ケント・ギルバート氏によると日本人は「世界で一番騙されやすい人種」だという。オレオレ詐欺・年間被害総額500億円は確かに異常な数字だ。
テレビに出ている「専門家」は、「私は大丈夫、と思っていませんか。そんな人ほど簡単に騙されるのです」などと脅かす。しかし、いかに騙されやすい人種だといっても騙された人たちは、テレビや新聞・雑誌などのオレオレ詐欺の記事・報道を一回も見ていないのだろうか。
「それとこれとは違うでしょ」などと、「悪い意味の割り切り方」をしているのではないだろうか。
「歴史から目をそらす者は現在に対しても盲目である」などと仰々しく言うつもりはないが、日本人はとかく、いろんな事象から現在進行中の自分に関わることとのリンケージが不得手のようだ。これでは習字教室で「木」という書き方を習っても、「林」や「森」を書けない人と同じだ。脳内のシナプスがうまく「連動」しないのだろう。「お花畑脳」と揶揄されても仕方ない。せっかく脳に蓄えた「知識を連動させられない」のではもったいない。
カラスはカーカー・犬はワンワンだけの、知識の断片では寂しい限りだ。「風が吹けば桶屋が儲かる」的な発想が必要だ。
オレオレ詐欺に騙される人にも、それなりの「深い事情」が存在する。祖母に孫?から電話が来る。集金した金を紛失した。返さないと首。
祖母は「怪しい」と思いながらも金を工面する。祖母にとっては「怪しい」を正面に据えると「孫への愛が揺らぐ」ことになるから。騙されることが孫への愛の証というわけか。