白夜行・第１１話

園村友彦も自首してきた。
松浦勇もサボテン畑から掘り出された。

篠塚は雪穂に自首を勧める。
笹垣さんはこういっていた。
あいつらはあの日の魂を守り合っているだけなんだって。
だけどその結果、桐原亮司は今もダクトの中を這いずり回って、唐沢はだれにも本当の姿を見せられず、ビルの薄暗い部屋の中にいるって。
いずれ破滅するのは分かっていても、二人ともあとに引けなくなっているって。
桐原亮司に罪を償わせて死なせてやりたいって。唐沢雪穂をもっと楽に生きさせてやりたいって。
おれなぁ、あいつの遺言見た。後悔しかなかった。あいつはずっと、裁かれたかったんじゃないのか？本気に桐原に人生返したいなら、あいつに真実を言わせてやるべきじゃないのか？全部お前の幸せのためにやったんだって。みんなの前で言わせてやれよ！お前はその全てを認めてやるべきではないのか？

本当は知っていた。ずっと昔から。あなたが裁かれたがっていたこと。勝手な夢を押し付けて、あなたはダクトの中に閉じ込めたのは私だ。明日、あなたが来たら言おう。太陽の下、手をつないで歩こう。死刑台まで歩いて行こう。

亮司はクリスマスイブに雪穂にプレゼントを渡したかった。追ってきた笹垣を亮司は再びあのハサミで刺した。笹垣は袋に詰められた。

笹垣は執念で亮司の前へ。

1991年11月11日、桐原洋介殺害。
1998年、藤村都子婦女暴行。花岡裕子死体損壊。
1999年、死亡届提出。私文書偽造。キャッシュカード偽造。西口奈美江殺人幇助。ゲームソフト偽造。川島江利子婦女暴行。松浦勇殺害。
2002年、偽造公文書行使罪。営業秘密不正取得罪。
2004年、ストーカー規正法違反。毒物及び劇物取締法違反。唐沢礼子殺害。笹垣潤三殺人未遂及び救助。
2005年、栗原典子に一子誕生。

お前には、子供がおる。その子供にちゃんと、13階段上る背中みせぇ！
お前、自分とおんなじ子つくるつもりかぁ？親、信じられへん子つくるつもりかぁ？間違いだらけやったけど、お前が精一杯やったんは俺が知っている。一人の人間幸せにするために、精一杯やった。お前の子に俺がちゃんというたる。
お前に流れとおる血はほんまはそういう血や。俺がちゃんと子供にいうたる。

す、すまんかった！あの日、お前を捕まえてやれんで、ほんま、すまんかったのう。亮司、こいや！亮司、亮司！

亮司は笹垣の前から飛び降りる。

雪穂は、警察から事情聴取を受けた。
嘘に嘘を重ねて、
こうして、私はひとかけらの真実を失った。

これでよかったんだよね。私は、りょうの太陽だから。りょうは私の太陽だから。あきらめたら、なんのために…。

（ひとつ嘘ついたらなぁ、どんどん嘘をつかなあかんようになるねん。
あんたのいてるとこは、生き地獄いうねん。）

なんのためによ。

笹垣は谷口真文を図書館に訪ねる。

笹垣は雪穂に言う。
もうおらんで。警察行って話そうか？楽になるで。
悪いから。
だれにや？

桐原亮司に悪うて、死ぬことはでけへん。かというて、いまさらほんまのこと、だれに言うこともでけへん。おまけに、財産もなにも全部わやにして…。

谷口真文は笹垣に話す。
こないだ篠塚さんがこちらにいらして、
人生を捧げた人間より、捧げられた人間のほうが、辛いのかもしれないって言ってたんです。何をしても、幸せにならないといけない人生なんて、生きること自体罰みたいなものじゃないかって。唐沢さんの場合、その幸せさえ永久に失われているんだから。
永久に？
篠塚さんがね、こんなものがマンションに残っていたって。
「2006年11月11日」ふたりの少年少女の切り絵。
あぁ、今日ですね。
ほんとうは、これだけだったのかも知れませんね。

残されたのは、雪穂。。。そして、亮司の遺伝子を受け継いだ栗原典子の子。

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