アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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翁長知事の中では「辺野古」は終わっている

2017年02月14日 | 沖縄・翁長・辺野古・...

     

  翁長雄志知事の中では「辺野古問題」はすでに終わっている。そう思わせる事実が最近相次いでいます。

 翁長氏が本気で辺野古新基地を阻止する意思がないことは、「埋立承認の取消」を自ら撤回したうえ、市民や識者が繰り返し求めている「承認の撤回」を棚上げし続けていることに端的に表れています。

 それに加えて、今月に入ってからの出来事を4点挙げます。

 ① 海上工事開始にコメントもせず、顔も出さず。

 安倍政権が海上本体工事を開始した6日、「翁長氏はなぜ辺野古へ行かないのか」と書きましたが(6日のブログ参照)、辺野古どころか、この日翁長氏は県庁に登庁すらせず、だんまりを決め込んでいました。

 「5日夜に訪米から帰国したばかりの翁長氏は終日登庁せず、沈黙を保った」(7日付中国新聞=共同配信)

 ② 外務、防衛両省を訪ねるも「辺野古工事」に抗議するどころか言及さえせず。

 翁長氏は9日、東京の外務、防衛両省を訪ね、「米軍事故の際の新協議会」の設置を要求しました。例によって実効性の乏しいパフォーマンスですが、問題はわざわざ外務、防衛両省へ行き、薗浦健太郎外務、若宮健嗣防衛両副大臣に会っていながら、辺野古の工事については一言も抗議しないばかりか、言及さえしなかったことです。

 「翁長知事は要請後、記者団に、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先、名護市辺野古での海上本体工事については、十分な時間がなく取り上げられなかったと述べた」(10日付中国新聞=共同配信)

 琉球新報、沖縄タイムスの記者は当然知っていたはずですが(記者団に語ったのですから)、両紙の記事にこのことは一行も書かれていません。なぜでしょうか?

 ③ 「辺野古・基地問題」軽視の副知事人事。

 翁長氏は10日、「口利き疑惑」で辞任した安慶田光男前副知事に代わる新しい副知事に元沖縄国際大学長の富川盛武氏を起用すると発表しました。
 富川氏は経済が専門の学者で行政経験はなく、とくに「基地問題」は未経験です。この結果、「基地問題」を担当する副知事はいなくなりました。「辺野古・基地問題」の軽視は歴然としています(翁長氏は代わりに基地問題を担当する政策調整監に元県議の吉田勝廣氏を任命しましたが、吉田氏は県議時代公明党会派に所属していた人物)。

 「知事周辺は、経済学者の富川氏を起用することで「『経済の翁長』へのイメージ転換」を強調する」(11日付沖縄タイムス)

 ④ 「辺野古が唯一の解決策」と明記した安倍首相とトランプ大統領の「共同声明」に対しコメントなし。

 「共同声明」に対し稲嶺進名護市長は11日、「辺野古が唯一でないことは沖縄県民がよく知っている。…県民と一緒に頑張りたい」(12日付沖縄タイムス)と批判しました。
 翁長氏のコメントは、まったく伝えられていません。コメントしていないのです。ただ「県関係者」なる者が「トランプ大統領と首相が辺野古推進を確認するのは想定内だ」(同沖縄タイムス)などと述べているだけです。

 翁長氏が「海上工事」を事実上容認し、「辺野古」から距離をおこうとしていることは明らかです。
 12日投票の浦添市長選では現職で反「オール沖縄」の松本哲治氏が大差で再選されましたが、「松本陣営関係者」が「知事に助けられた選挙だった」(14日付琉球新報)と「皮肉混じりに語った」というのもうなずけます。

  もともと知事選に出馬した時から翁長氏が本気で辺野古新基地を阻止する意思があったかどうかきわめて疑問でした。それでも辺野古新基地阻止の強い民意を背景に当選した手前、これまで「反対」の姿勢を示してきましたが、それも翁長氏の中では限界にきたのではないでしょうか。

 翁長氏の中では「辺野古」は終わっているとしても、実際のたたかいは終わるどころかこれからが正念場です。
 そのためにはまず、翁長氏に対する一切の幻想を払拭することです。琉球新報、沖縄タイムスは〝翁長擁護”をやめることです。そして翁長氏に対する必要な批判・要求を強めることです。
 具体的には、知事選の公約でもある「埋立承認の撤回」を直ちに実行させることが急務です。
 同時に、1年9カ月後の県知事選に向けて、新たなたたかいを作り上げていくことが必要ではないでしょうか。

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