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ダークナイト ライジング

2012年08月24日 | た行 外国映画
最初に申し述べておくと、3回見た。
一回目、公開当日。大会に行く前の最後の練習に付き合って、半日太陽を浴びた後。。きついけどどうしても見たくて、朦朧とした中で鑑賞。失敗。疲れ過ぎてた。ノーランの映画は、見る方にもある程度の苦行を強いる面がある。次々変わる展開と、同時に進んでいくいくつかの話について行けず、自分の中で咀嚼しきれなかった。前作もあまりとどまってなかったし。

最後のアトム的決着のつけ方に、やっぱ手塚は永遠だ!!と思いながら、ゆっくりしたあとに再見しようと決意した一回目の鑑賞。

二回目。精神的にも肉体的にも十分に回復。何が来ても大丈夫!!という状態で鑑賞。断片的だったような・・・と言う一回目の印象を払しょく。ハンス・ジマーのこれでもか!と言う繰り返しの妙の音楽に合わせて、悪と正義のせめぎ合いに翻弄される人間たちのうめきとあがきがざわっと迫ってきた。

悪はある。人間の心の中に巣くう闇。こればっかりはどうしたらいいのかわからないと言うくらいの闇にバットマンは立ち向かってきた。なぜ人は犯罪を犯すのか?なぜ人は、あれほどまでの非道なことができるのか?その非道によって命を奪われた両親は、息子・ブルースを心から愛していた。

ブルースは、金にあかせた(失礼!)科学技術と、身を削って修得した力によって、いつまでもいつまでも無くならない悪に立ち向かってきた。そこにあったのは恐怖の念。人間が一線を越えてしまうのは、ハードルがなかったり、低かったり、それを超えてしまった時に起きる。

常々、私は人間に必要なのは怖いもの・・だと思っている。地震・雷・火事・親父・・・と怖いものの象徴として言われてきた最後のもの。子供の行動に対してガンと抑えることができた親父の権威を失くしたのは何なんだろう。それは別の機会に考えるとして、バットマンは親父のような存在になることによって、犯罪を抑えることができれば、と思ったのかもしれない。

しかし、彼の考えを超えてしまう悪が現れた。それがスケアクロウであり、ラーズ・アル・グールであり、ジョーカーであった。

出来ればブルースは、素顔で戦いたかった、でもそれでは恐怖の存在になれない。そこでマスクをかぶり、マントを背負った。あくまでも闇の存在。しかし、生身の人間で、力ではなく信念で悪に立ち向かう奴がいた。それが本来のあるべき姿であり、そうなりたかったんんだろうなあ〜。

そんな前日譚を踏まえて、ライジングである。人間の強さと弱さをさらけ出したハービー・デントが死んだあと。彼の晩節のあと始末をすべて背負ったブルースは、隠遁生活をしていた。もう自分が出て行く必要はないだろう・・・と言うことを信じて。

しかし、彼を引っ張り出したのが謎のマスクをかぶったベイン。なにやらゴッサムシティの地下で、物騒なことを起こそうとしているらしい。前代未聞の犯罪。ゴッサムを丸ごと破壊しようというとてつもない計画が着々と進行していた。

ネックは核。アメリカ映画の伝家の宝刀、核爆弾。核の持つもろ刃の性格がよーく出てた。よかれと思って作りあげた核エネルギーの使い道が、世界を滅ぼすものになってしまうのですよね。

度し難い悪に対抗できるものは何なのか・・・・?それは超人的な力でもなく、とんでもない財産力でもない。自分より弱い人間をそっと力づける優しさ。相手を思いやる気持ちが何より大事なんだという答えをさりげなく示唆した最後が良かったなあ。

きっちりと咀嚼し、充分堪能したあとに、どうしてもまた見たくなって再再見したのは、音楽だ。この何度も見たくなる麻薬のような魅力の源は何かと思ったとき、それはハンス・ジマーのスコアだ。芯になるテーマのテンポは同じなのだが、内臓にずんずんと来る。沁み込む。多分にまたこれが聞きたくて行くんだわな。

映画を見ながら、あちらのスーパーヒーローが戦うのは、同じ生身の人間で、悪と言う性格を持ってしまったのが多い。それには当然ながら理由はあるが、その理由をつくりだす原因となるのも同じ人間だ。

