BROOCH ブローチ

   ちいさな ことばを  そっと  むねに かざる

宝石のような時間 物語で

2012-05-20 | Education

文学作品以外で、小学校高学年の子どもたちが知的好奇心を駆り立てられる読み物を探してみると、なかなかないものです。理科や社会の学習にリンクした本を探してみると、図や絵が中心の解説書か、専門家の言葉が子どもたちにはなかなか届かない読み物になっていることが多く、図書室でもあまり借りられていないようです。そこで目を付けたのが「小学生新聞」です。

小学生新聞を使って、「情報を読む」ことのおもしろさを伝えられないかと思って、あれこれ試行錯誤をしています。そんな時、この記事に出逢いました。

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数多くのノンフィクション作品で知られる作家・沢木耕太郎さんが『月の少年』という初めての子ども向けの文学作品を書きました。水の事故で両親を失った少年と、不思議な男の子が出会う者がtりは、東日本大震災を思い起こさせ、生きるとはどういうことかを考えさせられる内容です。

 

もう二十年以上も昔、三歳か四歳だった娘に毎晩お話を作って聞かせていた時期がありました。それはぼくの人生の中で甘やかな時間、宝石のように大事な時間でした。それから長い時間が経ち、もう一度小さな子どもたちに物語を差し出してみたい、と思うようになって、この物語が生まれたのかもしれません。

冬馬にとって月の少年は自分の分身のようです。冬馬は月の少年と出会って行動を共にしますが、でもあるときから別れて、元の世界にもどります。(月の少年が向かった)月の世界は、あきらかに死の世界としてえがかれています。冬馬と少年は二つの世界に分かれていきますが、人はどちらに進むか、ある意味で偶然の部分があります。「もしかしてあの時ああなっていたら、自分はここにいなかったかもしれない」と思ったことはありませんか?人間はいつも、別の世界に行ってしまったかもしれない自分自身と別れて、その残りの自分が今ここにいる、という感じがぼくはするのです。

(朝日小学生新聞 2012/05/13)

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子どもたちとの学びの材料として読んでいた小学生新聞から、素敵なメッセージをもらって、私自身がうれしくて、さっそくこの本を手にしました。

『月の少年』 沢木耕太郎:作 淺野隆広:絵 (講談社)

月はまんまるの満月

明日は金環日食です。

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地球のかたちを哲学する

2012-05-13 | Education

『地球のかたちを哲学する』文・絵:ギヨーム・デュプラ  訳:博多かおる (西村書店)

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人類が突然「地球はまるい」、と考えだしたわけではないとしたら、「まるい」と考える前、人びとはこの地球をどんなかたちだと思っていたのでしょう?

「お皿のようにたいらだ」

「箱の底にあって四角形だ」

「梨のようなかたちだろう」

「大きな水牛の角の上にあぶなっかしく乗っているんだ」

はたまた

「中がからっぽだ」

などなど、いろいろな考えがあったようです。

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しかけ絵本になっていて、おとなもわくわくして、ページをめくりたくなります。どれも、様々な時代の、いろいろな国の人たちが、その土地の気候や景色や、動物や植物の様子からイメージされたものだと考えると、確かにそう思えてくるから不思議です。

それぞれの地球のかたちから、物語が生まれてきそうです。

ファンタジーの創作のてがかりとしても、使えるかもしれません。

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パステルアート

2012-05-04 | Education

毎年恒例、5月の連休は上野の森親子フェスタにでかけてきました。

雨が降ったりやんだりの中でしたが、ブックフェスティバルも開かれていて、たくさんの本が広場いっぱいに並んでいました。

 

