徐仙日乗

日記、随筆

徐仙日乗 読書 小坂部姫 岡本綺堂

2018-01-11 21:42:57 | 日記
徐仙日乗 読書 小坂部姫 岡本綺堂 豊平文庫
読了 読書メーターと重複

面白かったし、考えたいる材料に事欠かない良作としておく。「天守物語」が好きな人は読んだ方がいい。
多分、発表当時は(大正九年とある)「小坂部伝説物」みたいな言い方で説明できたのではないか。近い時期に発表された鏡花の「天守物語」も同様であろう。小坂部姫が、かの高師直の娘として登場してくるのが最大の趣向か。知性を持ち、良かれと思って行動した結果が自身を追い込んで行くって感じは理詰めで十分近代小説してる。太平記と徒然草に材を取った前半から一転して、後半は些か唐突ながら妖魔となった小坂部姫と姫路城を通して戦乱の宿痾、権力の儚さが語られる。これも綺堂にとっては古色にまみれ、通俗的ですらあった題材を「新しい解釈」で提示していると言えよう。「異国の教え」だけあって、アナーキーとも言える「呪い」には日本伝来の妖怪、怨霊物とは全く異なる肌合いを感じた。インド哲学なのかなぁ?古い題材、伝承、俗説を再構成して歴史を語る、歴史小説の側面もある。本作によって鏡花の「天守物語」への理解がさらに深まったのもありがたい。

1月10日(水)のつぶやき

2018-01-11 04:34:03 | 日記