日本のヒーローは・・と思ってみたところ、同じ人間が作り出した悪!も当然あるが、それを超えたもの。宇宙からやってきたり、異形のものだったり・・・。

度し難い悪を持っているのは同じ人間なんだ!と思うか、人間には理解できない、人間ではないものが悪なんだと思うか。人をあくまで信じたい日本人の甘っちょろさが私は好きだなあ。

◎◎◎◎

「ダークナイト・ライジング」

監督 クリストファー・ノーラン
出演 クリスチャン・ベール マイケル・ケイン トム・ハーディー アン・ハサウェイ
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16 コメント

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ノーラン万歳 (KON)
2012-08-26 10:59:28
壮大なスケールで、撮りたいものを撮り、伝えたいことを伝え、ノーラン監督
今回は満足感でいっぱいだったのでは。
それぞれのキャラクターも見事に描き切れていたし、お遊びも忘れない。
今回は悪役も凄かった。トム・ハーディー、言われなきゃ彼だとはわからない。
あの目のみの演技。ビリビリくる声。忘れがたい印象でした。
あの筋肉は自前のものなのかな?
ラストのブルースの所在は二通りにとれますね。ああいう行動をとったけど、
マシンは自動操縦になってたらしいし、随所に気になる点を残しているから、
もしかして・・!?
後々まで考えさせるあくまで観客の判断に委ねる演出に拍手!

こんにちは♪ (ひらで〜)
2012-08-27 12:07:26
お久しぶりです♪
しばらく、大昔の中国を彷徨ってました(笑)

3回もご覧になられたのですか?
凄い!でも、観たくなる気持ちもわかるな・・。

3部作と言われながらも、ヒース出演の前作で私的には
終わってしまっていたので、最後はそう簡単には楽しめないだろうなと、思いつつお気に入りのトム・ハーディを
観に行ったのですが・・・冒頭から思いっきり楽しんでいる
自分にびっくり(笑)
展開は、複雑にみえますが、お話は実に解りやすく
私のように出演者が大きな目当ての者には、
実に楽しめる作品でした♪
ハンス・ジマーの音楽、シリーズで一番、素敵でした。
満足〜 (cyaz)
2012-08-28 17:34:43
sakuraiさん、こんにちは^^

いやぁ〜この映画は良かったですね
もっとも3度観られたなら、隅々まで重箱つつかれたでしょうね(笑)?
しかもレビュー力入ってますしね
前作でヒース、今回はトム・ハーディと、
なかなか楽しめる敵役を創り出してくれて、
非常に満足のゆく作品でした
『プロメテウス』は酷評しましたが(笑)
>KONさま (sakurai)
2012-08-29 10:50:13
詰め込みすぎな感も無きにしも非ず・・でしたが、こんだけ詰め込んでも許せる立場になった!というのもあります。
役者にはまらせるってのもこの監督ならではですが、トムさんは、しばし立ち直れないのでは・・と心配してます。
かなりの肉体改造をしたみたいですね。
最後のやられ方はちょっとしょぼかったど。
まあ、ラストのぼやかし方は監督流なんで、好きに解釈したいと思います。
>ひらで〜さま (sakurai)
2012-08-29 10:56:48
お久しぶりです。
いいじゃないですか!古代の中国。
やっぱ中国は古代に限ります。

一回目はほとんど人間してなかった状態で見たんで、しっかと理解できなかったのですよ。
「ちゃんと見ないとだめだよお〜」といわれたみたい。
2回目は居住まい正して、ちゃんと見ました。
3回目は、あんまり暑くて避暑に。
で、特に感じたのが繰り返しの妙の音楽でした。
これって、音楽の要素が半端なく映画の価値を高めてるなあと感じました。そしてまた聞きたくなる。
「インセプション」の時も感じたのですが、音楽と映画の見事なマッチングは心地いいです。
前二作はそこが今一歩だったかな。
また出演者のはまり具合がよかったですねえ。
>cyazさま (sakurai)
2012-08-29 11:02:11
3回といっても、気入れて、ちゃんと臨んだのはそれほどじゃないですから、そうじて楽しみながら見てた!という口で。
この監督は役者の活かし方というか、はまりっぷりというか、ほんとにうまいですねえ。で役者のそれに応えてるし。
この夏は大作ぞろいで目移りしましたが、まあどれも結構いけたんじゃないでしょうか。
「プロメテウス」は評価が分かれそうですね。
こんにちは (はらやん)
2012-09-01 11:04:14
sakuraiさん、こんにちは!

