筑紫漢方つれづれ日記

福岡県の中西部 筑紫野市と小郡市の境にある漢方薬と自然派化粧品の専門店 漢方四季彩堂のブログです。

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父の認知症 その10

2013年04月15日 | 認知症
連載を始めて前回から随分月日が経ってしまいましたね。
すみません。

前回はスイカの味を覚えていたところまで書きました。

点滴や酸素マスクが必要なくなった父は
入院する前、自宅でしていた生活とほぼ変わらないほどまでに回復してきたので
老人保健施設への入所申し込みを済ませ、待機している状態でした。

よく食べ、よく喋り、入れ歯を装着していなくても言葉がはっきりしていて
以前のような聴き取れないもどかしさは全く感じません。

飲み込みや痰を出すのもスムーズにできるようになってきました。
「父さん、最近、痰の吸引してもらってる?」と私が聞くと
「いいや、してもらってない。ちょっと前までは
自ら進んでとってもらったこともあるけどね。
しかしあれは苦しいよ~」。
眉にしわを寄せて言う父をみて、私は思わず吹き出しそうになりました。

少し前のことをきちんと覚えていたからです。
記憶が確かになってきたと実感しました。

ある日、父の出身大学(旧獣医専門学校)から同窓会の案内状がきました。
当然出席できるはずもなく、返信ハガキの欠席に○をつけましたが
「○○期卒業」と記入する欄は、父の卒業期が分からないので空白のまま。

母は
「父さんの卒業証書を出してみたけど、何期卒業か書いてないのよ。」と困り顔。
とりあえずその卒業証書の通りに「昭和十一年三月卒業」と記入して
「試しに父さんに訊いてみよう。」ということになりました。

病院に行き
「父さん、獣医学校の同窓会の案内状がきたんだけど、父さん 何期卒業?」と訊くと
「何期かねぇ…」。
分からないようなので「じゃ、何年卒業?」と訊くと
「昭和十一年三月」と即座に答えが返ってきたのには
母も私も驚きました。

おそらく父の学生時代には「○期」という言い方はなく
後年になってとり入れられたのでしょう。

この私たちのやりとりを近くで聞いていた若い看護師さんから
「あっ、いつかお聞きしようと思ってました。
若いころ、何のお仕事されてたんですか?」と尋ねられました。
「獣医です。」と答えると、「本当だったんだ!」と言うのです。

その看護師さんの話では、父に若いころの職業をたずねると
父はいきなり「ワンワン」とか「ニャー」とか言ったらしく
彼女は父の頭が完全に狂ったと思ったのだそうです。

続けて父は自分が若いころ、東京で獣医学校に行き
資格を取った話をしたらしいのですが
「失礼ですが」と前置きしたうえで、
何しろボケた老人の話なので半信半疑だったとのこと。
「謎が解けました。」と笑って話してくれました。

そしてその看護師さんが夜勤の時
夜眠らない父を車いすに乗せて話をするうち
いつしか人生相談のような内容に及ぶことがあると、
父が真剣に聴いて「それは簡単に結論を出しちゃいけないよ。」
などと諭すのだそうです。


そんな日々が続くある日、私が会いに行くと
「おお、裕子が来た。こりゃ嬉しいね~。」と手を叩いて喜んでくれ
それを見た母も「あら、分かるようになったわ!」と喜びました。

私の着ているポロシャツを見て
「今日はピンクを着ちょる。今のうちに着ちょかんとすぐ着られんごとなる。」と
私の年齢を分かっているのか…そんなことを言いました。

母に向かっても「君はもう少し明るい色の洋服を着なさい」。
その二日後に行ったときには母の洋服をみて
「今日は明るい色のを着ちょる。」と満足そうでした。

これも、前回のスイカの味の区別ができたのと同じく
一昨日のことを覚えていたからこそ比較ができたわけです。

これらのことを含め、三か月前には、目の前にいる人が
男性なのか女性なのかの判別すらできなかった父が
母と私のみならず、この心優しい看護師さんをはじめ
関わってくださる看護師さんたち一人一人の特徴を
正確に捉えていたことも、少なからず驚きでした。

つづく
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春の野草たち

2013年04月12日 | 野草
今日は太極拳の練習日でした。
今月末に昇級審査を受ける予定なので
いつにも増して真剣に練習をしましたが、すでに緊張しています。

昨春も審査を受けたのですが、あまりに緊張していたためか
審査の直前、鼻血が出始めて、急きょティッシュペーパーを鼻に詰めて演武しました(苦笑)

おかげで、鼻血ブーの人として覚えられたかもしれません。
今年の審査会でも両方の穴から鼻血ブワーになったらどうしよう…なんて冗談と本音が半々。

練習仲間の一人から、見かけによらないねと言われましたが
実はわたくしノミより心臓が小さいんです(本当に)。

さて、練習が終わってあちこち用事で移動する途中
目についた愛すべき野草たちをいくつかご紹介します。

少し前にヒメオドリコソウをアップしていましたので
今日はオドリコソウを。

ちょうどシャッターを切ったときに風が吹いてブレブレ。

アップはこんな感じです。

結核による咳血、生理不順、打撲傷などに花または全草を使うのだそうです。


カキドオシもだいぶ茎が伸びて淡い紫色の花をたくさんつけていました。



濃い紫色の花を咲かせるキランソウは別名「地獄の釜の蓋」。
地獄に蓋をして病人を死の淵から甦らせるほどの効き目があるから
この名がついたとかいう説がありますが、定かではありません。

