Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

『くじらと見た夢』今月、 名古屋・伊丹・岡山公演。

2017-12-02 | Weblog
『くじらと見た夢』は今月、 名古屋・伊丹・岡山公演をいたします。

燐光群の創立35周年記念公演の第一弾として、11月、東京で幕をあけました。

名古屋・伊丹・岡山の皆様、ぜひご来場くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。


ふたつの海。
クジラのいる海、いない海。
でも忘れちゃいけない。
海はひとつ。
必ずどこかで繋がってる。

燐光群創立35周年記念公演 VOL.1
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燐光群『くじらと見た夢』
作・演出○坂手洋二
http://rinkogun.com/
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国際的な捕鯨問題と日本社会の現状をリアルに描く、鯨捕りに携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語。

佐々木梅治 Benjamin Beardsley 円城寺あや 南谷朝子
中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋
杉山英之 東谷英人 武山尚史 山村秀勝 樋尾麻衣子
宗像祥子 田中結佳 秋定史枝 橘麦 中瀬良衣

【名古屋公演】
12月12日(火)19:00
12月13日(水)19:00
愛知県芸術劇場小ホール
名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター地下1階
地下鉄東山線または名城線「栄」駅下車、徒歩3分
名鉄瀬戸線「栄町」駅下車、徒歩2分
※いずれもオアシス21から地下連絡通路または2F連絡橋経由

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Nagoya.html

【伊丹公演】
12月15日(金)19:00
12月16日(土)14:00/19:00
12月17日(日)14:00
AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
伊丹市伊丹2-4-1
JR伊丹駅西へ徒歩1分
阪急伊丹駅東へ徒歩約10分

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Itami.html

全席指定 一般前売料金3500円
大学・専門学校生/U-25(25歳以下) ¥2,500 高校生以下 ¥1,500
もございます。※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

【岡山公演】
12月19日(火)19:00
岡山市立市民文化ホール
岡山市中区小橋町1-1-30
路面東山行「小橋」下車徒歩1分

全席自由席 18:00より整理券を発行します。
客席開場前にロビーで整理券の番号順にお並び頂き、18:30よりその順にご入場頂きます。

一般前売 2,700円  当日3,000円 
大学生以下 1,500円  ※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Okayama.html


写真は、佐々木梅治、橘麦、大西孝洋。
のどかなシーンもあるのだ。

撮影・姫田蘭

……………………………………


新作『くじらと見た夢』、パンフレットに掲載したご挨拶文です。

沖縄でのイルカ(ヒートゥー、ピトゥ)漁は、伝統的なものとして知られているが、戦後の一時期、名護西岸で本格的な捕鯨をしていたことを、最近になって本格的に調べた。十五年近くにわたって、年間数十頭のザトウクジラを捕っていたのだ。昭和二十六年、「戦後初めての捕鯨」と思しき漁にも参加した、八三歳で現役を誇るイルカ撃ち漁師の一家にも、詳しく話を聞いた。

名護東岸、島の反対側に位置する海では、米軍基地キャンプ・シュワブに、普天間基地代替施設としての空港建設が強行されようとしている。この劇の上演が始まる週、大浦湾を埋め立てる石材の、海上輸送による大量投入が始まった。

イルカ漁の豊かな歴史を抱く平和な名護漁港と、米軍基地に占拠された辺野古。同じ名護市なのに、海の風景は、西岸と東岸で、まったく違うのだ。

昨冬、かつて『くじらの墓標』を書くため訪れた捕鯨村・鮎川を、震災後には初めて、再訪した。津波の猛威を受けた町並みはすっかりなくなってしまったが、捕鯨は変わらず続けられていた。

『南洋くじら部隊』の舞台、レンバダ島の捕鯨村ラマレラを、久しぶりに訪れた。電気も電話も貨幣経済もなかった暮らしは近代化の洗礼を浴び、変わってしまった。それでも漁師たちはクジラを捕り続けている。

そして、映画『ザ・コーブ』等によってイルカ漁が国際的な非難を浴びた和歌山・太地に、初めて行った。捕鯨反対運動は沈静化していたが、それとは無関係に、人々は未来を見つめていた。午後から夕方にかけて漁協の退職者たちが集う溜まり場で、九〇歳の元クジラ捕りに話を聞いた。かくしゃくとして、見たところ七十過ぎにしか見えない元気な人で、全世界を股にかけた捕鯨最盛期の話は、圧巻だった。

名護の八三歳、太地の九〇歳との出会いは、収穫だった。

まだだ。
まだ間に合う。
戦争・戦後の時代と、今を生きる人たちを繋ぐ、海の物語を描くことができる。そう思った。捕鯨に携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語が、くっきりと浮上してきた。

これほどさまざまな場所を取材し、あらゆる人々に会ったことはない。四半世紀のあいだ抱えてきた「クジラ」というテーマと、逃れようもなく関わってきた沖縄のことが、このように出会う、宿命。

おそらく今までで一番多く溢れる情報を相手に、井上ひさしさんがよく言っておられた「小説はどんなに長く書いても許されるが、戯曲はどうしても二時間半に収めなければならない」という困難が、立ち塞がった。

しんどい作業に共に立ち向かう仲間たちに、支えられた。そのありがたさ、豊かさに、これほど感謝し、教わった現場も、ない。

クジラを捕ることと演劇を作るという営為は、やはりどこか似ている。

(『くじらと見た夢』当日パンフレットより)

(クジラの写真は、小島曠太郎氏による。今年、インドネシアのラマレラにて。)

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