悪というものはどうしても完全になくなるものではなくって。
だからといって諦めてしまうわけではなく、その悪と戦う者もまた現れる。
一人で戦うには悪の存在はあまりに大きく果てしない。
だからこそ戦うものも受け継がれていくわけですね。
ブルース・ウェインはその戦いに身を捧げましたが、彼の本当の人生を犠牲にしていました。
彼は役割を終え、自分の人生を生きる。
彼の役割を継ぐ者の到来を見て。
完結篇にふさわしい内容であったと思いました。
>はらやんさま (sakurai)
2012-09-06 08:37:40
善と悪との戦いっては、人間がこの世に存在した時から、延々と続いてきたもので、決してなくならないものなのでしょうね。
古代ペルシアのゾロアスター教なんてのを見ても、光と闇のせめぎ合い。
悪はなくならないけど、その悪に立ち向かうものもなくならない!と言うのが、人間のいいとこっすね。
バットマンは (オリーブリー)
2012-09-15 01:36:05
富はあるけど、特殊な能力があるわけではなく、、、名声なんて期待せず、自己犠牲ありな寡黙なヒーローなんですよね。
私は二回観ましたが、この完結、ひとつだけ残念な点をあげれば、そこまでして守りたいゴッサム市民の熱きものの描写が少しでも感じればなぁ〜と思いました。
銅像造られてもね、、、(苦笑)
>オリーブリーさま (sakurai)
2012-09-17 10:21:24
己の肉体だけで戦い抜く、その一番の根底にあるのは、「花神」のような気持ち。
ゴッサムの人たちは、その他もろもろのあたしたちの存在を代弁してるのでしょうか。
力もなく、覇気もなく、ことなかれ・・・。
おじゃまします。 (ピロEK)
2012-09-17 21:22:35
おじゃまします。

>最後のアトム的決着のつけ方に、やっぱ手塚は永遠だ!!

そういえばアトムのラストはこんな感じでしたね。
アトムは最後、ミサイルを抱いて太陽に向かっていくんでしたっけ?

で、この映画。
面白いんですがチョイ複雑。ジックリ観ればもっと面白く思えそうな気配の作品だったので、私の場合はBD(3部作)を買ってジックリ観てやろうと計画中です。映画館に頻繁に行けると良いのですが、なかなか時間が許してくれなくてですねぇ。

では、また来させていただきます。今後とも宜しくお願いいたします。
>ピロEKさま (sakurai)
2012-09-18 10:43:33
「アベンジャーズ」もそうなんですよね。
決着のつけ方は、どれも似たようなもん?と続けざまだったので、強く感じてしまいました。
その後がずいぶんと違うのも、カラーの違いだなあと。
やっぱ手塚っす。

前二作はあるので、・・・普通のDVDですが・・・・暗くてよく見えない!!!TVのせいです。
これはBDかなあ、やっぱ。
こんばんは! (ヒロ之)
2012-12-08 00:05:03
わたしも音楽が心に残りました。
ずんずんと響き渡る音楽がわたし的にも盛り上げとしての手助けになっていたように思います。
作品そのものもとても良かったです。
160分もありながら、全くダレませんでしたから、かなり集中して観ていたんでしょうねぇ。
>ヒロ之さま (sakurai)
2012-12-09 17:50:13
「インセプション」のときもそうでしたが、音楽に対する尋常じゃないこだわりを十二分に堪能出来ました。
3回目の鑑賞は、音楽聞きにいきましたもん。
やっぱ、監督の思い入れ、きっちりした脚本、完成された作品と言うのは、いくら長くても引きこむんですよね。
映画とはかくあるべき!みたいな。
こんにちは (maki)
2012-12-11 14:45:25
たしかに音楽がずんずんと肝に響いてきましたね
それも感動的で素晴らしく良かったです
ストーリーは一作目をかなり意識して作られていたようですが、やはりバットマンの帰結は「恐怖に向き合う」ということなのでしょうかね
ただ、上記コメントでもあるとおり、銅像なんかよりもゴッサム・シティの人々の「行動」で感謝の気持ちを表して欲しかったというところはあります
一作目でレイチェルが言っていた台詞でもありましたね
>makiさま (sakurai)
2012-12-14 22:02:44
くせになる音楽とでもいいましょうか、いつまでも、いくども聞きたくなる、麻薬のような音楽だと思います。
ゴッサム・シティの人たちの強い思いってのも必要だったかもしれませんが、それとは関係なく、孤高の存在となりつくしてる!とも感じます。
市民の方々が、どう思おうと、俺は行く!みたいな。

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