アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

元旦から繰り広げられる「天皇・明治維新」キャンペーン

2018年01月01日 | 天皇制とメディア

     

 2018年は、NHKや新聞の「天皇・明治維新」キャンペーンで幕開けしました。

 NHKは午前6時のニュースのトップから、天皇が来年の退位までに「戦地」や「被災地」を再度訪問することを希望しているという「ニュース」を繰り返し流しました(写真左)。

 さらに、総合テレビでは午前7時20分から2時間にわたり、人気俳優2人のナレーションで、「究極ガイド・憧れの伊勢神宮」なる番組を放送しました(写真中)。
 言うまでもなく伊勢神宮は、「皇祖神」・天照大神を祀った「皇室神道」の”聖地”です。

 1年の宮中祭祀は、天皇が元日の朝、庭(神嘉殿前庭)に出て伊勢神宮や四方の神々を拝む四方拝(しほうはい)」という神道儀式から始まります。NHKの「伊勢神宮ガイド」が、ちょうど天皇の「四方拝」に合わせるように組まれたのは果たして偶然でしょうか。

 NHKだけではありません。
 中国新聞は1日付で3ページにわたる「天皇・皇室特集」を組み、「象徴天皇の理念追求」「国民の幸せ祈る日々」などと明仁天皇を賛美しました(写真右)。
 
 この中で斉藤孝明治大教授は、「お二人(天皇・皇后―引用者)のお言葉はこの国の歴史でもあり…通して読めば、日本の歴史と感性に触れるよい機会になる」などと、皇国史観を思わせるようなことを言っています。

 社説で特徴的なのは、天皇制を明治維新と関連付けて美化していることです。

 「国民国家の揺らぎ」と題した毎日新聞の社説(1日付)は、「日本にとって今年は1868年の明治維新から150年にあたる。…あるべき国家像とは。自らを顧みて問いかけが必要な節目である」とし、「明治憲法を起草した伊藤博文は、『国家の機軸』を天皇に求めた」が、現在「私たちが世界各地で目にするのは、国民国家の揺らぎやほころびである」としたうえで、「今年は平成の幕切れに向けたカウントダウンも本格化する。『国民統合の象徴』であり続ける道を天皇陛下が熟慮された結果として、来年4月末の退位が決まった」とつなげています。

 要するに、「揺らぎやほころび」が目立ってきた「国民国家」を、「象徴天皇制」を「国家の機軸」にして立て直そう、というわけです。伊藤博文の発想とどれだけの違いがあるでしょうか。

 中国新聞の社説(1日付)もまた、「ことしは明治改元から150年の節目である」とし、「明治の世は西欧に学んで富国強兵の道も敷いたが、議会や憲法という民意をくみ上げようとする仕組みも築いた」と賛美、「次の150年へ、維新の気概を生かす道」をさぐるべきだと主張しています。

 明治時代は、日清戦争(1894年)、日露戦争(1904年)、韓国併合(1910年)に代表されるように、日本帝国主義の侵略戦争と植民地支配の歴史でした。その法的・社会的・教育的支柱になったのが、維新政府がつくりだした新たな「天皇制」にほかなりません。

 そうした史実を覆い隠し、「維新150年」と「天皇退位・即位」を結び付けて、「天皇制」と「明治」を美化・賛美するキャンペーンが今年大々的に行われるのは必至です。元日のメディア状況はその先駆けと言えるでしょう。
 「国民主権」、「侵略戦争と植民地支配の歴史」にとって、正念場の年です。

 今年、当ブログではこの問題を中心テーマの1つとし、みんさんと一緒に考えていきたいと思っています。

 ※お知らせ

 『「象徴天皇制」を考える その過去、現在、未来』(B6判、187ページ)と題した本を自費出版しました。これまでブログに書いてきた「天皇(制)」の関するものをまとめたものです(昨年10月までの分)。在庫がまだ少しあります。ご希望の方に1冊1000円(郵送料込み)でおわけします。郵便振り込みでお申し込みください。
 口座番号 01350-8-106405
 口座名称 鬼原悟

 

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