徒然草庵 (別館)

人、木石にあらねば時にとりて物に感ずる事無きに非ず。
舞台・ドラマ・映画・旅・コンサート等の記録と感想がメインです。

マハゴニー市の興亡

2016年09月18日 | 舞台
"Aufstieg und Fall der Stadt Mahagonny."

ブレヒト&ヴァイル『マハゴニー市の興亡』

演出・上演台本・訳詞:白井晃
出演:山本耕史 マルシア 中尾ミエ 上條恒彦 古谷一行 他 (敬称略)

http://www.mahagonny.jp/



まさしくKAAT&白井晃の挑戦、真骨頂!歌、芝居、ダンス、舞台装置全てに圧倒された。それ以上に作品の持つ強烈な問題提起とメッセージが重い。
半面、クズのような人間群像を描きながらも舞台全体を貫く白井さんの高い美意識と「ブレなさ」に、実は救われているのかもしれない。



とにかく、KAAT芸術監督である白井さんの「私がやりたいことはコレだ!」という徹底ぶりが気持ちいいほど伝わってきた。
12列分約500席を潰して、50m四方近い舞台空間を存分に生かした大胆な舞台空間。加えてお得意の「通路を使いこなす」「観客を巻き込む」あれこれにまたも踊らされる我々観客。最初は鼻につくあのハイブロウさが、いつの間にか心地よくなってしまったら、立派な中毒患者(笑)。









圧巻はラストのデモ行進。台詞はなく歌だけ、なのにキャストが掲げるプラカードや横断幕には衝撃的文句がこれでもかと書かれていて、文字の持つ力に寒気。それらが人間の負の本性を忠実に炙り出している現実。あそこに観客を使う白井演出、嫌でも共犯者にさせられる。



利己的で刹那的な生き方、絶望、将来への悲観、息苦しさ、金銭至上主義、モラル崩壊、台風、地震...どれも2016年という「いま」に通じる。偶然とは思えないこのタイムリーさに戦慄。70年前の作品とは思えないリアリティー。演劇の持つ普遍(不変)性、可能性にも感動。



キャストは皆様「プロフェッショナル」!非常に高いクオリティー。主演の山本さんはもとより、脇はガッチリ固める実力派ばかり。ダンス・芝居・歌、どこを切り取っても隙がない。白井演出の緻密さを堪能。各々観どころ聴きどころ満載だが、書き加えるなら久しぶりの細見さん。友情と保身の狭間で苦悩する姿が、作品中数少ない「良心」を象徴していた。



決して終演後の気分がよい作品ではないけれど、観て良かった&遠征の甲斐があった。ああ、東京戻りたいな💧
ジャンル:
ウェブログ
この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 世界の車窓から ~古都ラヴェ... | トップ | 嵐になるまで待って2016 大阪... »

あわせて読む