蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

バッタを倒しにアフリカへ

2017年06月17日 | 本の感想
バッタを倒しにアフリカへ(前野ウルド浩太郎 光文社新書)

著者は、博士号を取った後(任期なしの)所属先が決まらない状態、いわゆるポスドクである。
昆虫、特にバッタを専攻?していて、モーリタニア(西アフリカの国で日本へのタコの輸出で有名)のバッタ研究所(アフリカではバッタの集団発生による農業被害が深刻なため、その対策などを研究している)へ、野外研究のために赴く・・・という話。

タイトルから想像すると、バッタの集団発生を防ぐ画期的な研究成果を語っているのかと思えるのだが、実際はポスドクという厳しい立場を自虐的に語る部分がほとんど。
ポスドクの悲哀を描くというと、福岡伸一さんの作品が思い浮かぶのだが、福岡さんのがハイブラウ、文学的とすれば、(失礼ながら)本作は、若干下世話でマンガ的だった。もっとも福岡さんはとっくにテニュアを得てから書いた作品だからこそいろいろ飾って描ける面もあると思う。著者はポスドク真っ最中なわけで、本音に近いところが出ているのかもしれない。

実はモーリタニアでの研究成果はまだ論文化できていないので、この本には書けないのだとか。「え~これって看板に偽りあり」なのでは?と正直なところ思ったが、本筋とは関係なく面白く感じた内容、トリビア的な記述(以下に例示)も多くて結構楽しめた。

◆昆虫の研究といえば、(ファーブルのように)野外での観察が中心なのかと思ったら、少なくとも日本ではインドアでサンプルの昆虫を育てて観察するという手法がほとんどらしい。著者もフィールドでの研究に臨むのはモーリタニアが初めて。

◆砂漠にあるオアシスは、イメージと違って悪臭ただよう泥沼のようなところ、らしい。

◆西アフリカでは、女性は太っている方が魅力的と考えられている。このため子供に無理矢理大量の食物を食べさせる慣習がある。

◆モーリタニアは、一夫多妻制。著者が雇ったドライバーも複数の妻を持ち、妻たちの家を行ったり来たりしている。(今でも法的に一夫多妻が認められている地域があることにびっくり)

あと、モーリタニアのバッタ研究所のババ所長がとても魅力的に描かれていた。
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