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閑話休題50 飛蓬―漢詩を詠む -3 ―ガジュマルの木―

2017-09-15 16:56:26 | 漢詩を読む
今回は、鹿児島県喜界島のガジュマルの木を話題にします。

最近、「喜界島 道路に濁流 記録的大雨」(毎日新聞 9/5付)の見出しで、50年に一度という豪雨が報じられました。想像をはるかに超える被害の模様でした。一日も早い復旧を念じております。

この喜界島に特異な樹形をした見事なガジュマルの古巨木があります。樹幹は、無数の柱が束になったようで、その周は10数 mを越すでしょうか。但し、それらの柱状のものは、気根と呼ばれる根っこが成長したもので、真の樹幹とは言えないでしょうが(写真1)。


写真1:巨木ガジュマルの幹

この木を、特異な樹形にしているのは、上行する幹または枝がなく、枝が四周にわたって、真横にどこまでも伸びていることです。その模様は、写真2および3に見ることができます。この木は手久津久地区の山上にあります。


写真2:四周の真横に伸びる枝、上方に伸びる幹や枝は見当たらない

写真3:どこまでも横に伸びる枝

通常、ガジュマルの木は、碗を逆さにしたような樹形に育ちますが、横への枝ぶりがやや強いように思われます(写真4)。写真1~3に示した本題の木は、山上に育ったため、台風襲来の多い場所柄、風雨に晒されて、上行する枝の成長が阻害された結果でしょうか?


写真4:中国広西壮族自治区 桂林 伏波山 ガジュマルの木

大昔(?)の話ですが、ガジュマルの木の横に伸びる枝は、子供たちの絶好の遊び道具となっていました。枝の先端部が、ちょっと飛び跳ねて掴まるほどの高さであれば、ぶら下がって、トランポリンよろしく上下に揺らして遊ぶ。

また横に伸びた枝に藁縄でブランコを掛けて遊ぶ。数年前、偶然にその様子をカメラに収める機会がありました(写真5)。これは旧早町小学校校庭のガジュマルの木です。その遊具が現代に生きていることに強い懐かしみを覚えました。


写真5:ガジュマルの枝に掛けたブランコで遊ぶ子供

このガジュマルの木の幹や太い枝は、あたかも蛇が巻き付いたように見えます。それらは気根が成長したものでしょう。

この一枚の写真を見ると、やはり“ふるさと”に思いを馳せ、小さい頃を思い出さずにはおられません。その想いを詠んだのが、末尾に挙げた漢詩です。ご鑑賞頂けるとありがたい。

ガジュマルの気根について、昔語りをもう一つ。写真6は、植木鉢に植えられたガジュマルの木です。枝から大小さまざまな気根が無数に出ているのがわかります。ガジュマルの幹や枝または気根に傷つけると、白い樹液が出てきます。


写真6:鉢植えのガジュマル 無数の気根が伸びている

直径が約 1 mm以下の細い気根を取り集めて、小石でよく潰します。充分に潰れたものを口中に頬張り、よく噛みます。勿論、呑みこむことがないようにして、繊維質の部分を吐き出します。充分に噛み、繊維質部分の吐き出しを繰り返しますと、立派な自家製チュウインガムの出来上がりです。

ガジュマルは、ゴムの木の仲間で、クワ科の植物です。樹液にはゴム質が含まれています。気根からそれを精製してガムとして活用するこの方法は、原始的ながら、実用的な方法と言えるでしょう。誰が、また何時ごろ工夫した技(?)か、今日知る由はありませんが。

ところで、以前に、トンポーローと呼ばれる中華料理を発明した蘇東坡の漢詩、「西林の壁に題す」を読みました(トンポーローについては、閑話休題 45,‘170725;「西林の壁に題す」については、閑話休題 1、‘150412を参照)。

「西林の壁に題す」は、中国の江南、長江の下流域に“廬山”という名山がありますが、“その山の真の姿、素晴らしさは、山の中に身を置いていてはよくわからないのだ”という趣旨の詩です。

一方、室生犀星は、

“ふるさとは遠きにありて思ふもの  そして悲しくうたふもの
………
ひとり都のゆふぐれに  ふるさとおもひ涙ぐむ
………“

と詠っています。遠くふるさと離れて見るガジュマル/ブランコの図には、夏にはオンザロック、冬にはお湯割り がよく似合うように思われます。

xxxxxxxxxx

<原文>      <読み下し文>

対榕樹鞦韆図有懐  榕樹鞦韆の図に対して懐い有り

離開郷里幾秋過, 郷里(キョウリ)離れて幾秋(イクシュウ)か 過ぐ,
榕樹鞦韆催自酌。 榕樹(ヨウジュ)鞦韆(シュウセン) 自(オノ)ずから酌(シャク)を催おす。
飛網如今世界狭, 飛網(ヒモウ) の如今(ジョコン) 世界は狭し,
故郷何只在墳所。 故郷 何ぞ只(タダ) 墳所(フンショ)にのみ在らんや。 
註]
榕樹:ガジュマルの木;横に伸びた枝はブランコを掛けるのにちょうどよく、
 曾て子供たちは藁縄のブランコを掛けて遊んだものである。
鞦韆:ブランコ
飛網:飛行機(漢語:飛機fēijī)とインターネット(漢語:網絡wǎngluò):
如今:今日
故郷何只:白居易(楽天)「香炉峰下新たに山居を卜(ボク)し、草堂初めて成り偶たま東壁に題 す」に拠る。左遷されて一時廬山の麓に居た折、都長安を想いつつ、“故郷 何ぞ独り長安にの み在らんや”と詠んで、嘯いています。
墳所:墳墓の地

<現代語訳

ガジュマルの木に掛かるブランコの図に対して想い有り

故郷を離れて幾年月か過ぎた、
ガジュマルの木に掛かるブランコの図を見ると、自ずとお酒が欲しくなる。
飛行機とインターネットのある今日、地球は狭くなった、
何で墳墓の地だけが故郷であるものか。
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