アリの一言 

オキナワ、天皇制、朝鮮半島の現実と歴史などから、
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「集団自決」展の後援を拒否した翁長県政

2017年04月04日 | 沖縄・翁長知事

     

 沖縄県紙を読んでいないと分からない翁長県政の重大問題がまた起こっています。

 「『集団自決』(強制集団死)の軍命を明記するよう活動する『9・29県民大会決議を実現させる会』(仲西春雅世話人)が、県庁(写真中)1階の県民ホールで『集団自決』や会の活動などを展示するパネル展を企画して県教育庁に後援を依頼したものの、『後援の規定』を理由に断られていたことが31日までに分かった。同庁は取材に対し、後援を認めれば会を支持することになるとして『議論のある問題で教育庁が特定の立場をとることはできない』と話した」(1日付琉球新報)

 「議論のある問題」で「後援」はできないという口実で公共の施設を使わせないのは、保守自治体が市民の自主的活動に圧力をかける常とう手段ですが、それが沖縄県でまた起こっているのです。

 日本軍による強制集団死(「集団自決」)は沖縄戦の歴史の要といえます。それを「議論のある問題」とする県教育庁の言い分は異常です。
 しかも、パネル展を企画している「9・29県民大会決議を実現させる会」は、沖縄の現代史において重要な意味をもつ会です。
 「9・29県民大会」とは、2007年9月29日に宜野湾市の海浜公園で行われた「教科書検定の検定意見撤回を求める県民大会」。11万人(主催者発表)という「沖縄現代史上にも前例を見ない大群衆」(新崎盛暉氏『日本にとって沖縄とは何か』岩波新書)が結集しました。同年3月30日の教科書検定で文科省が「集団自決」から日本軍による強制の記述を修正・削除したことへの抗議集会です。これには当時の仲井真弘多知事、翁長那覇市長、仲村守和教育長らも出席しました。
 新崎盛暉沖縄大名誉教授はその意義をこう述べています。
 「沖縄社会が、改めて『沖縄戦とは何か』、『日本軍とは何か』を大衆的に問い返すきっかけになったのは、沖縄返還の際の自衛隊の強行配備である。二度目が八二年の教科書検定三度目が〇七年だといえよう」(前掲書)

 この県民大会の決議実現をめざして「集団自決」や教科書問題の真相を世代を超えて伝える活動をしている会が、大会から10年になるのを記念して企画したのがパネル展です。その度重なる要請を拒否して県庁ロビーを使わせない県の対応は言語道断と言わねばなりません。

 重要なのは、翁長県政が市民の活動や沖縄戦の歴史の普及に背を向けているのはこの問題だけではないということです。

 県立博物館・美術館が「政治色が濃い」という理由で孫崎享氏の講演に会場使用を拒否したのは記憶に新しいところです(問題化したのちに撤回)。使用を拒否した担当者は「県の指導があった」(3月4日付琉球新報)と述べています。

 また、首里公園にある第32軍司令壕の説明板(写真右)から、仲井真県政時代に「慰安婦」「日本軍による住民虐殺」の文字が削除された件で、同壕説明板設置検討委員会の元委員長・池田榮史琉大教授ら元委員3人が、その後明らかになった事実をもとに県に文言の復活を要求しましたが(2016年9月26日)、翁長県政はこれに背を向けたままです。

 安倍政権が自衛隊配備を強行しようとしている石垣市では、「南京事件」や「従軍慰安婦」の記述を理由に今年度から副読本の使用を中止しようとしています。

 こうした一連の動きは、市民活動への圧力とともに、沖縄戦をはじめとする戦争の史実を教育・普及することを妨害するものです。安倍政権が日米安保体制を強化し、戦争法(安保法制)の下で自衛隊と米軍の一体化を進めようとしていることとけっして無関係ではありません。

 琉球新報の社説(2日付)は、「教育庁は歴史の事実を後世に伝える重要性を再認識すべきだ」と結んでいます。しかし、問題は教育庁のレベルですむことではありません。
 最大の責任は翁長知事にあります。翁長氏が事の経過を知らないはずがありません。教育庁の判断は翁長氏の判断です。そもそも教育長の任免権は知事にあるのです。万々一、翁長氏が知らなかったとしても、報道によって知った時点で教育庁を一喝し、会の企画を後援すべきですが、翁長氏はそれをしていません。

 県博の問題も、第32軍説明板の問題も、追及すべきは翁長氏の責任です。
 抽象的な「県」や担当部署の責任を問いながら、肝心の翁長氏の責任は問わない「報道」を、いつまで続けるつもりでしょうか。

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