サナダ虫 ~解体中~

Go on and fuck yourself

「おと・な・り」【映画】

2009年07月19日 | 批評 「観」 
熊澤尚人監督作品、岡田准一主演の、

映画 「おと・な・り」を観た。


初めて好きになったのは、あなたが生きている音でした。


感想。

①壁、薄過ぎ。

②彼女、ウザーッ!(家事やるだけマシだが・・)

③お騒がせシンゴ、出番少なッ!(写真で終わるかと思った・・)


見所。(聞き所)

①音。

②擦れ違い。

③「風をあつめて」


「お隣」と「音鳴り」をかけてもいるので、“音”に拘っているかと思いきや、

BGMが意外と多いのに驚き。

別に五月蠅い程ではないのだが、どうせならもっと絞っても良かった気が。

ブレる映像にも、ちょっと気持ちが悪くなったので、

どうせならもう目ェ瞑っちゃおっかな~、みたいな。


絶妙なまでの擦れ違いっぷりにはヤキモキするし、

2人にまさか、あんな繋がりがあったとは思わなんだが、

作品としては結構好き。

★★★★☆


作品の中で、

とある人が、フラワーデザイナー志望の七緒に向かって、


「フラワーデザイナーになる為に、一体何本花を犠牲にしてきた?」


みたいな台詞を浴びせるシーンがある。


これはキツイ。

他人から言われるのなら尚更。




そんなこと、言われなくても解っている。




私も学生時代、花を勉強していて、フラワーデザインに力を入れてきた。

幸運なことに、全国大会にも出場することが出来た。


何であれ、大会や試験の為には練習が必要で、

私もその為に、授業中も休み時間も放課後も休日も、

毎日毎日花と向かい合っていた。


正直、特別花が好きだという訳ではなかったが、アレンジメントは楽しかった。

デザインを考え、花を選び、土台やラッピングにも拘り、

贈った(買って貰った)相手に喜ばれるのが好きだった。

作品を認められるのが嬉しかった。




だけど、徐々に浮かび上がるどす黒い疑惑。


私は一体何をしているのだろう??




そして、気付く。

これは、人間のエゴだと。




生き物の命を戴いて食べるのは、人間が生きる為。

木々を切り倒して加工するのは、人間が生活する為。




では、花は?


ただ愛でるだけではないのか??




愛でることはいい。

愛でるだけでいいのならば、地に根付く花を存分に愛でればいい。




懸命に生きている花を、わざわざ絶つ必要性は??




それからというもの、私の中で罪悪感がどんどん膨れ上がり、

大会に勝ち進む度、嬉しい反面、申し訳ない気持ちもいっぱいになった。

素直にアレンジメントを楽しむことが出来なくなった。

何度も練習から、花から逃れたくなった。




無駄だとは思っていないし、思いたくもない。

だから、決して“犠牲”なのではない。


だけども、やっぱり釈然としない自分がいた。




担当教師に、この道に進むよう薦められるも、(学校や留学なども)

勿論、それだけの理由ではないけれど、キッパリと断った。


普通に就職することを決め、普通の会社に入社し、普通に働いている今だけど、

全く後悔はしていない。


それは、第二の假屋崎省吾と呼ばれる才能があったとしても、同じこと。




ちなみに。

学校を卒業してから、一度もアレンジメントをしていない。


他の作品を見て、

「綺麗」「可愛い」「懐かしい」「自分もしたい」とは思うけれど、

すぐに気持ちが萎え、踏み止まってしまう。


フラワーデザイナー志望の人や、趣味でアレンジメントを楽しんでいる人に、

どうこう言うつもりはないけれど、

私にはその壁を乗り越えることが出来なかった。


ただ、それだけ。




とまぁ、そんな過去があった訳なので、

あの台詞に、それを浴びせられた七緒に、涙が出た。

私は、「花を大事に」出来たのだろうかと。


そういう意味でも、人よりもちょっと印象に残った作品。


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2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
ほぉえー (みーゆ)
2009-07-20 00:14:11
色んな想いがあるんですねぇ・・・
サナダさんの意外(?)な過去。
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みーゆさんへ (サナダ)
2009-07-21 21:24:42
コメントありがとうございます。

チラチラ話はしていたのですけどね。
ここまで深く話したことは初です。

とにかく、同じ作品を何日も何日も作ったりとか、本当にゲンナリでしたね。
練習しないとアレなのですが、勿体無くて勿体無くて。
仕入れてくるのは先生でしたが、総額を知るのがコワイ・・。
生花だから、取り置き・作り置きが利かないし、朝も早いんスよ・・。

でも、凄く面白かったのです。
いい経験でした。一生分楽しみました。
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