徒然草庵 (別館)

人、木石にあらねば時にとりて物に感ずる事無きに非ず。
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キャラメルボックス『鍵泥棒のメソッド』2017(再演) ACT.3 新人抜擢公演

2017年03月21日 | 舞台
キャラメルボックス『鍵泥棒のメソッド』2017(再演)
ACT.3 新人抜擢公演



鍵メソ2017、大阪公演の2日目は昼夜の公演があって、夜の部は「新人抜擢公演」。
本公演で脇役を演じる2015年入団の若手2人(山﨑くん、大滝さん)が、メイン3役のうちの2役を演じ、残る1役をゲストの石橋さんが演じると言うもの。


       本役     新人公演 
桜井武史:畑中智行  ⇒ 山﨑雄也
水嶋香苗:実川貴美子 ⇒ 大滝真実
コンドウ:岡田達也  ⇒ 石橋徹郎
工藤/監督:石橋徹郎 ⇒ 岡田達也
藤本/大谷:山崎雄也 ⇒ 畑中智行
藤木/理香:大滝真実 ⇒ 実川貴美子

※その他の配役は変更なし(敬称略)


この配役表を見るだけでプレッシャーと言うか、圧迫感と言うか、ズッシリ感じてしまうんですが。新人さんたち、大丈夫???(笑)もっとも山﨑くんも真実ちゃんも一昨年(2015年)冬公演の『BREATH』で初舞台を踏んでいて、その時に「上手いなあ、すごく落ち着いてる!」と彼らの新人離れしたお芝居に驚いた記憶は、まだ新しいのですが。

ただ、キャラメルボックスには毎年3~4人の新人さんが入団しても、劇団員の数の多さ、層の厚さから、なかなかメインの役を掴むことは難しいだろうな、とも感じていたので、言うなれば部活の「新人戦」のようなこのアイディアはすごく良い!と思ったのです。^^
特に「箱推し」の多いCBファンは、サンシャイン劇場の入口でチラシを手渡してくれたり、前説で社長にいろいろ言わされたりツッコミされたりする姿を見ていた(笑)あの子やこの子が、1回限りとは言え、メインで大舞台に立つ姿を早く観たいはず!
こういうのを「劇団の内輪ウケ」とおっしゃる向きもあるかもしれませんが、私としては「割引料金でもチケット代を取る以上、キャラメルボックスのことだし、観客に見せて恥ずかしくないものを作ってくるだろう」という信頼がありました。また「脇に回る大ベテラン」たちが、どれだけ楽しませてくれるか、というイロモノ的好奇心もあり、ある意味本公演よりもワクワク感が高まる「イベント」に間違いありません♪

む し ろ そ っ ち か ! (←心の声)

石橋さんのコンドウ役もお芝居のイメージは全く予想がつかないし、達也さんの「監督」は初演で見ているけれど(←抱腹絶倒!)、工藤役となると…今回の石橋さんのようなお芝居でも、初演の大内さんのクールなお芝居でもないはず…これまた未知数。畑中さんのチンピラ藤本役は、逆に想像が妄想を呼び?期待度が天井知らずwww(爆)本公演でこんな役をすることは絶対にないでしょうから、かなり貴重な機会です。

と言うわけで。
以下、新人抜擢公演の感想です。

  ■ □ ■

新人抜擢公演HP
http://www.caramelbox.com/stage/kagidorobou-method-2017/newface-stage.php

「ストーリーも台詞も同じだけど、ここまで別物になっちゃうか!」

本公演が116分で、こちらが110分…同じ台詞量でこれだけ短くなると言うことは、どんな詰め方?と、開演前の前説を聞いての印象。テンポの速いキャラメル芝居での「4分」は、台詞やお芝居の実感速度として「2倍」と仮定すると、体感8分。ちょっとどうなるの??

幕が上がってそれはすぐに分かった。特に桜井と香苗のやり取りで。

台詞と台詞の間がない…!
次の台詞の移る前の、「矯め」が大事なのに!
そこで表情のチラッと変わるところが伏線なんだよ…!
ああっ、そこはそんなに即答しちゃ雰囲気が…!