そこでお会いすることができた友人のつぼみさんと、楽しい時間を過ごしました。そこで、このところつぼみさんが楽しんでいらっしゃるパステルアートを体験させていただくことができました。小さな画用紙にパステルを粉にして落として、それを静かに指でなぞっていくのです。濃さも形も、色の混ぜ具合も自由で、指で直接描く心地よさは、身体とつながっている感じ。喫茶店のテーブルで、急にそんなことをはじめているのに、なにもとがめず見守ってくれたお店の方に感謝しつつ、ミニレッスンを受けて描いたのがハートです。外はあいにくの雨でしたが、私のそのときの気持ちは、淡い青い空に向かって、上を向いてとんでいこうとする、そんなイメージでした。描きながら、自分の今の思いを確認していくような時間が、とても豊かでした。

そして、つぼみさんのいくつかの作品の中から、3枚のパステルアートをプレゼントしていただきました。

これは、私がリクエストしたテーマ、「創生」。

新しく生み出すことには、痛みを伴うものであるが、傷は必ず癒やされていくという意味をこめてつくってくださいました。3つのパターンを描いてくださって、そのどれも素敵だったのですが、この作品が一番、天と地とが一体化していてあたたかみを感じていただきました。

夜の町です。あたたかいあかりのともる窓、そして誰にとってもわがやのあかりだけは特別な明るさに見えるのではないでしょうか。

これはレモンのさわやかなイメージが広がります。つながりあうような、けれどもそれぞれが別の個性を出し合うような、重なり合うような香りや音を感じました。

パステルアートに癒やされた一日でした。

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自由にうたうように

2012-04-30 | Education

陶芸家である友人作の花びんと湯飲みです。

銀座の大きな百貨店で開かれていた陶芸展に出品されていました。自由で、うたうように、おどるように描かれた線が、魅力的。私のイメージは、ラフマニノフの交響曲第2番第3楽章です。このところ、ジョージアの缶コーヒーのBGMに使われている曲です。

学年はじめの4月は毎年走るように過ぎていきます。やっとゴールデンウィークになって、この1ヶ月を振り返り、これからのことをのんびりと考える時間が持てました。庭の花の手入れをして部屋に生け、好きな音楽を聴き、好きな陶器でお茶を飲んで、好きな本を読む。こういうゆったりとした時間を、きちんともてると、いろんなアイディアがわいてきます。

と、現実逃避した2日間を過ごしてしまったのですが、これから、3月末締め切りだった原稿2本、がんばります!

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respect

2012-04-15 | Education

平成24年度が始まりました。今年は5年生の担任です。

始業式が終わって、はじめの時間は学年集会を開いて、担任の思いを語りました。私は、「しあわせのバケツ」を大きな画面にうつして読み聞かせをしました。そして「ことば」を大切にしたいという思いを伝えました。

もう一人の先生は、サッカーが大好きな方で、Jリーグの「リスペクトプロジェクト」について話しました。

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大切に思うこと RESPECT PROJECT

リスペクト

「大切に思うこと」

リスペクト 大好きなサッカーを毎日楽しむために大切なもの

チームの仲間たち。ひまさえあれば、一緒にボールをける。大切な仲間。

僕のお気に入りのボール。誕生日に買ってもらったシューズ。しっかりと手入れをする。

荷物は自分で準備する。自分が楽しむためのものだから。

今日は学校の当番があったから、練習は遅れて参加。学校の当番だって、大切な役目。

いつも練習で使う学校の校庭。忘れ物はしない。ゴミも残さない。大切な場所。

チームの荷物、必要な荷物、みんなで運ぶ、救急箱が私の当番。

レフェリーがいないと、ちゃんと試合ができない。大切な人。

ルールは全部覚えた。サッカーのルールは難しくない。ルールがあるからごちゃごちゃにならずに試合ができる。大切なもの。

見下さない、おそれない、同じ立場で今ここに並ぶ相手。

サッカーには敵はいない。対戦相手は敵じゃない。自分たちの力をためし、サッカーを楽しむための大切な仲間。

試合のはじめに相手の目を見てしっかりと握手する。リスペクトの証として。

「おこられるからやらない」よりも「いいことだからやる」のほうが、私はいいと思う。グリーンカード。

大会がちゃんとできるようにお世話をしてくれる人たち どうもありがとう。

洗濯や送り迎えをしてくれるお父さん、お母さん、応援してくれるみんな。僕の大切な家族。

子どもたちの成長を大切に思う。どんどん大人になっていく君たちにいつも驚かされる。トレーニングや試合を積み重ねて、大きく育ってほしい。大人になった君たちのプレーが楽しみだ。

