アリの一言 

オキナワ、天皇制の現実と歴史などから、
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「秋篠宮長女婚約内定」はなぜリークされたのか

2017年05月18日 | 天皇制と日本の政治・...

     

 16日夜から日本のメディアを席巻している秋篠宮家長女・眞子氏の「婚約内定」報道。またしても「皇室報道」の問題が浮上しています。

 この「ニュース」の出どころはどこでしょうか。メディアは「宮内庁は16日…明らかにした」(17日付朝日新聞1面)、「宮内庁の山本信一郎長官が明らかにした」(同中国新聞1面=共同)など、宮内庁が発表したかのように報じていますが、それはウソです。 

 「宮内庁の山本信一郎長官は16日夜、急きょ、宮内庁で報道陣の取材に対応し…『しかるべき時期に発表すべく、計画を進めようとしているところだ』と説明。『皇族方の気持ちに密接に関わることについて、発表を待たずに報道がなされたことは不本意であり、残念だ』と硬い表情で強調した」(17日付中国新聞社会面=共同)

 「婚約内定」報道のソースは宮内庁発表ではなく、同庁の意に反したリークだったのです。
 ではいったい、だれ(どこ)がリークしたのか。そして、なぜ16日だったのか。

 「第1報」がどこから出たのか、確たる証拠はありません。ただ、私が見聞きしていた限りでは、16日午後7時のNHKニュースの直前に「速報」のテロップが流れ、その直後のNHK「7時のニュース」では詳しく報じられました。NHKが発信元である可能性は小さくありません。山本宮内庁長官が取材に応じたのは、「同日午後8時半から」(17日付読売新聞)。NHKニュースの後です。

 問題は、なぜ16日(この時期)だったのかです。少なくとも次の3つの動きと関係があるのではないでしょうか。

 ★「天皇退位特例法」との関係…「退位特例法」は19日に閣議決定され国会に提出される予定です。その3日前の「婚約内定」報道(騒動)で、皇室に対する「親近感」は高まり、「女性宮家」への議論が改めて浮上しています。「政界からは…『女性宮家』創設の議論に影響するとの意見も出た」(17日付中国新聞=共同)

 ★「共謀罪」法案強行との関係…安倍政権・自民党は、「共謀罪」法案を「17日の衆院法務委員会で採決を強行する構え」(17日付中国新聞=共同)でした。結局この日は野党が金田勝年法相の不信任決議案を提出し、採決の強行は見送られましたが、「婚約内定」報道は安倍政権の最重要法案である「共謀罪」法案が最大のヤマ場を迎えるまさにその時に行われたのでした。

 ★加計学園をめぐる新疑惑発覚との関係…加計学園の加計孝太郎氏と安倍首相は無二の親友で、昭恵氏が同学園経営の子供施設の名誉園長であることから、同学園の獣医学部創設(今治市)疑惑は、「森友学園」とともに、安倍首相の行政私物化疑惑として当初から問題になっていました。
 民進党議員は17日の国会で、「総理の意向」と明記された「文科省の文書」を新たに示して追及。各紙はきょう(18日)付でそれを大きく報道しています。

 しかし、この「新事実」は、民進党議員の追及より早く、朝日新聞が17日付の最終版1面トップでスクープしたものです(写真右。最終版だけに載せるのは特に重要なスクープを他紙から守るための常とう手段)。
 朝日は18日付でもさらにスクープを続けており、「加計学園問題」が安倍首相の新たなアキレス腱になるのは必至です。

 その朝日のスクープを16日中に「安倍(官邸)周辺」がキャッチし、報道のインパクトを軽減するために「婚約内定」をリークした(報道させた)、と考えるのは、あながち荒唐無稽ではないでしょう。

 以上の3点は、もちろん私の推測です。リーク者の意図がどこにあったのか確たる証拠はありません(「女性宮家」創設の議論は安倍首相の意図に反しますし)。
 しかし確かなことは、16日夜以降のメディアの異常な(芸能誌顔負けの)「婚約内定」報道によって、結果として、天皇制(皇室)への「親近感」は強められ、「共謀罪」法案や「加計学園疑惑」の報道が相対的に薄められていることは否定できないということです。

 出所の分からないリークで世論を動かし、政治に大きな影響を及ぼす。それは昨年7月の「天皇退位」報道(このときも第1報は7月13日夜7時のNHKニュース)と同じパターンです。

 ここに権力とメディアが一体となって展開する「皇室報道」の政治的意味・危険性があります。それが、国家権力が「(象徴)天皇制」を温存している1つの重要な意味(狙い)だと言えるでしょう。

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