迷宮映画館

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ATOM

2009年11月06日 | あ行 外国映画
あたしの手塚の信奉ぶりは、何度も言ってきたので、もう語らないが、こういう映画が作られるたびに、どうしようか?悩んでしまう。

何も深いこと考えないで、気軽にみりゃいいのだが、性格上そうもいかない。よって、見ないことに決めていたのだが、件の根岸監督が「ATOMを見ましょう!」とおっしゃるではないか!!!これはやっぱ見ないと。

と、前置きがやたらぐだぐだと鑑賞。タイトルロールで、なんとあちらの声優陣の豪華なこと、豪華なこと。フレディ・ハイモア君に(まだ声変わりしてないのか!)、ニコラス・圭司、ドナルド・サザーランド、S・L・ジャクソン、ビル・ナイ、ネイサン・レインに、シャーリズ・セロン!!って一体??

絶対、こっちで聞きたいと思うくらいのキラ星の面々なのだが、そうもいかず、吹き替え版で。

ここは、セレブたちがごみだらけの地上から逃げ出した作った空中都市。人々のわずらわしいことは見なロボットにやらせて、人間たちは優雅に暮らす。壊れたロボットは、地上に捨てれば、きたないものは見えない。

そこで新開発のロボット、ピース・キーパーのお披露目がある。開発に携わったのは、Dr.テンマと、Dr.オチャノミズ。強力な後押しをしたのは、再選を狙うストーン大統領。

いよいよエネルギーをセットして、ロボットに命を吹き込もうとしたとき、テンマの一人息子、トビーが紛れ込んでいた。好奇心旺盛で、頭のとってもいいトビー。ただし、やることは、軽率すぎ・・・。どうしてもこのロボットが見たかった。そして、事故。

大事な一粒種をなくしてしまったテンマは、持てる技術をフルに活用して、息子そっくりのロボット作ってしまう。トビーの記憶を刷り込んだそのロボットは、人間の子供、そのものだった。

最初は可愛がるテンマだったが、徐々にやはりロボットであるということが、彼を苦しめる。エネルギー源を抜きとって、壊そうとするが、並はずれた力を持ったトビーロボットは、逃走。地上の世界に紛れ込む。

空中都市とは全く違う世界の地上だったが、そこで行われていたのは、ロボット同士の戦いの見せもの。ロボットをただの消耗品と思っているハムエッグのもとで、トビーはアトムと名前を変えて、戦わせられた。

そこにやってきたのが、アトムのエネルギー源を狙う支持率の落ちた大統領。アトムの持つのが正のエネルギーのブルー・コア。そして、その対をなしているのが負のエネルギー源のレッド・コア。

レッド・コアを注入されて、手のつけられないロボットに化してしまったピース・キーパーを倒すためには、アトムのブルー・コアをぶつけて、爆発させるしかない。そして、アトムは・・・。

ツウことで、意外によかった・・・・と言ったら怒られるか。ちゃんとアトムの精神を全編揺るがず描いていた。彼にあるのは、純真な心と、正義と、犠牲精神。ロボットに己を顧みる気持ちを・・・というのは変だが、彼の精神はトビーなのだから、人間のそれだ。

そして、彼は壮絶に散る。なにものにも代えがたい己の力を存分につかって世界を救う究極のサクリファイス!これがアトムの真骨頂だ。

手塚が描いたアトムは、躊躇することなく太陽に突っ込む。その選択が唯一無二の、正しい道だとは思わないが、それが手塚の世界だ。でも、それはハリウッドでは禁じ手で、受ける道ではない。

その辺は、うまいことオブラートに包んで、やわらかく仕上げてあったが、描かれた精神には、素直に合格点をあげたい。細かく言ってると、真面目にきりがないので、やめとくが、思ったほどの失望感ではなかったって、どんなほめ言葉なんだろうか。

ま、すべては最後の「ラララ♪科~学の子ぉ♪」で、よしとしましょう。


◎◎◎○

「ATOM」

監督 デビッド・バワーズ


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ちゃんと (KLY)
2009-11-07 22:23:45
心優しい科学の子でした。
私も結構気に入っています。仰るとおり、アメ
リカンテイストにせざるを得ない部分もありましたけど、それはまあ仕方のないところ。
ハリウッドを意識しまくっていたという手塚先
生がこの映画を観たらどう思われるのかなぁな
んて考えてしまいました。フルCGのアトムが
見られる時代になったんだなーなんて何となく
感慨深かったりします。
こんばんは♪ (SOAR)
2009-11-08 18:02:13
手塚作品は「BJ」についてはオタク度が高い私ですが(笑)、アトムは原作コミックも3回のアニメ化もきちんと通して鑑賞したことがなく正直断片的な知識しかありません。
それでもアトムの世界観や彼の強い自己犠牲本能など、作品が持つ精神的な本質をかなり的確に押さえていたように思いました。

あちらでは「アストロ」ですが、吹替えはもちろん字幕も「アトム」だったそうでホッとしました~。
>KLYさま (sakurai)
2009-11-09 08:50:35
こういったCG作るのは、やっぱんまいなあ~と思いながら見てました。
「ホッタラケ・・」見たときに、どうにも違和感を感じたのですが、思いっきりデフォルメした方が、目に慣れるなあと。
なにはともあれ、見てよかったです。
ほっとしたと同時に、日本では逆に作れないかもと思ったのも事実です。
>SOARさま (sakurai)
2009-11-09 11:01:36
手塚漫画で育った自分としては、見ないほうが精神衛生上いいだろうなあ、と思っていたのですが、見ちゃいまして・・。
どんなんかなあ?と危惧してましたが、素直によかったです。
テーマソングにぐぐっと来ました。
変にいじらず、正道で作ったのがよかったですね。

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