蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

憧れの女の子

2017年07月16日 | 本の感想
憧れの女の子(朝比奈あすか 双葉社)

巻末の初出をみると、多くが推理小説雑誌なのでミステリなのかと思ったら(若干そういう風味のものもあるけど)普通の小説(短編集)だった。

「憧れの女の子」
→一人目、二人目の子供が男の子で、どうしても女の子がほしい妻とその夫の話。
不妊治療ならまだしも産み分けまで人為的に行うのはどうかと思うものの、豊かな国ならではの現象なのでしょうな。
夫のビジネスの話、乱暴な次男の教育の話など多様なトピックを50ページ程度の長さにうまくまとめて、「この後どうなる?」と思わせる筋立ても上手で、著者の技量の高さがうかがえた。

「ある男女をとりまく風景」
→単純な仕掛けなのに「ミステリじゃなくて普通の小説だ」と思って読み始めたので、なかなか気が付かなかった。

「弟の婚約者」
→ジムでヨガなどのインストラクターをしている主人公は、かわいがっていた弟が連れてきた恋人に戸惑う、という話なのだが、テーマは主人公の自分さがし。相当の年齢になって不安定なフリーのインストラクターのままでいいのだろうか、という心の揺れがうまく描かれていた。

「リボン」
→少年時代からゲイであることを自覚している主人公は脱サラして喫茶店を経営している。その店のパートの人から紹介された(柔道部でごつい)学生が気になるが・・・という話。
本当かどうか知るすべがないけど、ゲイの人の心境ってこんあ感じなんだろうなあ、と思わせてくれる心理描写がよかった。

「わたくしたちの境目は」
妻を亡くし、退職して手持ち無沙汰な主人公は、息子夫婦に誘われて山奥の温泉にいくが・・・という話。混浴事情?など温泉情報?は目新しかったが、うーん、他に比べるとストーリーが平板だったような気がする。
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