徒然日記

 GR7歳と錆猫4歳 

乳腺腫瘍,手術の是非

2017-07-23 | 日記

  ふらぁ~っとブログを散策していると,愛犬に乳腺腫瘍があるのだが,
  主治医が手術をしなくても大丈夫と言われたとか。なので,
  現在様子を見ている段階であると。数件のブログでこのような記事を拝見する。
  もう,記事を読みながら胸がドキドキと鼓動が高くなってくるのを感じる。
  この飼い主さんは主治医の言葉に安心しきれず,とても心配をしておられる。
   以前に拝見したブログ主さんは,主治医がまだ大丈夫と言われたことで,
  とても安心しておられた。良性なのか悪性なのか。
  細胞を見る事の出来る獣医師であれば,ある程度の判断は難しくはないらしい。
  良性ならば細胞の増え方に規則性があり周囲との細胞の境界も明確らしいのだが,
  悪性の場合は不規則性であり,周囲の細胞との境界も不明瞭な場合が多いらしい。が,
  必ずしもそのような形態であるとは限らず,確定診断は細胞を調べてみなければわからない。
   簡単に言えば腫瘍とは,細胞そのものの数が異常に増えているものです。
  増殖した細胞の塊がその場に留まり,ほかの細胞へ転移したり
  浸潤が見られないものを良性腫瘍といいます。
  悪性腫瘍は細胞が異常に増えて広がり,周囲の細胞に広がるスピードが速く,
  浸潤したりします。  
   腫瘍細胞は病理にださなければ良性か悪性なのか分からない事も多々ある。
  乳腺腫瘍に限らず口腔内腫瘍に於いても,1つの切除の癌細胞の中に,
  悪性細胞と良性細胞が混在していた事も複数経験ある。

   経験:其の一

03'5/16,病理検査報告が届く。
    検査結果:低悪性度の乳癌(もしくは異型を伴う乳管内乳頭腫{念の為注意))

  所見 : 左上部乳腺には腫瘍は見られません。病変は右第四乳頭のみで,
       乳頭部を巻き込み,潰瘍形成を伴う腫瘤です。病変は既存の乳管を基礎として形成されており,
       乳管内に乳頭状反転し,充満しつつ病変を形成しています。構成する細胞は核細胞質比が高く,
       クロマチンの上昇,明瞭な核小体の形成,核分裂像の亢進を示し,細胞異型と強い増殖性を有します。
       大部分は通常の乳腺組織に見られる上皮の2層構築が見られますが,部分的に単調性の亢進が見られ,
       悪性要素を有する腫瘍と考えます。本病変は乳管外への積極的な浸潤は見られませんが,
       皮膚潰瘍の形成部では肉芽組織内に腫瘤を認め,腫瘍内にも壊死による血管腔,
       リンパ管腔へ露出している可能性が高いと推察されます。
        付随切除のリンパ節への転移は見られず,切除縁への露出も見られませんので,取り切れて
        いる可能性が非常に高く,再発,転移の可能性は低いと考えますが,本形態の病変で,炎症が
        存在する場合,乳頭部ビランがある場合,絵師を伴う場合は再発する場合があり,患犬はこれを
        有していますので,念の為,定期検診の実施を御願いします。

           (株)札幌総合病理研究所           磯村洋

   経験:其の二

    04’6/10(木),主治医より検査結果の報告あり。
    悪性乳腺癌と判明。主治医との話し合いの結果。6/21(月),同列の残りを切除術の予約。

    病理検査結果     非浸潤性乳癌   (悪性腫瘍)
  所見:乳管上皮由来の腫瘍を認めます。周囲間質への浸潤を見ない非浸潤性の悪性腫瘍(乳癌)で,早期癌です。
     小乳管内に留まり,癌細胞の増生を認めます。癌細胞は,N/C比が高く胞体はわずかで,楕円形核を有し,
     核クロマチンはやや凝集しています。節上皮との二層性が完全に喪失し,monotonous(単調)な像を呈します。
  (悪性とする根拠)。
     周囲間質への浸潤を見ない非浸潤性乳癌です。
     脈浸襲(-),リンパ節転移(-),切除縁(-)です。
     その他に,1ヶの境界明瞭な腫瘤を認めます。乳管上皮由来の良性腫瘍です。
     腫瘍細胞は,骨,軟骨成分を主体とする腫瘤で,強い異型は認められず,
     浸潤像はなく,悪性所見はありません。切除縁(-)です。

