世界的トランぺッターの日野皓正氏が中学生の髪を引っ張りまわした挙句、往復ビンタをする、というショッキングな事件があった。
世田谷区教育委員会の主催で「新・才能の芽を育てる体験学習」として開かれた「日野皓正presents Jazz for Kids」コンサート中に起きた。
会場には600人ほどの人が集まりほぼ満員状態。テレビの動画では、日野氏がドラムソロ演奏が長すぎた中学生に歩み寄り、スティックを取り上げ床にたたきつけ帰ろうとしたが、件の中学生が今度は素手でドラムをたたき続けた。すると日野氏は中学生の髪の毛を掴んで振り回し、その後往復ビンタを繰り出したというもの。
「世界的……」と修飾語が付く日野氏が、スティックを取り上げるまでは、会場には笑いが聞こえていた。「世界的……」なアーティストのやることは「ある程度まで」は「許容範囲」という雰囲気が会場にはあったはずだ。
しかし「世界的……」な人が「中学生に激怒・暴力」はいかにも稚拙のそしりは免れない。
しかもこのコンサートは大人一人4,000円以上の入場料を取っているのだ。「世界的……」な人がコンサート中に客の前で、露骨すぎる注意や暴力を行うことはいかがなものか。
また教育委員会も状況がどうであれ、暴力は「絶対だめ」を当初から貫くべきだった。
それは「世界的……」かどうかは関係がない。「教育に暴力は似合わない」の原則を通すべきだ。
根本は「世界的……」な人に指導をさせることに問題がある。日野氏はアーティストでありある種の職人。教育者ではない。せめて教育者である音大の先生にお願いすべきではなかったか。プロを目指すと言っても相手は義務教育中なので。(続く)