70の瞳

笑いあり涙あり、36人の子どもたちが生活する児童養護施設「さんあい」の出来事や子どもと職員の声をお聞きください。

悲しみの3月

2016-03-18 10:53:36 | 愛すべき子どもたち

3月は、施設を離れる子どもがいるだけでなく、離職する職員も多い。直近のデータから、児童養護施設で働く新人職員の約5割は3年以内で離職してしまう。主な理由は、過重労働、低報酬、不十分な休暇である。昔と比べれば、職員の労働環境は改善されたが、まだまだ不十分と言わざるを得ない。組織としての努力も必要だが、公的な措置費がベースで運営されている実情から、行政レベルの更なる支援は必須である。

一方、子どもの側からすれば、それは大人の都合、社会の都合である。一緒に生活しているお姉さんやお兄さんが、突然に自分たちから離れてゆくことを簡単には受け止めることはできない。特に、幼い子どもにとってはお母さん役の職員が去って行くことは、〝自分は見捨てられた″と受け止めてしまう。ある子にとっては、親に見捨てられたと同様のトラウマを施設で再び体験してしまうことになる。従って、お別れを話すタイミングやプロセス、どのような言葉を使うか職員間で真剣に議論し方針を決めてゆく。

社会人としては、職業選択の自由がある。或いは人生設計の中で転職を決意することもあるだろう。それ以上に離職する多くの職員の心は、様々な精神的負担で疲労困憊状態の場合が多いのだ。子どもたちも悲しい、職員も悲しい3月。 これが施設での養護の限界であるとも言えるが、施設責任者と行政は諦めるとなく、この状況を少しでも改善する日々のアクションが求められている。

子どもは、家庭で育つのが理想だ。でもその家庭に恵まれない子どもたちが、関係者の支援と理解により、養子縁組や里親の家庭で育つのが次の理想と言える。さんあいでは、積極的に里親養育の支援をしている。歩みは遅いが、1人でも多くの子どもが施設から里親に委託できることを目標にしている。

 

 ずっと同じ人が誕生日を祝ってあげるのが理想だ。

 


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