おはようございます。
「不祥事の時代」である。
僕の大学院での研究テーマは、不祥事報道や不祥事史、危機管理広報だが、とにかく不祥事がとまらない。なぜ、不祥事が起こるかといえば、不祥事の定義(=人々が不祥事と感じる、憤る基準)が変わっているのに、それを企業や経営者、場合によっては従業員自体が気付いていないことにある。
別の言い方をすれば、かつては、当たり前だったことが、不祥事として批判されるのだ。例えば、船場吉兆の今回の残飯使い回し。記者会見のささやきで有名になった女将・・・どうも、この人の顔は和泉元弥の母を思い浮かべさせるのだが、たぶん、この人はなぜ、批判されているのか、わかっていないのだろう。「もったいない」「始末」が最上の倫理観であった船場で育ったのだから、食えるし、箸もつけていないのだから汚くないものを出して、「何が悪いというのやろ」思っているのだろう。
もしかしたら、船場吉兆において、かつて、これは誉められる行為だったのかもしれない。物を大事にするのだから。例え、外に漏れても「焼き直し」「煮直し」だから「始末の工夫」とされたであろう時代もあったに違いない。(そうであっても、僕はこんな店で食べたくないし、もっともこんな高価な料理は食べることもないだろうが)例え、そんな時代でも、客に出すのは言語道断、賄いにして無駄を抑えることで誉められる行為だろう。そもそも出発点が違う。
江戸時代にさえ、その日の料理の残りは大川(隅田川)に捨てたと評判をとった店があるほど、客へ出すものでリサイクルや始末をされたら、たまらない。
そんな疑問のある行為が、まして、現代のように、安全・安心が価値観のトップに来る時代になると、この行為は、人々の不快を感じる行為になる。そのことを、女将や従業員は気がつかなかった。あるいは、今も「なんでやろ」だろうか?
さらに、記者会見でやってはいけない行為をした。<自分に責任はない。>発言である。そして、なんの根拠もなく「他にない」といい、すぐその後、博多吉兆の件を伝えなければならなかった。これでは、記者も世間も「まだ他にあるのだろう」と思う。僕が担当記者なら、そこに力を入れて取材する。
〔「手つかずと食べ残し、違う」船場吉兆の湯木社長〕
2008年05月08日02時35分 朝日新聞
本店だけでなく、博多店などすべての料亭で食べ残しの使い回しが明らかになった船場吉兆(大阪市)。「ほかにはない」の説明から一転、社長は「手つかずの料理は食べ残しとは違う」と強弁した。高級料亭の不祥事はどこまで広がるのか。「前社長の『もったいない』という指導の流れが今回のことにつながり、悔やまれてなりません」
湯木佐知子社長(71)は7日夜、大阪市の本店前で、まず2日に発覚した本店での使い回しについて頭を下げた。報道陣が「佐知子社長は使い回しを知らなかったのか」「なぜ公表を控えたのか」と質問すると、「下げた料理は私の認知する領域ではない」「営業を再開し、こういうことのないようにするのが大事だとの一念で、発表すべきだとは思わなかった」などと答えた。
博多店での使い回しが明らかになったのは、約30分の会見が終わり、佐知子社長が店内に入った直後。代理人弁護士が「博多店では使い回しがないと言っていたが、一部あったことが判明した」と切り出した。
報道陣の要求を受け、佐知子社長は数分後に再び現れた。「ほかの店で使い回しはないのか」との質問に、「ないと思う」と答え、「手つかずの料理を食べ残しと表現するのはニュアンスが違うと思う」と釈明した。
その約1時間後、福岡市の博多店で河合元子店長と前村政紀料理長が記者会見をした。前村料理長が心斎橋店(大阪市)で勤務していた当時、刺し身の添え物を使い回していたと述べ、さらに河合店長が天神店(福岡市)でもあったと説明した。前村料理長は「雲の上の人のような前社長が言うことがすべて。洗脳状態だった」と、使い回しに異議を唱えられなかった雰囲気を強調した。
博多店の会見後、船場吉兆の代理人弁護士は朝日新聞の取材に対し、「全店舗の全従業員から今後聞き取りをする」と述べた。
参考に第一報も転載する。
〔船場吉兆:客の残した料理を使い回し アユ塩焼きなど6種〕
毎日新聞 2008年5月2日 21時30分(最終更新 5月3日 0時33分)