ただでさえ多い台詞量で、「早くしゃべる」ことが多いキャラメル芝居とは言え、そんなに次から次へと突っ込んでいっちゃ、台詞前後の余韻が…orz
時々「あ~」と心の中でツッコミする始末。たぶん、間をとりけたくても出来ないんだろうな。逆に言えば、本役のベテラン3人が如何にテンポのよさを保ちつつ、台詞の矯めや間のバランスをとっていたか、改めて彼らの芝居巧者ッぷりに唸らされることにもなった。

それでも、桜井役の山﨑くん、香苗役の真実ちゃん、自分のもともとの役もあり、こちらも稽古して、さぞ大変だったろうと思うと、「とにかく頑張れ!」「こうなったら最後まで全力で突っ走れ!」と声にならないエールを送りながら観たくなるもの。この辺、「保護者参観日かい!」的なツッコミは甘んじて受けよう!(笑)

でも、芝居としてちゃんと成立していたのが、やはり「自称・遅れてきた新人」(笑)石橋さんの演じるコンドウの、包容力と柔軟さのおかげではないかと。

石橋さんのコンドウは、初演のアベジョーさんとも、達也さんとも違う、むしろ「名前が同じだけの、全く新しいキャラクター」として存在していた。もっとも本役は映画の翻案であり、そもそものキャラ造形も芝居も「香川照之さんの演じ方、空気感」に似せて作り上げているのだから、初演の2人も(テイストは若干違えども)ほぼ「同じカテゴリー」のコンドウ像になっていたのは、当然と言えば当然である。

しかし!石橋さんのコンドウはもっと陽性で、大らかで、自由!!!(笑)笑い方や泣き方、凄み方、照れ方、どれもが「本役とは間逆の明るさ」があって、日陰者の匂いがしない。同じように「イイ男」なのだけど、もっと言えば、あれは「日本のヤクザ商売」ではなく「イタリアンマフィア」だ。石橋さんの肩幅、すらりとした背丈や長い足、ちょっと日本人離れした額~眼~鼻のライン、黒スーツよりも、純白のスリーピースでボルサリーノでもかぶっていた方が遥かに似合うだろう。ラスト、車の中での会話シーンなどは、本役のコンドウの漂わせる鬱屈した湿っぽさ(笑)よりもカラリとした雨後の太陽に似た雰囲気で、これまた面白かった。

新人公演であれば、達也さんだけをコンドウ役のまま据えて、桜井と香苗を入れ替えるだけでも良かったのではないか。
そう思った私は、終演後にお聞きしてみた。

「そうですね。そういう選択もあったと思います。実際、成井さんも最後のほうまでキャスティングをどうするか悩んでいましたし。でも、このお芝居はやっぱり『桜井・香苗・コンドウ』の3人がメインで、ここが全部入れ替わってこそ面白くなるということで、ご無理を押して石橋さんにお引き受けいただきました」(仲村P談)

私としてはこうも考えた。達也さん以外で石橋さんを除いたら、他にコンドウ役を演れる年齢の、男性の役者さんがいない…?いくら年齢的にはジャストミートでも、コンドウが畑中さんじゃ、絶対に無理だから!(苦笑)←冬公演『ゴールデンスランバー』の時に「絶対に暗殺者には見えない」ランキング、ぶっちぎり1位の好感度を誇るモフモフ王子w いや、それも観たかったかもしれないけど、多分あの登場シーンから「出落ち」状態で劇場中が大笑い、お芝居ぶち壊しちゃうだろうなあ…(^^;

じっきーさんの藤木(香苗の同僚)は、真実ちゃん演じる香苗をフォローする立場になるせいか、他の入れ替わりキャストに比べると非常に堅実で、落ち着いて観ていられる上手さ。(真実ちゃんにはプレッシャーだっただろうけど…)

