蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

帰ってきたヒトラー

2017年06月06日 | 映画の感想
帰ってきたヒトラー

ヒトラーが(自決寸前に?)現代にタイムスリップしてよみがえる。
ヒトラーをものまねタレントだと思い込んだフリーのTV ディレクターは、彼を使った番組を企画してドイツ各地に連れ歩く。やがてTVのバラエティ番組に出演したヒトラーは往年の調子でプロパガンダ的演説をぶつなどするうち、大人気になり・・・という話。

普通の街中で(どっきりカメラ的に)ロケしたドキュメンタリーちっくな場面もあったり、

本作はドイツでベストセラーになった本が原作なのだが、映画の中でもヒトラーがその原作本を出版するシーンがあったり、

現代によみがえったヒトラーを主人公にした映画を、彼自身が主役となって撮影するシーンがあったり、

などといったメタ的な仕掛けが随所にみられる。

さらに、偽物のはずのヒトラーが妙に説得力と迫力があるスピーチをして、それが現実の現代欧州にフィットする内容であったりする。

このように、現実と虚構の境目がわからなくなるような感覚が味わえるのが、本作の一番の魅力だと思う。

ドイツでは犬がとても大切にされていて、野良犬を保護する施設の1匹あたりのスペースが日本の単身者向けアパートより広いくらいで、もちろん施設で処分したりしない、と聞いたことがある。
本作の中で、子犬にかみつかれたヒトラーが頭にきてその犬を銃で撃ち殺すシーンがあり、これがTVで暴露され、一気に彼の人気は地に落ちるのだが、犬命?が尊重され、犬の虐待がタブーになっているムードがよく出ていた。

ユダヤ人についても、ちょっとだけ触れるシーンがある。こっちは犬とちがってまさに腫物にさわるようなデリケートな扱いのように見え、いくら風刺/ギャグっぽい映画であっても、この点については広い自粛?ゾーンがあるんだな、と見受けられた。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 帝国宇宙軍1 | トップ | 死の鳥 »

コメントを投稿

映画の感想」カテゴリの最新記事