迷宮映画館

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しあわせの隠れ場所

2010年06月06日 | さ行 外国映画
アメリカ南部、場所はメンフィス。
ある意味アメリカの縮図のようにも見える。超がつく金持ち層に、足も踏み入れたくないような貧民街が隣に存在しているところ。

いくつもの店舗を経営するセレブのテューイー家の夫人、リー・アン。感謝祭の劇の発表会の帰り道、とぼとぼ歩く、大きな大きな男を見つける。感謝祭といえば、10月末。寒い夜道に半そでで歩いている。

通り過ぎることも簡単にできたが、元来おせっかいのリー・アンは、遠慮する男を車にひき入れ、家に連れてくる。彼は「ビッグ・マイク」と呼ばれていた。名前の通り、とにかく大きい。

黒人で山のように大きく、貧乏を絵にかいたような男。泊めるのはほとんど自殺行為だ。
朝起きて、なくなっているものはなんだろうと半ばあきらめていたが、そんなことはなかった。文字通り、気は優しくて力持ち。人は見た目で判断してはいけない。

でも、見た目も重要。服を買いに行き、前向きに勉強に取り組み、一歩ずつ一歩ずつ自分に張られている膜のようなものを取り払っていく。

その恵まれた体格と、運動神経のよさを見込まれて、高校に通っていたが、ある一定程度の成績をとれないと運動部で活躍することはできない。彼はまるで勉強の出来ない生徒・・・と思われていたが、そうではない。いままで、身を入れて勉強するきっかけがなかっただけ。

安定した生活があり、自分を必要とされ、前向きに取り組んでいく彼は、メキメキ自信をつけ、フットボールで活躍し、彼の通う高校を全国大会に押し上げていく。

簡単にそうなったわけではないが、紆余曲折の道のりも、お年頃の男の子を家に置くという誤解も、気は優しすぎてなかなか戦闘モードにならないジレンマもキチンを描いて、納得のいく彼の成長物語になっている。

実際のフットボールのスター選手の驚愕の生い立ちだそうだが、素晴らしかった。まだ現在進行形のことなので、少々描きにくかったこともあったのでは・・・と想像するが、なんといっても肝っ玉母ちゃんのサンドラ・ブロックがお見事。

物事はっきり言う性格の毅然とした強さが、彼女のキャラと相まって、本当によかった。さすがオスカー受賞。おまけにラジー賞も受賞されていたが、授賞式にさらっと出ることのできる女優さんは、そうはいない。

あたしゃ、映画はいい男を見るためのもん!!と目的ははっきりしているのだが、サンドラさんは別格。いい女です。この人大好き。

この映画をとっても説得力あるものにしているのは、やはりマイケル役の大男のクィントン・アーロンの存在。彼がいなかったら、半端な映画になって、とてもここまで胸打つものにはならなかったと思う。



と、最高だったのはSJでしたね。こまっしゃくれたところと、子供っぽいところと、見事な演技。あまりにうますぎて、あざとくなるところを、彼の持ち味でいい感じになってるのがいい。

とってもいい映画だった。

◎◎◎◎○

「しあわせの隠れ場所」

監督・脚本 ジョン・リー・ハンコック
出演 サンドラ・ブロック ティム・マッグロウ クィントン・アーロン キャシー・ベイツ


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14 コメント

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Unknown (KLY)
2010-06-06 22:11:44
サンドラ姉さん、アカデミー賞とラジー賞同時受賞して、その直後に離婚、さらにこの間は養子をとると、なにやらここのところ公私共に目立ちまくりですね。(笑)
私は目立たないけどパパさんが凄く好きなんです。こっそり緊急連絡先をかえてて、リー・アンが「だから好き!」なんて所が凄く素敵で。
>KLYさま (sakurai)
2010-06-07 17:57:21
えーー、離婚までしちゃってましたか。
忙しい日々でしたね。
その辺もひっくるめて好きな女優さんです。
年代が近いもありますが、ジョディ・フォスターとこの人が好きだなあ。
パパさんもとっても良かったです。
男はかくあるべきでしょう。
こんばんは~☆ (kira)
2010-06-07 21:39:53
およそ初めてといっていいぐらい、サンドラが好みの役どころでした(笑)
ラジー賞の授賞式の彼女もさらりと素敵な女でしたね~。

