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水土の研究10 耕す事

2011-01-18 04:29:25 | 自給
土壌を作物を作るために適したものにするには、腐植質を加えることが重要である。その加え方を耕すという観点から考えて見る。自然界では土壌が作り出される過程は、上から上から積み重なる腐植質の蓄積である。作物を作る土壌でも、基本的には同じ構造が望ましい。堆肥を入れるにしろ、緑肥を育てるにしても、上から上から作って行く。農業では明日にでも良くしたいという思いがあるので、その時間短縮ということに成るが、大きく耕転するようなことは、土壌が何時まで経っても作り出されない結果に成りかねない。耕すことは2つの方法に限定するといい。畑を整える場合。上の草を削る。草の生え際の土を浅く削りながら、草とともに土壌の表面を削りとる。そして、5センチ程度を3角溝に掘り種をまいたり、植えつけたりする。それ以上に耕さず、作物を継続する。作物以外の草も、取らないでいい草はそのままにする。

土壌は作物の収穫時に掘り起こされる場がある。これが土壌を動かす方法に成る。芋類や根菜類などを作る場合、耕したい場所に植える。耕したい場所とは、土壌を撹乱したい場所である。真の土が固くこわばったような場所、葉物が良くできない場所、そういう場所が畑にはある。土壌を物理的に手を入れたいような場所に根菜類や芋類などを植えて、深く耕す。土壌を撹乱することは、微生物にとってダメージがある。微生物は生息しやすい場所に集中する。それは10センチ程度の浅い場所である。表土から、せいぜい15センチまでである。この層を豊かにして行く。耕すことは必要以上にはしないことである。その下の層は、酸素が不足する。微生物の種類が謙気的なものに変化する。根の役割も違ってくる。養分を上げるより、水分を上げている。根の位置に着目すべきである。表土を張って行く根。根圏の意味。

耕さないでも深い土を育てる方法には、2つある。一つは植物の根である。根が土壌に深く入り込んで行く。根は地中に網の目状の空洞を作り出す。腐植質としても量は大きく、それだけで土の耕転に匹敵する。深く地中に入る作物を利用した根による耕運である。もう一つは敷き藁である。できる限り敷き藁を使う。堆肥を撒いたなら、その上から敷き藁を行う。微生物が土壌を耕してゆく。微生物は徐序に土壌での生活圏を、変えながら地中に深く入り込んで行く。土壌では表層ほど重要である。敷き藁を行う方法は、毎日1本ずつ敷き藁を加えるような、土壌環境を大きく変化させない方が望ましい。作物の生育期間は、表土とそこから10センチの地温の管理と水分の保持と空気を含ませることが重要となる。それは、根圏の微生物の活動を活性化するためである。そうした状態が作り出せれば、土壌は微生物によって耕され団粒化して行く。むしろ人為的なかく乱は避けた方がいい。

自然界では、全くの平ら土地というものはない。わずかにた起伏があり、水の道が出来ている。それは地中に置いても水の流れは、一定ではない。畑に置いてもこのわずかな地形の変化が作物には作用して行く。作物によって、季節によってこのわずかな土壌の表面の変化を重視する。田畑に置いて、いつまでも状態の良くない部分が出来る。これは田んぼでいえば、水の流れがよどむところであり、畑でいえば、高かったところを削ったような場所で、下の層の水の流れが、無いようなところである。作物を作りながら、このやりにくい部分を改善してゆく。物理的な耕運は初期段階ならともかく、畑が出来てくるに従い、むしろ邪魔なものに成る。表層から、作物の力に従って、土は作られてゆく。

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