アリの一言 

オキナワ、天皇制の現実と歴史などから、
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憲法に反する「力による平和」の日米同盟

2017年04月20日 | 日米同盟・日米安保

     

 アメリカのペンス副大統領は18日の安倍首相との会談で、北朝鮮に対する軍事圧力に関連して、「平和は力によってのみ初めて達成される」と述べました。これに対し安倍首相は、「(アメリカが)全ての選択肢があるとの考えで対処しようとしていることを日本は評価する」と賛辞を送りました。
 日米同盟とは「力による平和」を共通基盤にしたものであることを白日の下にさらした会談でしたが、これを過小評価したり見逃したりすることは絶対にできません。
 なぜなら「力による平和」は、日本国憲法はもちろん、国連憲章の基本理念にさえ反し、大戦の歴史的教訓を踏みにじるものだからです。

 国連憲章は前文でこううたっています。
 「われら連合国の人民は、われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認し…共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保(する)」

 そのうえで憲章第2条第3項は、「すべて加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない」と規定しています。

 国連憲章がこう定めているのは、「紛争の平和的解決つまり非軍事的解決こそは、国連憲章の最も基本的な精神である。これは、第二次大戦の苦い教訓の上に立っている」(渡辺洋三氏『憲法と国連憲章』岩波書店)からです。

 さらに、憲章第2条第4項は、「すべて加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を…慎まなければならない」と規定しています。
 「ここで特に注目されるのは、単に武力行使のみならず、武力による威嚇もまた禁止されていることである。これは、戦争を禁止しても、すでに戦争(武力行使)に入ってからでは手おくれとなるので、戦争になる以前に武力による威嚇そのものを禁止しなければならないという趣旨である」(渡辺洋三氏、前掲書)

 こうした国連憲章の基本理念をさらに徹底させたのが、いうまでもなく日本国憲法です。

 憲法は前文で、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と宣言しています。

 そして第9条第1項は「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と、「武力の行使」だけでなく「武力による威嚇」の放棄を明言し、第2項で「前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と戦力不保持を明記しています。

 日本国憲法の平和主義は、欧米の憲法や国連憲章とくらべても傑出しています。

 「立憲主義を生み出した西欧の文明は、『最終的には力によって擁護される正義』という思想と分かちがたく結びついてきた。…ほかならぬ国際連合憲章も、『戦争』の違法化を前提としながらも、最終的には、軍事力による制裁によって平和を回復するという考え方のうえに組み立てられている。…それに対し、日本国憲法は、九条によって、二一世紀にむけての人類社会に対し、あえて、もうひとつの別の選択を提示したものである」(樋口陽一氏『憲法入門』勁草書房)

 トランプ政権による北朝鮮への軍事圧力が、国連憲章が禁じている「武力による威嚇」にあたり、「力による平和」が日本国憲法の基本原則に反していることは明白です。
 そして実態的にも、米軍と憲法違反の軍隊(戦力)である自衛隊の一体化が急速に進行しています。海自は朝鮮半島沖で米原子力空母カール・ビンソンと共同「訓練」を行う計画です。ペンス副大統領が19日に横須賀の米原子力空母ロナルド・レーガンで行った北朝鮮をけん制する演説には自衛隊も参加していました=写真右。

 これが日米安保条約による憲法違反の「日米同盟」の実態です。

 ところがこの憲法違反の「日米同盟」を擁護しているのが日本のメディアです。
 ペンス副大統領の「力による平和」発言とそれを「評価」した安倍首相を社説で批判した新聞は1つもありません。
 「北朝鮮への圧力は、外交、軍事両面で戦略的に高めるべきだ。…厳しい懲罰行動も辞さない姿勢を示すことが欠かせない」(19日付社説)と「武力による威嚇」をたきつけている読売新聞は論外として、「平和解決へ日米連携を」という東京新聞でも、「対話を呼び掛けるだけで北朝鮮が核、ミサイル開発の断念に応じるようなことはないだろう。残念ながら軍事力の存在がなければ、交渉のテーブルに着けることすらできないというのが、国際政治の現実ではある」(19日付社説)と、「武力による威嚇」を肯定しています。

 憲法違反の「日米同盟」(日米安保体制)を擁護・肯定してはばからないこうした日本のメディアが、「安倍内閣の高支持率」を作り出している要因の1つであることは明らかです。

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