¶タイタン号の宇宙探検¶

ご訪問いただきありがとうございます。

AC3★罪悪感から心の麻痺へ~モラルハラスメント被害者の心理状態

2006年03月20日 14時58分15秒 | 心理学・健康・その他

前回も説明しましたが、アダルトチルドレン(AC)は、精神的虐待(モラルハラスメント)の被害者を指す言葉です。ACを理解するにはまず、モラルハラスメントについて知る必要があります。(なかなかACまで辿り着けない…)
その大きな特徴は3つです。

①密室における言葉や態度による暴力なので、証拠が残らない
②加害者は、“善意・教育・しつけ・愛情”ゆえの行動と思っているので自覚がない
③被害者は長時間かけて虐待され、麻痺していくので抵抗が不可能

ものすごいトライアングルです。
こうした被害者がいかに外側からは理解されにくいか──今回はその真相の詳細を、私なりに解釈し、説明していきたいと思います。

◆精神的虐待(モラルハラスメント)の実態
モラルハラスメントは身体に直接、傷を与えることはなく、態度、言葉で相手の心を少しずつむしばんでいきます。しかもそれはとても長期にわたって行われるのが特徴です。
精神的虐待については、これまであまり語られることがありませんでした。あまりにも身近で当たり前のように行われていて「虐待ではないだろう」と思われていたのです。
密室性もその要因の一つです。モラルハラスメントは他人の見ていないところで常に行われます。更に、加害者は、外ではとても“模範的ないい人”なので、「まさかあの人が」と思われてしまいます。

◆温床は親にある
ACを作り出すのは、殆どの場合その “親” です。
傷つけられた子供の心は、歳を重ねても癒されず、子ども時代に植えつけられた不安、怒り、過剰な義務感、つきまとう罪悪感が、大人になったあなたに害を与え続ける──というのがその実態です。
モラルハラスメントを受けた子供はずっと(もしかしたら一生)自分が被害者だと気づきません。それは、加害者のマインドコントロール、被害者の罪悪感からくるもので、自分が被害者だと自覚するのが大変苦痛を伴うことだからです。

◆被害者の心理状態とは?(最悪のシナリオ)

<罪悪感>
加害者は正しく、しかも被害者を思いやっているいう雰囲気を作り上げます。「ダメなおまえを受け入れられるのは、私しかいない」と自分を唯一の理解者であるかのように思わせ、その状況で「おまえに責任がある」「あなたが悪い」と責められると、被害者側が罪悪感を感じてしまいます。
被害者が自己を責めつづけるかぎり問題は他人に気づかれず、加害者の支配からも抜け出すことができません。しかも加害者は、支配から逃れようとすると「おまえのために自分を犠牲にしてきた私から離れようとするなんて最低な人間だ」などと更に罪悪感を植えつけることもあります。

<混乱と不安>
虐待が行われている場のルールは、加害者が決めていますが、そのルールには一貫性がなく、被害者には、次に何が起こるか想像がつきません。
しかも、自分に何か問題があるとほのめかされたとき、その具体的なことはやりとりされないため、被害者は、加害者が何を考えているのかわからず、それを探ろうとします。しかしどんなに努力をしても、自分が間違っているということ以外何もわかりません。被害者は具体的なことがわからないために不安になり、加害者自身のその時々の基準の変化に混乱していきます。

<恐怖による緊張>
しだいに被害者は、加害者の感情に振り回され、支配され、反抗できなくなっていきます。
加害者の影を感じると緊張してしまい、自分の考えや思いが正直に話せません。
暴力(言葉や態度)を受ける恐怖におびえ続け、絶えず警戒し、緊張しています。
いったん自分の言動が問題にされたら、それを理由に半永久的な暴力が続くため、加害者の言動に対して何か違和感があったとしても、一切反論ができません。

<身体症状>
被害者は強い疲労・不安感、偏頭痛、胃痛、湿疹、アトピー、アレルギー、喘息が出てきたりすることもあります。また不眠、パニック発作、摂食障害、薬物・恋愛依存症、そしてうつ状態、アダルトチルドレンにもなりやすいとされています。
しかし、そのような体の不調が表れても、虐待が原因だという証拠がないため、加害者にその責任を迫ることはできません。それどころかその身体症状さえも、被害者の弱さや自己管理のなさとして攻撃されることになります。

<過剰適応>
被害者は、自分の感覚や価値観ではなく、加害者がどう思うかを自分の言動の基準にし、そのうえで考えて、何かを言ったりしたりするようになります。
また、被害者には、ときに加害者から認められるなどの些細な恩恵があることもあります。(“誉める”という行為がその典型)
その行為により、加害者に虐待されているという認識が難しく、ときにはその暴力行為を、「愛されている」と錯覚することさえあるのです。

<アリ地獄>
被害者は、どんなに加害者の期待に添うように努力しても、加害者がその瞬間に思い描いている完璧さと全く同じでなければ、攻撃されてしまいます。そのような完璧さなど実現不可能なことなので、結局、常に攻撃はやってくるということになります。
永遠に続く地獄のような生活は、自分にトドメを刺すまで続けられるのだと思い知らされてしまうのです。逃げたいと思っても、その行為自体までも攻撃されるため、逃げられません。

<孤立無援状態>
被害者は、加害者によって外部の人たちとの関係を厳しく制限され、連絡を取ることを許されません。連絡を取ったことがわかれば、それは加害者への裏切り行為として、激しく攻撃されてしまうのです。
被害者は「誰に話してもわかってもらえない」と感じています。
また、「相談したことはきっと加害者にわかり、そのことでまた新たな攻撃がくる」と思うと、誰に話すこともできません。加害者によって、被害者同士もつながることができないのです。

<判断力の低下>
そうして被害者は、考えることも、判断することも難しくなっていきます。極度の緊張と孤独感、自尊心の低下という状況の中で、本来は簡単に理解できることさえ、不可能になっていきます。
そして、とても理不尽なことに、そのことがまた、加害者の新たな攻撃の材料にされてしまいます。

<麻痺>
虐待されることに慣れると、被害者は状況に無頓着になります。無意識のうちに感覚や感情を意識から分離しているため、今起きている出来事が他人事のように思えます。感情的な苦しみに気づかないようにしたり、自分の感情を凍結保存し、感じないようにします。被害者は生きていくために、麻痺せざるを得ないのです。

<虐待は虐待を生む>
加害者による精神的虐待は、被害者の本来持っている優しさや、健康な能力を奪います。人が人らしく振る舞うことを困難にさせるのです。
そして、被害者は、別の被害者への加害行為を行ってしまうようにもなります。そこが精神的虐待の、恐ろしく、そして深刻な犯罪性なのです。


…またもや、すっかり長くなってしまいました。モラルハラスメントを受けた人の心の内側は、これでだいたい理解していただけたかと思います。
次回は、アダルトチルドレンを作り出す加害者(モラルハラスメントの与える側)について分析していきますね。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日テレとテレビ朝日をみつめ... | トップ | 「回転木馬/メリーゴーランド... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

心理学・健康・その他」カテゴリの最新記事