これは、このママを理解し全てを受け入れ、
いろんなシーンで協力するお姉ちゃんもSJも、素敵なパパも、それらがあってこその
温かさでしたね~。
良かったです
サンドラ・ブロック (mezzotint)
2010-06-07 22:46:14
おぉ~!彼女のファンでしたか。
sakuraiさんは男優ファンだけかと
思っていましたよ。なるほどう~ん
何となくサンドラファンっていうのは
納得ですね。彼女って同性ファン多そうだ。
私も嫌いじゃないですね。私生活、結構
大変そうなので、それを糧にして
頑張って欲しいです!
セレブだから彼を救うこと出来たのかも
しれませんが。やっぱりセレブでもやらない
人はやらないでしょう!ひとえに、
リー・アンの人柄だと思います。
それにしても偉い人ですよね。
>kiraさま (sakurai)
2010-06-08 14:58:00
サンドラがちょと苦手・・という人の気持ちもわかりますわ。
どっか鼻につくときもありますもんね。
でもあたしは総じて好きだなあ。
去年の「あなたは私の婿になる」も、好みでした。
家族みんなのチームワークが、よかったですね。
あの年代の娘にありがちなわがままぶりもなく、気持ちよかったです。やっぱSJが
ジョブでした!
>mezzotintさま (sakurai)
2010-06-08 15:06:13
ほんとにどんだけ男が好きやねん!と怒られそうですが、珍しく好きな女優さんです。
たぶん、この人女、女してないからかも。
ハンサムだと思いませんか?
セレブだろうが、貧乏だろうが、人の生き方は、その人次第ですもんね。
彼女はそのセレブであることも十分利用して、それを他人にも上手に生かせる人だったのですよね。
いい映画でした。
わたしも好きです!サンドラねーさん (mariyon)
2010-06-13 10:08:51
サンドラブロックは「あなたが寝てる間に」以来大好き(笑)です。
最近すっかりアネゴ肌のサンドラにぴったりでしたよね。
実話の重み。。。みたいな説教くささもなかったし、かなりストレートでびっくり。
感動が伝わってきました、はい。

実際の家族が、映画のように仲の良いことを祈るばかりです。

>mariyonさま (sakurai)
2010-06-16 20:29:24
いいですよね、サンドラさん。
飾らないとか、姐御はだとか言われますが、ほんとにそのままっていう感じで。
そのキャラと、今回のリー・アンが見事にぴったりで、物語に素直に入っていけました。

あの写真を見る限りでは、とっても仲よさそうでしたけどねぇ。
同感! (オリーブリー)
2010-06-18 14:35:29
私も映画は良い男ありき(良い男発掘目的)の不埒な女で、女優はどーでも良いけど、男前なサンドラは大好物です(笑)
彼女に唇奪われる女優はラッキーでしょう(爆)

こちらの物語、まあ、日本ではいくら金持ちだからと言ってもおおよそ考えられない事ですが、この家族の素晴らしさは痛感できましたね。
あんなママになりたいわ(爆)
監督とリー・アンのやり取りが最高でした!
>オリーブリーさま (sakurai)
2010-06-23 15:41:03
不埒な見方をするお仲間がいて、うれしい限りです。
絶対にいい男見に行くのが映画ですよねえ。
なんですが、例外がサンドラです。
ハンサムな女性だと思いますわ。

へなちょこ監督がいい味出してましたね。
それぞれの役柄が、ぴったりで、お見事でした。

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