実物はもっと深い色なのですが、
悲しいかな私のデジカメではこれが精一杯です。

「筋骨草(キンコツソウ)」とか、地方によってはイシャダオシとか呼ばれます。
咳止め、痰切り、解熱、健胃、下痢止め、虫さされ、排膿などに用いられます。

移植を嫌うらしく、庭に植えようと根こそぎ採ってきても根づきにくいのだそうです。
やっぱり、そっと野において愛でるほうがよさそうです。
ただ、キランソウに限らず昨年まで生えていた場所に行ってみると
そこはすっかり開発され、跡形もないということがよくあります。

悲しいことです。

カラスノエンドウは今の時季どこでも見られますね。

マメ科の植物は根に根粒菌を寄生させ、炭水化物やビタミンなどを与える代わりに
根粒菌が集めた窒素からつくるアンモニアをもらって栄養源にするのだとか。
昔よく見られたレンゲ畑は天然の窒素肥料になったというわけですね。

キヌサヤを小さくしたような若いマメはサヤごと炒め物などで食べられます。
熟して黒くなったマメは膵炎によいと民間療法の本で読んだことがあります。


最後はおなじみタンポポです。

昭和タンポポ戦争なんて呼ばれた高度経済成長期。
私の子ども時代は日本在来種だったものが
今はほとんど外来種のセイヨウタンポポにとって代わられているようです。

総苞片が反り返っている、春以外の季節にも花が咲いているならば
それはセイヨウタンポポです。
薬草として用いるのはどちらでも構いません。

生薬名は蒲公英(ホコウエイ)。
各種の炎症を鎮める働きがとても強く
中国では清熱解毒の伝統的生薬と位置付けています。

タンポポはどの部分をとっても食べられます。
若い葉はサラダや天ぷらに、花もサラダや茹でておひたしや汁の具に
根は炒ってコーヒーの代用にするのはよく知られていますね。

もう野草でお腹いっぱい、という声が聞こえてきそうなので
今日はこれでおしまい。
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ハンバーグの思い出

2013年04月11日 | 日記
突然ですが一昨日は私の誕生日でした。
確か、大川橋蔵も同じ日…って古すぎ(冷汗)

いつもなら満開の桜のもとでの入学式となったのでしょうが
今年はすっかり葉桜になってしまいましたね。

学生時代、私の誕生日は決まって模擬テストか体力測定でした。

この歳になると「おめでとう」といわれると何だか気恥ずかしい気分です。

この日、二児の母となった次女が
孫の手に私への花束を持たせてやってきました。


そして娘の手作りハンバーグ


もう20年ほど前、次女がまだ中学生のころのこと。
娘の将来を案じ、親亡きあとも自立して生きていけるようにするための方策を
あれこれ考えた末、まず料理を教えようと考え
日曜日の夕食を一緒に作ることを始めました。

ちらし寿司、ぎょうざ、天ぷら、ハンバーグ…etc.
毎回娘が食べたいというものを作ることを心がけて。
魚をさばかせたこともあります。

ある日「今日は私がハンバーグを作るから。」と娘が電話をしてきました。
へーっ!ちゃんと作れるのかしら…と思いながら帰宅すると
予想に反し、大皿にハンバーグが山のように盛られていてビックリ。

「早く食べて、食べて」。
急かされて食卓につきながら私は
(まあ、ちゃんとかっちりした形にでき上がってるわ)と感心したものです。
でも、ひと口食べてみて「うん?お肉の味がしないなぁ」と思いましたが
娘が「おいしい?ね、おいしい??」と何度も聞くので
娘を落胆させてはいけないと、「おいしいよ。よく形になったね」と答えました。

ちょうどそこへ長女が部屋から出てきて台所に行き
「ねえ、ここにあった食パン知らない?」。

次女の顔色がさっと変わりました。

4,5枚残っていたはずの食パンを
全部ハンバーグに使ってしまっていたのです!
どうりでお肉の味がしないはず。

私は思わず笑い転げました。
「ハンバーグじゃなくてパンバーグ作ったんだね」。

遠い昔の懐かしい思い出。

夜、帰宅して娘の手作りハンバーグをひと口食べると
胸が熱くなりました。
20年前に思いを馳せながらひと口、またひと口…。
最後のひと口を食べたとき……涙がこぼれました。
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春の喜びⅡ

2013年04月05日 | 野草
前回の宿題 ヒメオドリコソウは生薬辞典に載っていませんでした。
ヒメオドリコソウより背丈があり、花のつき方が豪華な感じのする
オドリコソウの方が載っていました。
オドリコソウもそろそろ花が咲く時期だと思います。
過去に撮影した画像があるのですが、今年撮る機会があったら
いつかアップします。