香苗「その人は、ギリギリOKです」
藤木「編集長。これはウチのダンナです」
香苗「ごめんなさい…」
藤木「いいんです。ギリギリOK、ありがとうございます」←本役と台詞が違う
香苗「………(シュン)」

「あ~怒ってる~~!」という面白さがジワリと伝わる名場面。
こういう遊びがもっとあってもよかったも。

  ■ □ ■

閑話休題。
そんなわけで入れ替わりメインキャスト3名のお芝居を(心の中でエールを送り、ツッコミを入れつつ)堪能。
加えてこの新人抜擢公演、まだまだ面白いことがある。

達也さんの工藤。(ぷっw)←
既に「面白い」としか考えられない。考えられなかったものの…
登場シーンのビジュアルに思わず噴き出したw

何なんですか、その端正なスリーピース!
何なんですか、その銀縁眼鏡!
何なんですか、その喋り方!
で、何なんですかアナタ!(爆)


ダメだ。面白すぎる。ニヤニヤしてしまう。
言ってみればホスト崩れみたいなビジュアルの「インテリヤクザ」で、ちょっと右京さんみたいな浮世離れした感があって、顔が笑っても眼が笑っていない、内面の鋭さや怖さがそこかしこからジワる。
特に歩き方!カテコまで一貫して、ちょっと前のめり気味に肩で風切って歩く姿は、完全に「そっち系の人」w どこからそんな引き出し持ってきたんですか!やっぱり元ヤンの血ですか?!

とにかく一挙一動一投足が面白い。観ているだけで面白い。
同じ場面でも、本役の工藤が「絶対にやらない」ようなことを、平気でやるw

デスクに寝てみたり。土屋の写真を全消去したりw「痛いのナシね」と可愛くお願いしてみたり。
そして、何より達也さんの演じる工藤の部下に、畑中さん演じるチンピラ藤本がいる!!!
これの組み合わせが笑えずして何であろう。

畑中さんの藤本。本役の山﨑くんとは「頭ひとつ分」身長差がある。何もしなくても目立ってしまう彼と、畑中さんの「見せ方」の違い、それはひとえに「動き」に尽きる!
とにかくよく動く。ちょっとヘラヘラした表情の見せ方は変わらないが、出てくるだけでも弾むように歩き、時々スキップをしている。これではチンピラと言うよりも、むしろ「アホの子」な小学生であるwそしてタチの悪いことに、それが破壊的なまでにカワイイ。

カワイイは正義である、以上。

…もとい。達也さん&畑中さんの「ど突き・ど突かれ」の掛け合い漫才(違)は、本役でも十分すぎるほど楽しめるのだが、これがヤクザとチンピラの関係性に置き換わると、ただの「楽屋裏の日常ですか!」状態(笑)。藤本がお茶を入れるシーンでも、達也さんの工藤がノリノリで「(お茶が)薄ーーーいッ!」と言いながら、デスクに突き倒した畑中さんの藤本の頭に、茶碗の中身をぶっかける。思わず「う~わ~!w」もはや捨て身で笑いを狙いにきているとしか思えない。

しかも二人とも芝居自体のメリハリはキッチリつけてきているので、シリアスなシーンはそのように、遊ぶところを全力で遊んでいるのがわかる。とにかく舞台上で本人たちが楽しそうなのだ。観ているこっちが面白くないわけがない。周囲も笑いすぎて涙を拭きながら肩を震わせているお客さんばかり。

結論。
この工藤興業は反則ですわw


もうちょっと付け加えるなら、OPのダンスシーンも反則並みにカッコいい。
達也さんは初演でも再演でも「コンドウ」なので、ダンスはラスト最後方でチラッと顔見せ程度にしか出てこない。これが!最前列下手側でガッツリ踊ってくれる(しかもあの白黒ロングジャケット着用!)のだけでも嬉しい!!達也さん=コンドウである限り実現不可能だった「夢のシーン」が現実になったのが嬉しかった!!!
そして畑中さん。初演の黒版ではセンター、ホワイト版ではサイドのポジションで踊るのを見ているものの、やっぱり新しい振り付けのカッコよさが映える!身体がキレるって、本当に素晴らしい~!
1分30秒では到底足りないOPダンスシーン、2倍も3倍も楽しめた。


