Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol.482:椿説弓張月をめぐる冒険

2013年07月01日 | オープニング


昨日、大学教育学会主催と関西国際大学共催の「Liberal Education and
America’s Promise(LEAP)とVALUE Rubricの有効性~アメリカの高等教育に
おける教養教育の展開とルーブリックを活用した評価~」という講演会に参
加するため神戸まで行ってまいりました。休日&遠方での開催ではありまし
たが、最近ルーブリックが自分の中で旬のテーマであったので日帰り出張で
行ってまいりました。講演会の内容につきましてはまた別の機会に紹介させ
ていただきますが、せっかく神戸まで行くのだからと講演会の前に、昨年神
戸にオープンした横尾忠則現代美術館(http://www.ytmoca.jp/index.html
に立ち寄りました。今回のオープニングではその事についてお話しします。

実は横尾忠則氏の手がけたポスターの中で、昔からどうしても見てみたいと
思っていた作品があり、もしかしたらこの美術館にあるのではという淡い期
待を抱いて美術館に向かいました。それは、1969年に国立劇場で公演された
「椿説弓張月」という歌舞伎のポスターです。椿説弓張月は南総里見八犬伝
で有名な曲亭馬琴・葛飾北斎画の読本で、原本は椙山女学園大学のデジタル
ライブラリーで閲覧できます(今回初めて知りました)。

椿説弓張月 (椙山女学園大学デジタルライブラリー)
http://zeami.ci.sugiyama-u.ac.jp/dl/Yumihari/

さて、そんな江戸時代の読本を歌舞伎にしたのは、あの三島由紀夫でした。
そしてそのポスターを手掛けたのが当時脚光を浴びていた横尾忠則でした。
そんな事でこのポスターはMOMA(ニューヨーク近代美術館)にも所蔵されて
いるそうです。しかし、以前からずっと見てみたいと思っていたのは、そう
した有名なポスターだからという理由だけではありません。実はポスターの
題字を書いたのがコガの祖父だったからなのです。祖父はもう20年以上も前
に他界しておりますが、生前は竹柴蟹助という芸名で国立劇場の狂言作家と
して働き、勘亭流という歌舞伎の字の第一人者でした。その祖父の書いた勘
亭流の題字が横尾忠則のポスターのど真ん中にあるのです。

椿説弓張月ポスター(小宮山書店Webサイト)
http://goo.gl/bYHgp

残念なことに、今回横尾忠則現代美術館では、椿説弓張月のポスターは展示
されていませんでした。ただある作品の一部にコラージュの素材として、こ
のポスターの題字の一部が使われていたのを発見したのでちょっとだけ目的
達成です。

ちなみに現在同美術館では「ワード・イン・アート?字は絵のごとく 絵は
字のごとく」というテーマで横尾忠則氏の作品を展示しています。彼の作品
は絵の中に「文字」が多用されています。同じキャンパス内に文字と絵を配
置することにより横尾氏は独自の世界を切り拓きました。それら文字の一つ
として、祖父の書いた勘亭流の文字が横尾忠則の作品の中にあるというのも
不思議で誇らしい気分です。そして、いつか本物のポスターに出会えること
を夢見ております。(文責 コガ)。

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