結核による咳や喀血、打撲や捻挫の治療に用いると記されていました。
やっぱり清熱作用と考えていいでしょう。

同じシソ科のカキドオシも、蔓はまだ短いものの咲き始めていました。
ぱっと見、トキワハゼやムラサキサギゴケと間違えそうです。
シソ科の植物は、ふつう茎が四角形なので見分けるポイントですね。

垣根の向こうまで伸びて繁茂するというところから「垣通し」の名があるのでしょう。
漢名では連銭草(レンセンソウ)・金銭草(キンセンソウ)などと呼びます。
葉のつき方が銭を連ねたように見えるということのようです。
利尿の働きはよく知られていますね。
子供の癇をとるので癇取草(カントリソウ)とも呼ばれます。

ムラサキケマンもあちこちで見られるようになりました。

半日陰の場所によく生えています。
花の咲いている様子が仏殿に飾る華鬘の模様に似ているところからついた名前です。
ケシ科の有毒植物ですが、同じ仲間のヤマエンゴサクは
延胡索(エンゴサク)という生薬で、痛み止めとして胃薬に配合されていますよ。

薬草講座で受講者に見て貰ったムラサキケマンの花を店に飾っていたら
いつの間にか種子ができていて、床にいくつも落ちていました。
花が咲き終わると小さな豆のサヤのような果実がつきます。
熟すと、少しの刺激でサヤがぱっと二つにめくれあがり
その勢いでより遠くまで種子を飛ばします。

その真っ黒でつやつやした種を顕微鏡で見てみると
端っこに白いひものようなものがくっついています。
多分この部分が種枕(しゅちん)というもので、アリが好む物質でしょう。
アリに遠くまで運ばせて繁殖域を広げる作戦は
他にもいろんな植物がとっています。

なかなかしたたかですね。

少し離れた所にクサイチゴの花が咲いているのが見えました。

うわー!楽しみー!早く赤く熟れた実が食べたいな。

てなわけで、やっぱり花よりだんご。
最後はセリとツクシの炒め物。

今回はだし醤油をからめておいしく頂きました。

先日、セリと間違えてドクゼリを食べて中毒したというニュースを見ました。
毎年のようにこういった中毒事故が起こります。
セリの香りと根の形を覚えておけば未然に防げるでしょう。
根が竹のフシみたいだったら、それは、ドクゼリですよ。
ご用心を。
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春の喜び

2013年04月05日 | 野草
一か月ぶりの更新です。
前回は3月3日、ひな祭りの日でした。

しばらくの間、四季彩便り春の号の作成に没頭していました。

今号はドライシンドロームや新型ウイルス感染症といった
最新の情報について分かりやすく解説しています。
できたてホヤホヤ、店頭で配布していますよ。

今年は桜の開花が例年より早かったですね。
個人的に毎年チェックしているコブシの開花も早かった感じです。


白い花が清楚な印象で、好きな花のひとつです。
画像の花は、ほんのりピンクがかっていて
恥じらう少女のような雰囲気を感じます。
去年の同時期に撮った画像を見てみると
ようやく開花し始めたところで、まだ蕾ばかりでしたから
やっぱり今年はずいぶん早いようですね。

この写真を撮ってから10日ほど経っているので
今では柔らかな若葉が出始めています。
コブシは開花前の蕾を生薬で辛夷(シンイ)といい
鼻づまりの改善に利用します。

乾燥させた蕾をすりつぶすと、とてもさわやかな香りが鼻を通り抜けます。
毎月行っている薬草講座でも、受講者の皆さんに
香りを体感していただきました。

辛夷は正確にはモクレンの蕾を指すのですが
江戸時代の本草学者 貝原益軒は
中国原産であるモクレンが当時の日本にはなかったため
同属のコブシを辛夷にあてたのだとか。

現在日本国内で生産される漢方薬では
辛夷としてコブシのほか、よく似たタムシバも使われることもあるようですが
やはり薬効はモクレンに軍配があがると思います。

菜の花も今が盛り。

昔は春といえば菜種油を採るための菜の花畑が一面に広がり
そばを歩くだけで菜の花の香りが鼻をついたものです。
今は菜の花畑もれんげ畑もほとんど見られなくなりましたね。

近くのお気に入りの草むらを訪ねてみると
ヒメオドリコソウに出会いました。

オドリコソウより全体的に小さく地味な印象です。
えーっと薬効は…清熱解毒だったかな…?
宿題ということにしておいてください。

ツクシの親ってわけじゃありませんが、栄養葉がスギナです。

スギナの歴史は古く、石炭紀にまで遡ります。
太古の昔には今のような華奢な姿ではなく
高さ30mほどの大木だったそうです。
それが3億年もの時を越えて石炭に姿を変え
現代に生きる私たちにエネルギー資源を供給してくれているというわけです。

生薬名は問荊(モンケイ)。利尿作用があります。

続きは次回に。
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