Vol214:再び米国企業の研修予算

本メルマガ『vol208:2007年の企業内教育はこうなる』
http://blog.goo.ne.jp/sanno_el/e/656b5b36532f11a02d67b02c77da3aeaでアメリカの企業内教育のデータについて一部ご報告しましたが、それらの詳細
をまとめた、The Corporate Learning Factbookという年次報告書が、Bersin &
Associates社から発売されました。（$595）
http://store.bersinassociates.com/factbook.html

私の部署は購入する予算もなく、全体は想像するしかないのですが、調査の概要
と目次は下記サイトで無料で閲覧できす。
http://www.bersinassociates.com/fr/Factbook-2007-TOC.pdf
また、、Bersin & Associates社からのメールマガジンで、いくつかの結果を公
開しておりましたので、それら無料で入手できる資料の範囲で色々と日米の比較
を考えてみたいと思います。

どんな企業に調査しているのか
今回の調査の「売り」は従業員別のクロス集計を充実させているそうです。回答
企業数は331社。従業員100人未満の企業は除外したそうです。内訳としては
100～499人　　＝78％
500～999人　　＝10％
1,000～2,499人＝ 7%
2,500～9,999人＝ 3％
10,000人以上　＝ 2％
とのことです。比較的中小規模の企業が多いように感じますが、Bersin & Assoc
iates社によると、アメリカの企業の多くは小企業なので、マーケットの状況を
より適切に示しているデータだとのことです。

４項目だけチラ見できました
$595の品物なので、宣伝として公表してくれているのは下記の４データのみです。
１）企業内教育市場は平均7%で伸びている。
企業内教育市場は成長し続けており、予算の増額は平均７％とのこと。市場全体
の規模も2005年に$51.1Bから$55.8Bに増え、中でも製品サービスの購買に使った
費用は、2005年 $13.5Bから、2006年 $15.8Bに増額したそうです。
Bはビリオン。ここでの議論とは関係ないのですが、このビリオンという単位が
結構面倒で、英国ではmilliomの百万倍＝１兆。米国ではmilliom(百万)の千倍＝
十億なんでしたよね。だから$15.8Bは158億ドル。$1=120円とすると1兆8960億円。
なかなかの市場規模です。
２）教育訓練費に占める人件費の比率は下がっている。
一方、教育訓練費に占める人件費の比率は、2003年は1ドルの研修予算のうち73
セントだったのに、2006年は65セントになっているとのことです。
３）従業員数に関わりなくラーニングテクノロジーが使われている
回答企業のうち
バーチャルクラスのテクノロジーを使っている企業60％
LMSを持っている企業40%
アプリケーションシミュレーションとラピッドeラーニングツールを使っている
企業25～30％
LCMSを使っている企業14％
とのことです。
4)年間の学習者一人あたり研修コストは$1,273
年間の学習者一人あたり研修コストは$1,273。最も高い企業で$2,763。逆に最も
低い企業は$519だったそうです。

回答企業の78％が100～499人を考える
今回のデータで驚いたのは、回答企業の８割が500人未満の企業というところで
す。日本の場合、eラーニングはおろか、しっかり予算を組んで教育を実施して
いる企業は、従業員でいうと500人・・・いや1,000人以上ぐらいの規模ではない
かと感覚的には思っています。

100～499人の従業員数の会社が８割を占める調査のデータですら、アメリカでは
これだけ熱心に企業内教育を実施しているという傾向がうかがえるというのは、
結構凄いことですよね。。

日本でのeラーニングの普及状況の調査を見ると、大抵の調査結果で、大企業が
進んでいるものの中小企業での取り組みが遅れているという傾向が見られます。
中小企業の社員研修やeラーニングが活性化しない要因は、コストだけでなく、
人手の問題、ノウハウの問題、様々考えられます。少し景気の良い今のうちにな
んとか教育のインフラや体制を整えておく必要がありそうですね。07年予算の策
定が大詰めを迎える昨今、教育研修投資の重要性を改めて感じた次第です。