                2004年 6月9日    中岡貴子,都築直人,竹内雅也

   経験:其の三

 09'7/13(月),病理検査の結果が分かる。

        乳腺腫瘍   (腫瘍性病変 ,要結果観察)
 所見 : ご提出頂いた2ケの腫瘍のうち,1ケ(おおきい方)は腫瘍由来の良性腫瘍の範疇ですが,
      経過観察が必要です。1ケ(小さい方)は良性腫瘍です。
      大きい方:皮下に境界明瞭な乳腺腫瘍が形成されています。中心部は強く変性し,多くは良性腫瘍が成りますが,
        辺縁部の所々で乳頭状の増生,腺管の不整,核の腫大,N/C比の上昇など異型が増して見られます。
        明らかな浸潤性増殖が見られないので,良性腫瘍の範疇と考えますが,経過観察が必要と考えます。
        現状では乳癌とするような強い異型はありません。完全に取り切れています。

      ************

     N/C比・・とは?

     核(nucleus)と細胞質(cytoplasm)の比率の頭文字をとってN/C比が高い,低いという。
     腫瘍の良性悪性の鑑別や悪性度の判断の1つに「N/C比」がある。
     分化度の高い癌はN/C比は低く細胞の大きさもそれなりにあり,時には本来の細胞とは
     全く異なったものへ分化してしまうこともあるが,大凡はもとの細胞の形態を残しています。
     分化とは腫瘍細胞が発生した組織や器官の正常細胞に近いほど分化した腫瘍といい,
     腫瘍の発生した上皮との類似性が少ないことを低分化という。
     分化度の低い癌は傷ついたDNAが核内にたまり核は大きく肥大していながら,
     核に細胞質を作るだけの能力が無くなってしまっているので細胞質が少ししかない。よって,
     N/C比は高くなります。

    Rocky( 03'5/16,)の乳腺腫瘍以外は,全て米粒大の小さな腫瘤であり,
   この小さな細胞の中ですら,良性と悪性と疑わしき腫瘤が混在していたのです。
   幸いにも腫瘍の発見が全て早期発見であり,悪性所見があっても浸潤性がなかった事。
   腫瘤を取り切れていた事により,何れも再発をする事なく経過できたことを幸いに思います。

  そもそも乳腺腫瘍が発現するのは,殆どが高齢になってからではないかと思うのです。
  犬は7歳を過ぎれば高齢の域になり,どんなに元気であっても見えない場所で老化は進んでいくのです。
  私は7歳を過ぎれば,犬や猫にとって「今」が一番若い時,健康な時と思って接してきました。
  故に,何れかの時に手術が必要になるのであれば,「今」この一番元気な時を選んで
  手術をお願いしてきました。

    私はSheltieのブリーダーをしていたので避妊手術はしませんでしたが, 
  犬の乳腺腫瘍の50%以上が良性で,悪性の乳腺腫瘍の50%は転移をするといわれます。
  乳腺腫瘍はホルモン依存の疾患であり,犬の最初の発情が起こる前に避妊手術を行えば,
  乳腺腫瘍発生率が0,05%、初回の発情後に施した場合は8%,2回目以降は26%となり,
  予防するためには若齢のうちに不妊手術をするのが望ましいです。
 
   という事で,私はチョコを迎え入れた時に5か月程の時に避妊手術を施行。
   猫の乳腺腫瘍は犬と違い,悪性度が非常に高い事が多いと聞くので,
   みゃあを迎え入れた時も初発情の前に避妊手術を施行。

    

    

   上の画像がRocky,下の画像がLindaの乳腺腫瘍施術痕。
   取り残しや再発を懸念して手術をするので,たとえ米粒大であってもこのように大きく切除をします。
   健康な時の避妊手術はとても小さなものです。が,
   仮にどんなに腫瘍が小さくても,高齢の弱った体でこのように大きな手術を受けなくてはならないのです。
   避妊手術の費用は2~3万円と高価ですが,乳腺腫瘍の手術費はもっと高価になります。

