アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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理不尽な「伊波降ろし」、候補者選考の基準は「基本政策」

2016年03月08日 | 沖縄・翁長知事

  

 翁長雄志知事を支える「オール沖縄」の中から、宜野湾市長選の敗北を口実に、参院選の予定候補者に内定している伊波洋一氏(写真左=琉球新報より)を引きずり降ろそうとする動きが強まっています。きわめて理不尽な動きで、「オール沖縄」の実態を示すものとして注目されます。

 伊波降ろしの急先鋒は、翁長氏にきわめて近い呉屋守将・金秀グループ会長(写真中の左端)。呉屋氏は宜野湾市長選告示前の昨年12月27日すでに、「伊波洋一さん、もしこの市長選を落とすことがあれば、あなたは参院選を降りる覚悟をここで示すべきではないか」(1月26日付琉球新報)と詰め寄る異常な言動を行っていました。
 そしてさらに選挙後、「与党(県政―引用者)の一部や経済界から伊波氏への不満が表面化」(3月3日付沖縄タイムス)してきました。

 参院選候補者について、「選考委(参院沖縄選挙区・候補者選考委員会=座長・新里米吉県議―引用者)は、昨年9月に伊波氏に出馬を正式に要請し、受諾」(同沖縄タイムス)されています。すでに内定済みです。それを呉屋氏らが蒸し返したため、2月28日の選考委では伊波氏擁立の正式決定が先送りされました。

 宜野湾市長選の敗北を、伊波氏に押し付けるのはまったく筋違いです。
 敗北の責任を問うなら、真っ先に翁長氏の責任を問わねばなりません。
 「オール沖縄側の候補者選考から選挙戦まで、翁長雄志知事が前面に立った以上、翁長知事への審判と取られることは避けられない」(佐藤学沖国大教授、1月25日付沖縄タイムス)

 ところがここにきて、「市長選敗北」は伊波降ろしの口実ではないかと思われる動きが出ています。「(伊波氏擁立に―引用者)難色を示す経済界が懸念するのは、伊波氏で保革を超えた『オール沖縄』の枠組みを維持できるかどうかだ。市長選では、翁長県政が普天間飛行場の県外移設を訴える中で『無条件の閉鎖撤去』を前面に掲げるなど、主張の違いが分かりにくさを招いた」(4日付琉球新報)と報じられていることです。
 政策的に「革新色の強い伊波氏」(同)は「オール沖縄」の候補としてふさわしくない、というわけです。

 これはきわめて奇異な言い分です。なぜなら、選考委で伊波氏が内定したのは、事前に決定した「参院選基本政策」(2015年8月21日決定)に基づくものだからです。
 選考委が決定した「基本政策」はどのようなものでしょうか。6項目の「全文」(8月22日付琉球新報)を引用します。

 日本国憲法の理念と9条を守り、安保法案の廃案(廃止)を目指す。日米地位協定の全面改定に取り組む。
 米軍普天間基地を閉鎖・撤去し、辺野古新基地建設断念を求める。オスプレイ配備を撤回させ、新たな基地は造らせない。基地返還の促進を求め跡地利用や基地従業員の雇用問題に取り組む。
 「21世紀ビジョン」「アジア経済戦略構想」の実現に協力し、観光産業、地場産業、農業・漁業および中小企業の振興を図る。くらしと経済を壊すTPPと消費税増税に反対する。
 社会保障制度の拡充を図り、くらし・医療・福祉の充実を目指す。雇用の安定・安心に向けて失業率の改善と若者の雇用創出に取り組み、不当な賃金格差是正と非正規雇用の改善を図るとともに公契約法の制定を目指す。
 子どもが主人公の教育を進め、30人以下学級等教育環境の整備に取り組む。子どもの貧困解消、子育て支援、男女平等社会の実現に取り組む。
 原発の新設と再稼働を許さず、再生可能エネルギーを推進する。自然環境の保全、回復に力を入れる。

 この「基本政策」は、選考委を構成する11団体で了承・決定されたものです。その中には呉屋氏の金秀グループも入っています。

 「基本政策」第2項は、「米軍普天間基地を閉鎖・撤去」です。「県外移設」とはどこにも書いてありません。むしろこれは「無条件閉鎖・撤去」を意味するととる方が自然でしょう。少なくとも翁長氏が主張する「県外移設」が選考委の「基本政策」にないことは確かです。

 選考委の候補者決定は、上記6項目の「基本政策」に基づいて、それを実行する意思がある人物を選ぶべきであるのは言うまでもありません。

☆以前書いた「天皇・皇后訪比」についての計4回のブログ(1月23日、2月1日、2日、4日)に、乗松聡子氏(「ピース・フィロソフィー・センター」代表)が質量ともに大幅に肉付けしてくださったものが、共著の形で英文オンラインジャーナル『アジア太平洋ジャーナル:ジャパンフォーカス』に掲載されました。乗松さんに深く感謝し、お知らせいたします。
http://apjjf.org/2016/05/Kihara.html

 

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