子どもたちに会う前には、いつも自分を振り返る。子どもたちは大切な相手、ちゃんとしていないとはずかしい。スマイルOK。

もっといいコーチになりたいから、勉強する。サッカーは難しいからおもしろい。コーチは難しい。でも大きな喜びを感じることができる。どんどん進歩するサッカーと子どもたちに追いついていけるように、勉強する。

子どもたちもひとりひとりりっぱな選手、しっかり目を見て握手する。いいゲームをしようね。

ファウルがあった、でもチャンス。転ばずにたくましくプレーを続ける。子どもたちのがんばる気持ちを大切にする。

やっていて気持ちのいいゲームは、見ていて気持ちのいいゲーム。

スピーディーで、フェアで、タフにプレーしよう。常に全力でゴールをめざす。勝利をめざす。それがサッカーという僕が大好きなゲームに対するリスペクト。

コーチはコーチに任せる。レフェリーはレフェリーに任せる。プレーは子どもたちにに任せる。私たちは応援し、見守る。

みんなのいいプレーに拍手。相手チームだって、同じ。

がんばれ!君たちの精一杯の力を引き出すように、応援する。私たちがついているから安心して。

大切なものに囲まれて、大好きなサッカーを楽しむことができる。「大切に思う気持ち」もサッカーから僕がもらった。大切な宝物。

リスペクト

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サッカーだけでなく、すべてにつながるrespect、そしてグリーンカード。すてきな1年になりそうです。

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明日へ生きてゆく夢

2012-04-02 | Education

旅の詩人の須永博士さんの講演会を聴きました。2年ぶりです。力強いことばは、心にしみわたって、思わず涙がこぼれました。

いのちについて、まっすぐな願いについて、最後まで挑戦する自分に向き合う強さについて、そして、あたりまえにみえるまわりへの感謝について・・・・

会が終わってから、なんと須永さんが私に、即興で詩を書いてくださったのです。マジックペンを握り、パネルに向かって、ぐいぐいと、一心に、言葉が紡がれていきます。ことばが文字になってあらわれて、一つの作品になって、そして最後に私の名前を書き添えてくださいました。

感激!!!

 

平成24年度、すてきなプレゼントを心に、スタートします。

 

須永さんからいただいたことば

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「カーネーション」の終わり

2012-03-31 | Education

今日は平成23年度の終わりの日です。

今日を区切りに退職なさる方々、異動なさるみなさんとのほんとうのお別れの日です。

「カーネーション」NHKの朝のテレビ小説が終わりました。最後は主人公が残された家族におくる言葉か語られます。いろんなことで頼りにしていた人、心のよりどころにしていた人、ここにいるのが当たり前だとうたがわないできてしまった人からの、あたたかいメッセージのように思いました。

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泣かんでええ。泣くほどのこととちゃう。

うちはおる。

あんたらのそば、

空、

商店街、

心斎橋、

緑、

光、

水の上、

ほんで、ちょっと退屈したらまた、

なんぞおもろいもんを探しに行く。

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研究は楽しい

2012-03-28 | Education

「趣味は研究です。」というと、ちょっと驚かれます。

確かに、正しい反応です。私もそう言われたら、「どうして?」「いつから?」「何について?」なんて矢継ぎ早にきいてしまいそうです。ですから、ふだんは、「趣味は?」と問われたときは「読書」とか、「散歩」とか、「寝ること」とか、「おいしいお酒を見つけて飲むこと」とか、そのときどきのほかの趣味を言うようにしています。