ナンナ H16,5/31
内服処置 600     
血管確保 1000
血液検査 4000
点滴     2000     
不妊手術 25000
合計     32600      

リンダ H16,6/1
内服処置 600
血液検査 4000
血管留置 1000
点滴   2000
不妊手術 25000
乳腺腫瘍摘出 5000
病理検査 10000
合計     47600

リンダ H16,6/21
再診料     500
注射料     1000
内服処置 800
血液検査 4000
レントゲン検査 3000
血管留置 1000
点滴     2000
手術料(麻酔含) 30000
病理検査 10000
内服    2970
合計     55270

  ※ これは以前に2頭の乳腺腫瘍に掛った費用を比較したものです。

   主治医の話してくれた

  :良性の腫瘍が悪性に変化する事はあるが,腫瘍が大きくなったからといって
  :必ずしも悪性に変化するとは限らない。が,腫瘍をそのままにした場合,
  :腫瘍が何れかの時に自壊を起こし犬にとっては辛い傷みを伴う事になる。また
  :最終には腫瘍が大地に触れるほどの大きさになった時,犬の生活は様々なことに於いて,
  :大きな負担となる。(03'3/17,にクリスが避妊手術を受けた時,病院の入院室で
  :数十cmにも大きくなっている乳腺腫瘍の患者犬と出会った)
  :犬の状態には亡くなる2~3週間程前までは,健康時と変わらぬほどの状態であるが,
  :この頃になると一気に症状が現れ始めて,壮絶な苦しみの様相を呈してくる。

   また,仮に良性であっても,,,,。
  亡くなる2週間前までは食欲,生活行動に変わりが無く,
  健康そのものに見えます。が,腫瘍が徐々に大きくなり,
  何れ自壊を起こし化膿し,,,。それは時として
  子供の頭大にもなり(診察の時に入院中の仔を見ました。),
  化膿した部位には蛆虫が湧く事もあり。。それに対する治療は欠かす事が出来ません。
  そして,死の2週間前になると壮絶な苦しみを犬が襲う事になります。
  それは手術をしないと決めた飼い主さん。
  安楽死をしないで最後まで看取ると決めた飼い主さんが,
  犬の苦しみに耐え切れず安楽死を決意される程なのです。
     (ネットで知り合った2人の飼い主さんの体験です。)

  私は今迄に幾度となく経験するだけではなく,
  飼い主さんの苦痛もみてきているので,乳腺腫瘍に関してだけは,
  「手術をしなくてもいい」と,獣医師に説明を受けたという話を見かけると,
  もう,鼓動がドキドキと胸を打つのを感じて止まらなくなります。

  とは言っても,手術の是非について何が正しいのか,正解などないのだと思っています。
  古くには犬の病気についての質問者に対して,
  犬の為なら借金をしてでも,治療をすべきだというコメントを見たことがありますが,
  飼い主の生活が破綻したのでは,守るべきものも守る事が出来なくなってしまうのです。
  人には其々の家庭環境に違いがあります。考え方にも違いがあります。
  違ってはいけないのは,共に暮らす動物への慈しむ心だけだと思っています。
  人間側から見て如何に苦痛があったとしても,犬が自ら食事をしている間は,

  エストの棘細胞腫性エプーリス

   画像を見たくない方もおられると思うので,画像にリンクをします。

  これはエストの口腔内腫瘍です。
  エストは最後の最後まで,しっかりと食事をしようと努力をし,
  どんなに苦しくとも,辛くとも淡々と「今」という時間を最後まで生き切りました。

   犬はどんな状態でも必死に生きようとしている事を忘れないでほしい。
  飼い主が見るに忍びないからと,犬の命を絶つ事はしないで欲しい。
  飼い主が手術をしないと決めたならば,
  犬の最後まで,犬の生き様をしっかりと見届けてやって欲しいと願わずにはいられない。 


    
 左からRocky,milky,パオラ,カチュア,エスト,Chris,ナンナ,Linda,Bell,一代目Banboo,二代目Banboo,タツ

   昔々,ネットで知り合った方が当時の犬家族のiconを作ってくださる。 
   乳腺腫瘍の画像を探していて見つける。
   この頃は麻呂・ポロという2頭のマルチーズも居たので,
   総勢14頭の犬と1猫という,人間よりも犬の数の方が勝っていました。 

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