ポトホト

我思う 故に我書く

価値基準

2017-07-15 09:01:30 | 雑記
日曜美術館というNHK教育テレビ――今はEテレと呼ぶそうですが、そこで日曜の夜8時からやっている(確か)番組があります。

先週だったか、先々週だったか、知的障碍者の施設の、そこの利用者さんの作品を扱っていた時がありました。

とりあげられていたのは利用者さんの中のごく一部、飛びぬけて目につく作品を制作している人に限られてはいましたが、確かにその作品には目を見張るもの、魂を動かす美しさがあるのです。

作業の中で他の人が捨てたくず糸から、気にいったものを選んでは、ブラウスなどに刺繍してゆく人――まずは糸に沢山の結び玉を作って、それから縫い付けてゆくという手法なのですが、その結果として出来上がる作品の、えも言われぬ美しさ。

美しいと言ってしまうと、『綺麗さ』『整った美』などが想像されてしまうかも知れませんが、あの作品にある『美』は、もっと根源的な、原初的な、何とも言い難い混沌の中の美とでもいうか、とにかくハッとするものがあるのです。

創作者の魂が、そのまま形になって目に見えているかのような感じがします。

見ていて思ったのは、「あれは真似できんわ」という事。

意図のない意図とでもいうか、私には到底至る事も出来ない境地を見たような感じがしました。

他の方の作品に、とある美術館の館長さんが、『これを芸術と言わずして何を芸術というんだろう』と思ったと語られていましたが、まさにそのとおりだなと、館長さんナイス!みたいな感動すら覚えたりもした番組でした。

こういうものが世に出てくる、認められる時代になったんだなぁという感慨もあり、とても満ち足りた時間を過ごしました。

この番組は、メインの内容の後で、近々に開かれる展覧会の情報なども知らせているのですが、その時に告知のあった『現代アート』の展覧会の作品群を見た時、思わず「ああ、これって……」みたいな残念感がこみ上げてきた事もついでに書いておきます。
先刻の作品――魂の作品を見た後の、それら現代アートがものすごく安っぽい作り物に見えてしまったんですね。

小手先の代物……そんな感すら否めない。

他者の価値観を否定する気はないですが、それほどに価値観というのは微妙なるものなのだなぁと感じた次第。

才能は誰でも持っている。

ただ、その表現いかんで評価されてしまう点が、今の社会の弱点というか、盲点というか。

それを丸裸にして見せてくれたのが、彼ら障碍者の作品群だと私には感じられたのだと思います。

社会に迎合、適合した作品を創り出すアーティスト、社会では不適合とされながら魂を紡ぐ障碍者――どちらに自分がより心を奪われるかを知ることができました。

本当に面白い番組でした。

ちなみに『ニチビ』とかで検索すると、アーカイブがみられるんじゃないかと思います。
違ってたらごめんなさい。



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