気がつくと、なにか目の前にあることの意味や、そのおおもとにあるものについてずっと考えてしまう、というのは趣味と言うよりくせのようなものなのかもしれません。それは、子どもとの毎日の学びについてであったり、いろんな研究会で出会う人たちにとっての学びについてであったりすることが多いです。そうして気になるあれやこれやを研究の言葉にすることができると、ぱあっと目の前が開けてくるような気持ちになります。ああ、そうだったのかと。

というわけで、このところ自分のずっと気になっていることを研究の言葉にすることに時間を使っています。悩んで苦しんで、でもそのあとにはすっきりするような「ああ、そうだったのだ」と、ぱあっと世界が広がるような気持ちが待っていると信じて。。。。。

今取り組んでいるのは、このところ一緒に研究していた若い先生たちが研究授業をしてどのような学びがあったのかということです。先日その若い先生にこの分析を見ていただいて感想をうかがうことができました。そしたら、とっても喜んでくださって、ご自身の体験の意味を客観的に見ることができたと語ってくださいました。ああ、よかったなー。研究するって、誰かを勇気づけたり、一歩前へと進む力になったりするものなのだなあと、思いました。

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おわりはじまり

2012-03-26 | Education

春休みになりました。かわいい3年生の子どもたちともお別れです。

最後の国語の授業には、集めておいた今までの国語のノートを配りました。1ページ目は「3年生になって」という題で書いた始業式の日の作文です。次のページは自分の宝物のスピーチの学習の計画、「消しゴムころりん」「わすれられないおくりもの」と続きます。どの物語の学習も、初めに書いた感想を一覧にしたものが貼ってあります。初めて学習したときから、どんどん内容も分量も増えていく様子がよく分かります。「ファンタジーを書こう」のページは、読んでくれた友達の花丸がいっぱいです。ノートにはインデックスが貼ってあって、そのノートにはどの学習までが記録されているかが一目で分かります。そして、最後に教科書にある「これまで、これから」に学習の振り返りと、これからの思いを書きました。3年生はオワリ、でもそれは4年生のハジマリ。

かりゆし58の「オワリはじまり」という曲の歌詞にこんな言葉があります。

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夕飯時  町  人いきれ  「ただいま」と「おかえり」の色

せわしない  木漏れ日  花びら  「おはよう」と「さよなら」の音

ありふれた日々が 君や僕の胸に積もって光る

 

今  動き始めたものや  もう二度と  動かないもの

今  灯り出した光や  静かに  消えていく光

この夜の向こうで  新しい朝が  世界に降り始めている

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平成23年度が終わりました。でもすぐそばにくっついている明日の新しい朝が、世界に降り始めています。

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論理的思考を鍛える国語科授業方略

2012-03-13 | Education

恩師である井上尚美先生編集の本です。

『論理的思考を鍛える国語科授業方略 ―小学校編―』井上尚美・大内善一・中村敦雄・山室和也 編集 (渓水社)

なんと井上先生からお送りいただいて、緊張して本を手に取りました。添えられた手紙に、

「先日、○○学会でのご発言、とてもよかったです。」

とありました。恩師からのあたたかい言葉は、心にしみわたりました。いくつになっても、先生からほめていただくことのなんとうれしくはずかしく、そして勇気づけられることか。子どもたちがほめてもらって満面の笑みをうかべる時の気持ちがよくわかります。

お世話になっている山室先生からも、送っていただき、2冊になりました。大事に、大事に読んでいます。

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言語論理教育の目指すものは、物事をできるだけ深く・広く考えて、総合的に判断し・評価をする能力をつけるということにある。これは、別の言葉でいえば「子どもに哲学を教える」ということに他ならない。