会見で言葉に詰まる山中啓司料理長=大阪市中央区北久宝寺町で2008年5月2日午後7時1分、小関勉撮影 高級料亭「船場吉兆」(大阪市)が客の残したアユの塩焼きなど料理6種類を捨てずに別の客に回していたとして、大阪市保健所は2日、本店を立ち入り調査をした。船場吉兆側は「昨年11月の営業自粛前まで使い回しをしていた」と認めているという。食品衛生法には問われないものの、保健所は「健康被害を招きかねず、今後、使い回しはあってはならない」と口頭で指導した。
船場吉兆を巡っては、大阪府警が既に、佐賀、鹿児島両県産牛肉を但馬牛などと偽装したとする不正競争防止法違反容疑で家宅捜索を実施。湯木正徳前社長(74)と長男の喜久郎前取締役(45)らの書類送検に向け、詰めの捜査をしている。
保健所の調査では、使い回していた料理は、アユ塩焼き▽稚アユ素揚げ▽ゴボウをウナギで巻いた「八幡巻き」▽エビのすり身とキスを合わせた「エビキス」▽サーモンの焼き物▽刺し身の添え物のゼラチン−−の計6種。本店で、急に客が増えた時に使い回しをしており、添え物以外は再加熱していたという。
船場吉兆は「今年1月の営業再開後はしていない」と説明。取締役の山中啓司料理長(47)は保健所に対し「当時は社長の言うことを100%聞かざるを得なかったので、不適切と思いつつも、応じていた」と話しているという。
保健所は、健康を損なう恐れはないため食品衛生法には問えないとしている。その上で「食品の提供者として、食の安心、安全が問われている中、このようなことはあってはならない」と指導した。
船場吉兆は昨年9月以降、食品の表示偽装が次々と明らかになり、今年1月に民事再生法適用を申請。当時の正徳社長ら旧経営陣が辞任し、正徳社長の妻で女将(おかみ)の佐知子取締役(71)を新社長にして営業を再開している。【久木田照子】
◇「2週間に1度程度…」 料理長は言葉濁す
「まだきれいなものを、もったいない精神と言いますか、見るからに使えそうなものであれば、足りなくなった時、お出ししたりした」。大阪市保健所が調査に入った後、山中啓司料理長(47)は報道陣の取材に応じ、こう釈明した。「社長の指示は断れなかったのか」という質問には、「社員という立場で。情けない話ですが……」とうつむいた。
使い回しの頻度は「2週間に1度程度くらいか」と言葉を濁した。「(食材の)数が1、2本足りなくなった時に、そういうことがあったと記憶している。お客様に出した状態のままで調理場に下がってきた時のみ、状態を見極め使い回しをした」と客が手を付けてない料理だけ使い回していた点を強調。「調理場の人間はみんな知っていた」と話した。
船場吉兆を巡る不祥事は昨年9月に発覚。その後、今年1月に民事再生法の適用を申請して、再出発を図っているが、今回の使い回しはこれまで一切明らかにしていなかった。
山中料理長は今年1月、旧経営陣辞任後の新体制で取締役に就任していた。【久木田照子】

「不祥事の時代」である。
僕の大学院での研究テーマは、不祥事報道や不祥事史、危機管理広報だが、とにかく不祥事がとまらない。なぜ、不祥事が起こるかといえば、不祥事の定義(=人々が不祥事と感じる、憤る基準)が変わっているのに、それを企業や経営者、場合によっては従業員自体が気付いていないことにある。
別の言い方をすれば、かつては、当たり前だったことが、不祥事として批判されるのだ。例えば、船場吉兆の今回の残飯使い回し。記者会見のささやきで有名になった女将・・・どうも、この人の顔は和泉元弥の母を思い浮かべさせるのだが、たぶん、この人はなぜ、批判されているのか、わかっていないのだろう。「もったいない」「始末」が最上の倫理観であった船場で育ったのだから、食えるし、箸もつけていないのだから汚くないものを出して、「何が悪いというのやろ」思っているのだろう。
もしかしたら、船場吉兆において、かつて、これは誉められる行為だったのかもしれない。物を大事にするのだから。例え、外に漏れても「焼き直し」「煮直し」だから「始末の工夫」とされたであろう時代もあったに違いない。(そうであっても、僕はこんな店で食べたくないし、もっともこんな高価な料理は食べることもないだろうが)例え、そんな時代でも、客に出すのは言語道断、賄いにして無駄を抑えることで誉められる行為だろう。そもそも出発点が違う。
江戸時代にさえ、その日の料理の残りは大川(隅田川)に捨てたと評判をとった店があるほど、客へ出すものでリサイクルや始末をされたら、たまらない。
そんな疑問のある行為が、まして、現代のように、安全・安心が価値観のトップに来る時代になると、この行為は、人々の不快を感じる行為になる。そのことを、女将や従業員は気がつかなかった。あるいは、今も「なんでやろ」だろうか?
