迷宮映画館

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愛と哀しみのボレロ

2008年04月22日 | あ行 外国映画
第二次世界大戦がはじまる前のヨーロッパの姿からはじまり、実在の人物をモデルに、家族のたどった道、歴史は繰り返されてしまう・・・というありふれたことなのだが、描かれているのは普遍でありながら、壮大だ。

以前見たのは99年で、前世紀になってしまったが、なぜかあの時、近くにものすごい落ち着かない、たぶんバレエをやっている親子がいて、うるさくってしようがなかった。注意をしたことまで覚えているのだが、映画に集中できなかった。今回は、絶対に余計なことを耳にも目にも入れずに見るぞ!との決意を抱いて鑑賞。素晴らしかったです。やはり傑作でした。

モデルになったのは、ドイツ代表・カラヤン、フランス代表・ピアフ、ソ連代表・ルドルフ-ヌレエフ、アメリカ代表、グレン・ミラーの4人。彼らの姿をそのまま表しているのではなく、彼らが世に生み出した芸術をもとに、たどった道の苦しさ、愛、悲しさ、家族、そして心から人の心を打つ芸術性の高さを見せる。

40年以上の長きを表わし、かつ4人のものすごい人生がそれに加わり、彼らの年代だけでなく、その子供の世代、孫の世代までもを映しだそうとというエネルギーが、この映画の根本であり、すべてだ。

3時間を越える長尺なのだが、内容が盛りだくさん過ぎて、ほとんど息つく暇を与えてくれない。これも見せよう、あれも見せねばということが、少々散漫なつくりになるのは、やむをえない。

今ではあまり考えられないような、同じ役者が、そのまま親子の役をしてしまうという、安直さもこれはこれで納得できてしまう。

アメリカの強さと明るさを象徴するようなジェームズ・カーンの陽気さが、この映画の中では異彩を放つのだが、一方で暗さと哀しさを湛えた、ユダヤ人夫妻の顛末がものすごく迫ってきた。以前は、物語の流れに何とかついていこうと、余裕なしで見たせいか、涙を流した覚えがないのだが、ユダヤ人の夫がなんとか赤ん坊だけは助けようと、そしてその後の母の生き方に、慟哭してしまった。

カラヤン風の指揮者のアメリカでのコンサートの迫力に圧倒。真の音楽とは何かということを見せ付けたような気がした。

そして圧巻のジョルジュ・ドンの『ボレロ』。これ見るために行ったようなものだったのだが、何度見ても素晴らしい。人間の可能性の極限を見せつけているようにも見える。あー、堪能しました。
ご馳走さま。

『愛と哀しみのボレロ』

監督 クロード・ルルーシュ
出演 ロベール・オッセン ジョルジュ・ドン ダニエル・オルブリフスキー ジェラルディン・チャップリン ファニー・アルダン ジェームズ・カーン


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
懐かし~! (あん)
2008-04-24 19:45:50
私の中では『ボレロ』といえば、ジョルジュ・ドンです!
この映画の冒頭から、彼の踊りを観て、背筋に電流が走りました。

あ、つい、興奮してしまいました。失礼しました...。
>あんさま (sakurai)
2008-04-25 22:30:27
もう~、ジョルジュ・ドンに尽きましたよ!!!
画面の中では、元気に生きて、踊ってましたよ。
あーー、勿体ないですよね。
まったく。
エイズでなくなるのも、逆にらしいかもしれませんが、やっぱ勿体ないです。
あのしなやかな踊り。。。ほんと堪能しました。

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