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3月11日

2012-03-11 | Education

3月11日 午後2時46分 今日は近くの河原を走っていました。少年野球チームやサッカーチームの子どもたちが練習しているグラウンド、土手の道にはたくさんのウォーキングとジョギングとサイクリングの人たち。しばらく走ると、ヘリコプターの着地できるヘリポートがあります。そこでは、ご年配の男性がひなたぼっこ。そこにあるゆったりした風景と、久しぶりのあたたかな太陽の日ざしが、そこにはありました。

 

3月に入ってから、選んで本を読んできました。

『それでも三月は、また』谷川俊太郎、多和田葉子、重松清、小川洋子、川上弘美、川上未映子、いしいしんじ、J・D・マクラッチー、池澤夏樹、角田光代、古川日出男、明川哲也、バリー・ユアグロー、佐伯一麦、阿部和重、村上龍、デイヴィッド・ピース 著(講談社)

17人の作家のアンソロジーです。明川哲也さんの「箱のはなし」は、通勤途中に読んで涙がこぼれてしまいました。

 

 

『人を助けるすんごい仕組みーボランティア経験のない僕が日本最大の支援組織をどうつくったか―』西條剛央著(ダイアモンド社)

数年前に西條さんの質的研究ワークショップに参加したことがあります。西條さんらしさが満ちあふれています。

『できることをしよう。―ぼくらが震災後に考えたこと―』糸井重里 ほぼ日刊イトイ新聞著(新潮社)

糸井さんは今日は気仙沼、志の輔師匠と3月25日には気仙沼で落語会を開くそうです。行きたかったですが残念ながらかないませんでした。

『萩尾望都作品集 なのはな』萩尾望都著(小学館)

書店で偶然手に取りました。比喩でありながら直球ストレートです。

しずかに勇気づけられ、小さな一歩を踏み出す力をもらいました。 

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ふわふわ

2012-03-10 | Education

村上春樹著『ふわふわ』講談社

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僕は世界中のたいていの猫が好きだけれど、この地上に生きているあらゆる種類の猫たちの中で、年老いた大きな雌猫がいちばん好きだ。

その猫が長い間使われていなかった広い風呂場を思わせるような、とてもひっそりとした広がりのある午後に、太陽の光のあふれた縁側で昼寝をしているとき、その隣にごろりと寝転ぶのが好きだ。

そこで目を閉じて、あらゆる考え事を頭から追いはらって、まるで僕自身が猫の一部になったような気持ちで、猫の毛のにおいをかぐのだ。猫の毛はすでに太陽の温かさをしっかりと吸いこんでいて、いのちというものの(おそらくは)いちばん美しい部分について、僕に教えてくれる。そんないのちの一部が数かぎりなく集まって、この世界のそのまた一部をつくりあげているのだということを、僕に知らせてくれる。この空間に存在しているものは、きっとどこか別の空間にも存在しているのだ。

僕はそのことを感じる。僕はやがて、ずっとあとでどこか別の場所で(思いもかけないような場所で)、それを知ることになるだろう。「なあんだ、ここにあったのか。」と。

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中学2年生の国語の教科書に掲載されている村上春樹さんの短編をめぐって、今日一日考えることになりました。

そして昨日は、立松和平さんの『海のいのち』について考えていました。

2日にわたって「いのち」をテーマにした文学作品について、多くの人たちと意見を交流することが、すべてつながっているのを感じました。「なあんだ、ここにあったのか。」と。

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ちはやふる

2012-03-03 | Education

今日は百人一首大会でした。

毎年学校代表3名が参加している行事です。今年は校内事情の関係で参加できないことになったのですが、思いがけず参加できることになりました。いろんな方が、参加したいという思いに動いてくださったことに感謝して、それでは結果を出そうと、子どもたちと毎日早朝練習の日々を過ごしていました。1回戦11枚差で勝利、2回戦、相手は昨年の準優勝校、最後に運命戦(互いに1枚ずつ残る)になって、最後敵陣を抜いて勝ったとき、相手チームは涙だったそうです。そして3回戦。同じように最後に運命戦になり、1枚差で敗れてしまいました。どれほどの緊張と集中力だったかと思うと、すべての選手に拍手を送りたい気持ちです。

その朝練のときに、この本が話題になりました。

『ちはやふる』末次由紀著(講談社)

講談社漫画賞などを受賞していて話題の本でしたが、大人買いするのはちょっとはばかられ、今まで手にしていませんでした。いやいや、おもしろいです。もったいなくて、ゆっくりゆっくり読んでいます。もっとはやく読めばよかった!!

