Sandy Cowgirl

植田昌宏。在阪奄美人。座右の銘は、「死ぬまで生きる。」

サラバ!

2017-05-20 12:04:01 | 書評


サラバ!  は、私の最愛の人、西加奈子サンの最高傑作です。
あー、今すぐ会いたいなぁ、だけど、そんなん、絶対むりやんな、恋しいです、大好きです。
でも、まぁ、綿矢りさ さんも好きかなぁ、だって可愛いもん。

・・・死ね

もし、西加奈子さんの作品に興味はあるが、まだ読んだことがない、という方は、さくら、を先に読んで欲しいと思います。
さくらは、サラバ!  と形式が同じ、男性の半生記で、ストーリー重視の、音楽でいえば、歌モノに相当するので、とっつきやすいからです。
この、サラバ!  は、少し変わっていて、取っ付きにくい割に、分量が多いので、途中で挫折する危険があります。

そんな サラバ!  を紹介します。


1 時代設定

主人公は男性で、その男性の視点で、子供の頃から37歳になるまで順を追って出来事を記述しています。
おそらく、西加奈子サンと同年齢の1977年生まれの主人公かと思います。
というのも、私は1976年生まれなので、よく覚えていますが、主人公が高校生のときに神戸の震災が起きている設定だからです。
子供のころから、オトナになるまで、非常に長い期間が取り上げられています。
想像や伝聞ではなく、生々しい時代の感覚でこの物語をつくろうとした西加奈子サンが選んだのは、ご自身と同じ年齢の主人公なのだと思います。



2 主な登場人物

主人公のエピソードが中心ですが、その他の登場人物のエピソードが丹念に描かれています。
それぞれのキャラがたっているのが、この作品の魅力の一つです。

・歩(主人公)
男性。イランで生まれ、その後、父の転勤でエジプトや大阪で育つ。これは、西加奈子サンと同じ経歴。
そこそこモテて、そつなくて、オサレ(気取り)でクズ男。

・歩の父
男性。細身で長身。一流企業に勤めており、海外赴任が多い。
寡黙で優しい上に、質素。

・歩の母
女性。華やかで自己中心的だが、天然で周りとはなぜかうまくやっていけるタイプ。
語学とか全然できないのに、なぜか外国人とコミュニケーションを完璧にこなせる。

・歩の姉
女性。強烈なエピソード満載の問題女子。悪魔がついているとさえ呼ばわれる。
歩とは正反対で、モテないし、空気読めない。強烈な個性で何かと注目を浴びる。

・ヤコブ
男性。エジプト人。サラバ!って何?って言う話と関係する。
二人の少年たちは、まるで魔法にかけられたように結ばれる。

・矢田のおばちゃん
女性。矢田マンションというボロアパートの大家。歩とは血のつながりはないが、実の祖母のような関係を持つ。
誰に対してもそのような態度なので、自然と次から次に誰からも慕われるようになる。

・須玖
男性。歩の高校の同級生。太陽のようなスーパーヒーロー。
さくら に登場する兄のような存在だが、非常に繊細で純粋。

・鴻上
女性。歩の大学時代のサークル仲間。奇抜で奔放な性格。



3 テーマ

長編なので、いくつものテーマが取り上げられています。キーワードだけあげます。

・家族の憎愛
 迷惑? オレの方が上? 気の毒? 家族のこと、ホントに、知ってるの?

・愛情や友情
 飾りなの? 誰と付き合うかが自分の価値? 何ができる? いざとなったら捨てちゃうの?

・信仰や芸術
 嘘くさい? それって危険なの? 騙されてない? 結局、お金? 

・言葉と衝動
 愛に言葉はいるのか? 身を削るの? 溢れ出るの? 魔法の言葉? 



4 ネタバレしない程度の感想

さくら、では、主人公がやや客観的な立ち位置で物事をとらえていました。
また、あおい、では、明確に身を削って物事を吐き出すために、辞書をたくさん読んで、太る、というエピソードがでてきます。
それに色をつけるように、黄色いゾウや、ふる、ではファンタジックな脚色が加えられます。
初期の作品はそのような傾向がありましたが、
ふくわらい、が、それらの傾向をぶちやぶったのです。

どんどん、設定を自分にひきつけてやろう、と。
なんなら、小説家やらそれに近しい人を主人公にした方がよっぽどリアルだ、自分と同じ年齢の方がよっぽどリアルだ、
ファンタジックな要素なんか、いらない、現実のリアルな世界が舞台でいいじゃないか、
それに、言葉も、使ってやる、身を削るんじゃない、
イメージが、伝えたいことが、それがある限り,言葉を利用して伝えてやるんだ、
衝動。
ということだと思うのです。

西加奈子サンは、プロレスが好きで、そこから勇気をもらった、と常々言います。
私はプロレスの楽しみ方が全く分からないし、単純に、棚橋に嫉妬しています、だって、西加奈子サンが大ファンだって言うから。
分かったふりはしたくないから、わからない、と言っておこう、プロレスについては。

でも、思うのは、
あー、例えば、花火をみてね、

 漆黒の闇に向かって、地表から、ほのかに瞬く光の粒が頼りない音をたてながら舞い上がると
 突如、光の粒達が、狙いを定めて三次元に舞い散る
 遅れて、お腹の底に響くような音響を連れてくる
 青、赤、黄、光の粒達は短い時間に様々に表情を変え
 だけど、すぐに力つきた光の粒達は、
 惨めでいとおしいていで、地表にむかって残骸を垂れ流す
 なにが起きたって? 結局、ただ、漆黒の暗闇の空に戻しただけだ
 たゆたう、ほのかな白い煙、じゃまくさい煙だけが、そこに確かに花火が存在したことを必死に訴えかけているかのようだ

とか、書いても、全然おもんないわけで、

 どーん、ときて、ばーん、なって、さーやな!
 花火はえーなー!オレの財布の中身と一緒や、すぐ、のうなる!

という方が素敵な表現だな、と思う。そんな感じのことを死ぬまで言っていたいなぁ。
だから、私は大阪が好きだ。
新しい職場は、こってこっての関西弁を聞けるのが、みんな気取ってないとこが、何より好きだ、
忘れてたけど、こういうのが幸せっていうんやろな、しらんけどな。

支離滅裂だが、そういうことを思いました。
そういう作品。

ぜひ、読んでね!
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