KEY WORDS : デジタルブック・リーダー : E-book Reader : 富士通フロンテック : FLEPia : Sony PRS-505 : Amazon Kindle : iRex社 : イースト社 : iLiad : iLiad E-book edition : 流通・工業分野 : 電子クリップボード : 電子マニュアル
▲出張機内でのカッコいいイメージと「醜い技術」のどちらだろうか
▼醜い技術「ベスト5」に入った初代Kindle
つい最近「電子ブック産業はまだその本流を掘り当てていない」(NYT 4th Aug)と語って、新製品開発に意欲を示した米Sony技術責任者は、Amazonの最新版電子ブックリーダー「Kindle DX」でさえ、未だ完成せずという認識をあらわにしている。昨年、初代機が出たとき、ランボルギーニにも似たデザインやスピードと評価されたのに、今月のCNETは「最も醜い技術ベスト5」の中に取り入れた。くわえて電子ブック・リーダーのガラパゴス島日本では、早くも類似品らしきものまで現れている。
▼富士通の「FLEPia」はクリップボード?
その1例に前回登場した富士通フロンテックの「FLEPia」を入れてもいい。そのほか精密機器ブラザーの「ブラザードキュメントビューワー」もここに入るだろう。「FLEPia」はカラー表示など含めてすでにPC領域に入っているが、こちらはグレースケール表示など、流行の電子ブック・リーダーに限りなく近い。限りなくというのは、「Document Viewer」とメーカーが表記しているように、何となく筆者にはビジネスや工業現場でよく目にする厚板の「クリップボード」とか「マニュアル」に見えるからだ。
▲ブラザードキュメントビューワー
▼ビジネスや生産シーンでのサービスマニュアル
たとえば工場の生産ラインとか、流通業の情報確認・伝達とか、建設現場での工程や詳細設計のチェックとか、販売業のアイテム情報の確認・伝達といったシーンなどで、必要な紙のドキュメントを束ねておく一般のボードである。A4サイズ(237wx247dx15.5h)、9.7インチ画面、4階調グレースケール(反射型電子ペーパーディスプレイ)、ドキュメント1万ページといったスペックから、クリップボードの一元化、「分厚いサービスマニュアルの代用」というのが浮かび上がってくる。
▲ブラザーの サイト
▼米とその追随者日本に対して1線を画する欧州勢
米とちがって欧州には、電子ブック・リーダーの新規開発はそれほど多くない。最近、公開された「iLiad」は、数少ない事例。この製品化は、欧の電気・電子機器メーカーPhilips社からスピンオフしたiRex社によって、欧の電子新聞プロジェクトの一環として進められた。日への導入は、日のイースト社の共同による。同社はNewsMLを使った新聞ソリューション、電子出版、電子辞書サーバなどの開発や販売を行う日本法人であるが、あくまでも発想は欧州発である。
▼新聞配信のKindleに似た欧州モデル
欧の電子新聞プロジェクトは、欧州でも着実に紙の新聞(Newspaper)が凋落している背景による。その意味では米のKindleがさまざまな日刊紙などを電子配信して読者に届けるのと同じ発想。ただし概要からいえば、類似しているのは「iLiad(model number ER 0100)」の方である(下の写真左から3つ目)。スペックは、64MB RAM, 224MB user-accessible internal flash memory、WiFi、Ethernet、3.5-mm audio jack、slots for SD and CF cards、USB drivesを内蔵し、読めるフォーマットはPDF、 XHTML,、TXT、MP3となって多彩である。
▲ iRex社の電子ブック・リーダ2シリーズとタッチセンサ機能
▼米ソニーと1線を画する魅力的E-book reader
もうひとつのシリーズ「iLiad Ebook edition」も2版まで発売された。こちらのほうがこのブログでさんざん触れてきた米SonyのE-book Readerに近い。Sonyが日本発だけに、日本人としては気になるところ。両者のスペックもよく似ているが、iLiadが勝っているのは、スタイラスペン入力によるタッチセンサ搭載(Touch sensor input Integrated WacomR PenabledR sensor board Stylus (WacomR Slim Pen)といったハードや多彩な対応フォーマットPDF、HTML、TXT、JPG、BMP、PNG、PRCであり、OSにLinuxを採用している。これだけは筆者もぜひ一度試用してみたいと思っている。