さらに、記者会見でやってはいけない行為をした。<自分に責任はない。>発言である。そして、なんの根拠もなく「他にない」といい、すぐその後、博多吉兆の件を伝えなければならなかった。これでは、記者も世間も「まだ他にあるのだろう」と思う。僕が担当記者なら、そこに力を入れて取材する。
〔「手つかずと食べ残し、違う」船場吉兆の湯木社長〕
2008年05月08日02時35分 朝日新聞
本店だけでなく、博多店などすべての料亭で食べ残しの使い回しが明らかになった船場吉兆(大阪市)。「ほかにはない」の説明から一転、社長は「手つかずの料理は食べ残しとは違う」と強弁した。高級料亭の不祥事はどこまで広がるのか。「前社長の『もったいない』という指導の流れが今回のことにつながり、悔やまれてなりません」
湯木佐知子社長(71)は7日夜、大阪市の本店前で、まず2日に発覚した本店での使い回しについて頭を下げた。報道陣が「佐知子社長は使い回しを知らなかったのか」「なぜ公表を控えたのか」と質問すると、「下げた料理は私の認知する領域ではない」「営業を再開し、こういうことのないようにするのが大事だとの一念で、発表すべきだとは思わなかった」などと答えた。
博多店での使い回しが明らかになったのは、約30分の会見が終わり、佐知子社長が店内に入った直後。代理人弁護士が「博多店では使い回しがないと言っていたが、一部あったことが判明した」と切り出した。
報道陣の要求を受け、佐知子社長は数分後に再び現れた。「ほかの店で使い回しはないのか」との質問に、「ないと思う」と答え、「手つかずの料理を食べ残しと表現するのはニュアンスが違うと思う」と釈明した。
その約1時間後、福岡市の博多店で河合元子店長と前村政紀料理長が記者会見をした。前村料理長が心斎橋店(大阪市)で勤務していた当時、刺し身の添え物を使い回していたと述べ、さらに河合店長が天神店(福岡市)でもあったと説明した。前村料理長は「雲の上の人のような前社長が言うことがすべて。洗脳状態だった」と、使い回しに異議を唱えられなかった雰囲気を強調した。
博多店の会見後、船場吉兆の代理人弁護士は朝日新聞の取材に対し、「全店舗の全従業員から今後聞き取りをする」と述べた。
参考に第一報も転載する。
〔船場吉兆:客の残した料理を使い回し アユ塩焼きなど6種〕
毎日新聞 2008年5月2日 21時30分(最終更新 5月3日 0時33分)
会見で言葉に詰まる山中啓司料理長=大阪市中央区北久宝寺町で2008年5月2日午後7時1分、小関勉撮影 高級料亭「船場吉兆」(大阪市)が客の残したアユの塩焼きなど料理6種類を捨てずに別の客に回していたとして、大阪市保健所は2日、本店を立ち入り調査をした。船場吉兆側は「昨年11月の営業自粛前まで使い回しをしていた」と認めているという。食品衛生法には問われないものの、保健所は「健康被害を招きかねず、今後、使い回しはあってはならない」と口頭で指導した。
船場吉兆を巡っては、大阪府警が既に、佐賀、鹿児島両県産牛肉を但馬牛などと偽装したとする不正競争防止法違反容疑で家宅捜索を実施。湯木正徳前社長(74)と長男の喜久郎前取締役(45)らの書類送検に向け、詰めの捜査をしている。
保健所の調査では、使い回していた料理は、アユ塩焼き▽稚アユ素揚げ▽ゴボウをウナギで巻いた「八幡巻き」▽エビのすり身とキスを合わせた「エビキス」▽サーモンの焼き物▽刺し身の添え物のゼラチン−−の計6種。本店で、急に客が増えた時に使い回しをしており、添え物以外は再加熱していたという。
船場吉兆は「今年1月の営業再開後はしていない」と説明。取締役の山中啓司料理長(47)は保健所に対し「当時は社長の言うことを100%聞かざるを得なかったので、不適切と思いつつも、応じていた」と話しているという。
保健所は、健康を損なう恐れはないため食品衛生法には問えないとしている。その上で「食品の提供者として、食の安心、安全が問われている中、このようなことはあってはならない」と指導した。
船場吉兆は昨年9月以降、食品の表示偽装が次々と明らかになり、今年1月に民事再生法適用を申請。当時の正徳社長ら旧経営陣が辞任し、正徳社長の妻で女将(おかみ)の佐知子取締役(71)を新社長にして営業を再開している。【久木田照子】
◇「2週間に1度程度…」 料理長は言葉濁す
「まだきれいなものを、もったいない精神と言いますか、見るからに使えそうなものであれば、足りなくなった時、お出ししたりした」。大阪市保健所が調査に入った後、山中啓司料理長(47)は報道陣の取材に応じ、こう釈明した。「社長の指示は断れなかったのか」という質問には、「社員という立場で。情けない話ですが……」とうつむいた。
使い回しの頻度は「2週間に1度程度くらいか」と言葉を濁した。「(食材の)数が1、2本足りなくなった時に、そういうことがあったと記憶している。お客様に出した状態のままで調理場に下がってきた時のみ、状態を見極め使い回しをした」と客が手を付けてない料理だけ使い回していた点を強調。「調理場の人間はみんな知っていた」と話した。
船場吉兆を巡る不祥事は昨年9月に発覚。その後、今年1月に民事再生法の適用を申請して、再出発を図っているが、今回の使い回しはこれまで一切明らかにしていなかった。
山中料理長は今年1月、旧経営陣辞任後の新体制で取締役に就任していた。【久木田照子】
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