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計画と無計画のあいだ

2012-03-01 | Education

『計画と無計画のあいだ』三島邦弘(ミシマ社)

いわずとしれたミシマ社の三島さんが書いた「自由が丘のほがらかな出版社」の話です。

ミシマ社通信にこの本のことが紹介されていました。また3月がきました。あの日から一年が過ぎようとしています。この出来事を契機にして書かれた本の一冊です。

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まっ白な紙の上に一本の線を引いてみる。

すっ。

それができたら、もう一本、最初の線より左側に引いてみよう。

すっ。

で、一本目の線を計画線とでも名づけるとする。この計画線は、決まり事、ルール、常識、規則、秩序、効率性、社会性あるいは防御(守り)、ブンダン主義といった事柄を表すライン。この一線より右側の部分は、絶対に守らなければいけないことや納得のいかない多数派の考えや意見なども含まれる。裏を返せば、このラインさえ守っていれば、あとは自由。

そして、二本目の線を無計画線と呼ぶことにしよう。この線は、文字通り、無計画、柔軟さ、突発性、衝動、無秩序、野生、攻撃、原点回帰といった事柄を表す。この線までは自分が無計画に動いても大丈夫。ただしそれより先は危険エリア。

この一本目と二本目の線にはさまれたスペースこそが、自由のスペースだ。

みなさんの自由は、どれくらいの広さですか。

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 「計画と無計画のあいだ」こそが「自由」

 

うーん、ここで先日読んだ本を思い出しました。

『どのような教育が「よい」教育か』苫野一徳著(講談社)

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公教育の本質をまず次のように定式化したいと思う。すなわち、「各人の<自由>および社会における<自由の相互承認>の<教養=力能>を通した実質化」。

私たちが<自由>になるためには、どうしても相応の<教養=力能>を獲得する必要がある。したがって諸個人の側から見れば、教育とは自らが<自由>になるための<教養=力能>育成を保障してくれるものである。他方この<教養=力能>の根幹をなすのは<自由の相互承認>の理解、つまりその内在化である。したがって社会の側から見れば、諸個人の<教養=力能>を育成することが、同時に社会における<自由の相互承認>をより実質化することに結びつく。

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孤独のグルメ

2012-02-26 | Education

孤独のグルメという番組が我が家のDVDに録画してあったのを見て、すっかりはまってしまいました。

東京のローカルな町の路地にある小さなお店の紹介番組はよくあります。この番組はそうではありません。物語なのです。

「井之頭五郎」という食べることにとてもこだわりをもつ人物の視点で描かれるドラマになっているところが新鮮です。そして、この主人公を演じる方が味があるのです。なんともまじめで、主人公らしくない雰囲気もとてもいいです。

この世界は、リアルでありながらフィクション仕立てになっている二重構造がおもしろいのですが、これは、なにか物語を解釈してリアルな世界とつないでいこうとする学習と似ているようにも思えます。どこかリアルを意識しながらフィクションにぐんと入っていくことや、フィクションを意識しながらリアルを再確認するような。

 

ずいぶん前のマンガが原作のようで、書店に立ち寄ったおりに発見しました。

原作:久住昌之 作画:谷口ジロー(扶桑社)

「モノを食べる時はね 誰にも邪魔されず 自由で なんていうか、救われてなきゃあ ダメなんだ」(帯より)

隣にあった「散歩もの」という同じ作者の本も買ってしまいました。歩いた風景と目にとまったできごとを淡々と描いています。これもしみじみおもしろいです。

 

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