この新人抜擢公演、ダイジェスト版でいいからDVDに収録して欲しい、と切に願うものである。

  ■ □ ■

笑いと拍手の絶えない終演後。カテコ挨拶を山崎くんが担当したのだが…これが想像を超えた「gdgd」(おそらく頭が真っ白だったのかと推察)。今日はロビーでハイタッチ会があるということで、見かねた達也さんが「落ち着け」「案内があるだろ」と横からフォローするも、何とも心もとない。
真実ちゃんが引き継いで、途中までは香苗のように生真面目に挨拶をしていたのだが、今度は眼がウルウル、涙ポロポロ。

あ~あ~あ~…(^^;
でも、これも「アリ」だよね。
誰にでもデビュー戦はあるんだから。 ←この辺は甘いといわれても仕方ない。

ハイタッチ会、新人さん2人の入団時から見ている&折々に話す機会もあっただけに、お芝居の出来そのものより、「ここまで来たね」という気持ちの方が大きかった。心からのねぎらいをこめて「お疲れ様!良かったよ」「頑張ったね」と声をかけた。← これじゃホントに「お母さん状態」じゃないかw

続いて、年齢不詳のかわいいチンピラさんと、正体不明のインテリヤクザさん。

※えーっと、白状しますと…このお二人(私的キャラメルボックスの「ゴールデンコンビ」)を間近で見て、テンション上がりすぎて、感想を何て言ったか覚えていません!すみません!(多分…変なことは言ってないと思います。多分…)

  ■ □ ■

その後の話。
この新人公演を観て、いつも私がどれほど作品の「役」を「キャスト」と重ね合わせているか、再確認することになった。
そもそもキャラメルボックスのオリジナル作品の場合、役(キャラクター)は特定の劇団員をイメージした「あて書き」が多いだろうから、観る側も「ああ、この人ならこの役で絶対面白いよね」「あの人に合ってるよね」と、ごく自然に感じると思う。むしろその「重ね合わせ」によって、キャラクターの存在がより愛おしく、芝居も共感を呼ぶものになる効果があるのだろう。この役は○○さんの当たり役、この役は△△さんでしか考えられない、という例は枚挙に暇がない。その役者が演じることで、私たち観客は他の作品にも過去に出てきた「同じキャラクターのヒストリー」を自然に重ね合わせて、より重層的な世界観を楽しむことができるのだから。

しかし。この『鍵泥棒のメソッド』は、元々が映画作品で、ビジュアル面で確固たるサンプルが既に存在している。香川さんと、堺さん、広末さん。元々は彼らの演じたキャラクターのはずなのに、まるでキャラメルのオリジナル作品のように、演じている役者の「素」に違和感なくサラリと溶け込むような心地よさ、面白さ、ワクワク感があるのは何故だろう。

コンドウの二面性は、達也さんという最高の触媒を得て、よりイキイキと描き出され、桜井の無茶無鉄砲ぶりと憎めない愛嬌は、間違いなく畑中さんの持ち味あってのもの。今回「3人目の香苗」も実川さんのお芝居を通じてこそ「不器用で真面目な良い子だけど、ちょっと変人キャラ?」として受け入れられたように思う。(褒めてます!)

役者の個性も、やっぱりお芝居の一部なのだろうと思う。そういったものを切り離して「カメレオン」のようにいくつもの役を自在に生きる役者もいるけれど、この作品がCBファンに愛される理由は、やはり「キャスティングの妙」と「フィット感」なのではないだろうか。

複数キャストで同時に演じるからこそ、本役はやっぱりすごい!と思え、本公演があるからこそ番外編が面白い!観客としてはホントに贅沢な機会でした。



※あと、役者の「サイズ感」は大事!!!サイズ感が違うと、同じ動きでも全然違って見えてしまう。この辺も、キャスティングの妙とでも言うべきものかもしれない。(笑)



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