放送作家村上信夫の不思議事件ファイル

Welcome! 放送作家で立教大大学院生の村上信夫のNOTEです。

民主党が進める日本版FCC「通信・放送委員会」構想に疑問

2010年02月05日 16時25分12秒 | Weblog
民主党がかねてより提唱し、原口一博総務相が推進する「日本版FCC」について検証する。まず、その概要がわかる記事を下記に転載する。

【日本版FCC「通信・放送委員会」11年に法案提出へ】(09年9月22日 朝日新聞)

http://www.asahi.com/politics/update/0922/TKY200909220150.html

 政府は22日、総務省から通信・放送行政の一部を切り離して、通信・放送委員会を設置するための関連法案を2010年中にまとめ、2011年の通常国会に提出する方針を固めた。同委は電波の割り当てや放送免許の付与、番組規制など通信・放送業界への規制監督全般を担う方向で検討する。
 日本では総務省が放送局を規制監督しているが、世界では米連邦通信委員会(FCC)をはじめ政府から独立した機関による規制監督が主流だ。ペルーを訪問中の原口一博総務相は21日(日本時間22日)、海外の独立機関を参考にして通信・放送委員会(日本版FCC)の具体的な姿を描く考えを示し、「1年ぐらいの間は、国民的合意を得ることに力を尽くすべきだ」と語った。原口氏は、通信・放送行政の独立が「言論、報道、放送の三つの自由」を確保する手段になることを強調した。
 内藤正光総務副大臣も22日、東京都内で講演し、日本版FCCについて「専任の作業チームをつくって議論し、2年後の通常国会で成立させる」と明言。総務省の通信・放送行政のうち「規制監督部門だけ切り出して、新たな機関として設置する」と話した。通信・放送行政のうち、企画や産業振興部門は同省にとどまる見通しだ。
 モデルとする米FCCは5人いる委員の過半数が与党寄りとされる人物から選ばれているといい、欧州の独立機関に比べて政治色が強いとの指摘もある。内藤氏は「FCCをそのまま日本に持ち込むわけではない」と述べて、日本独自の組織形態や運用方法を検討する考えを示した。(リマ=平山亜理、岡林佐和)


 しかし、この日本版FCCは、小沢一郎問題に関連しての民主党の動きと合わせて考えると、その主張をままうのみにはできない。
 まず、規制部門を分離独立させたら具体的にどういうメリットがあるのだろうか?
 それに対し、民主党は「政府を批判する放送局を政府が規制するのはおかしい」と主張する。だが、FCCは政府機関である。本家アメリカのFCCでは、職員2000人以上が働く、巨大組織だ。彼らはすべての放送を監視し、時に数十万ドルもの罰金を科す権限さえ有する。
 もし、日本版FCCにこの権限を持たせるならば、規制は今以上ということになる。
 だが、そもそもある番組のいいとか悪いとかを、政府機関が判断する必要があるのだろうか?現行の第3者機関BPO(放送倫理・番組向上機構)が放送内容への勧告などを行っている。のでは、いけないのだろうか?
 通信・放送の規制部門は分離して強力な機関を作るのではなく、当事者による司法的な解決にゆだねるのでは、いけないのだろうか?

 日本版FCCは、これまでアメリカの対日要求のトップにあがってきた。が、ここにきて、民主党と歩を一にするように、官僚たちも日本版FCC創設に向かっている。
 池田信夫氏は、これを官僚の意図と指摘する。

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/6eb821369feb4de7fd6ecb858c59edd9
 

 池田信夫氏は、官僚の意図を「規制撤廃の圧力が強まる中で、それを独立機関に分離して法律をつくれば、現状の規制を固定できるからだ。そして分離された官僚たちは規制しか仕事がないのだから、規制を強化するインセンティブをもつ」という。
 なぜ、それに民主党が積極的なのか ・・・。
 日本版FCCの議論は、十分にウォッチする必要性がある。

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