交渉材料として核兵器を保有している。彼らは韓国に送り込んだ多数のスパイを通じて、米軍が韓国に核兵器を配備していることを知っており、場所も特定している。米国はそのような事実はないと否定し、韓国も米国の言いつけ通りに否定している。しかし私は、世界でーたとえばオーストリアでー米国が行っている核政策から推して、米国の発表を信じない。北朝鮮が交渉材料としての核を必要とする理由がそこにある。(中略)
 第4に、…北朝鮮は、自分たちには十分な国力があること、孤立無援ではないことを示すために核を保有しているとも考えられる。
 第5に、北朝鮮に対する外からの制裁や脅威が限度を超えたときに使用するために保有している」

 最後にガルトゥング氏は、「北朝鮮とどうつきあうか」として、次のように述べてこの章を結んでいます。

 「日本は北朝鮮に対する経済制裁に加わっているが、この制裁はまったく逆効果である。私は日本のどこかの非政府機関(NGO)に、北朝鮮と直接コンタクトを取って対話し、将来の関係のあり方を探り、制裁に代わる方法を模索してほしいと願っている。制裁を完全に無意味化するような物資やサービスを送ってほしいということではなく、可能なところから平和構築に向けた取り組みを始めてほしいということである」

 こうした氏の「分析・提言」をどう受け止めるか。私はほかの問題では氏に賛同できないところがあります(たとえば「安保(条約)は廃棄せず寝かせておく」という主張)が、「6項目のリスト」はなるほどと思います。それらはいずれも、日本が朝鮮に対して行った植民地政策の結果であり、日本(人)はその植民地政策について歴史的事実を明確にしたうえで謝罪し補償し教訓化するという義務・責任を果たしていないことは事実だからです。

 さらに、北朝鮮の核兵器保有(関連するミサイル発射)が、アメリカの朝鮮半島(東アジア)における核戦略に対する対抗(防衛)措置であるとの指摘にも同意します。

 そして、「(経済)制裁」は逆効果であり、(氏は直接触れていませんが)米日韓合同の軍事行動(「訓練」という名の圧力)が事態を悪化させることは確かです。
 ガルトゥング氏はNGOに期待していますが、私たち1人ひとりが「平和構築に向けた取り組み(世論形成を含め)」を始める必要があるのではないでしょうか。

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