A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。
takeshirata@gmail.com

【ご案内】写真( )

2017-06-16 12:42:16 | お知らせ
この度、大阪・The Third Gallery Ayaでに「写真(的)瞬間-吉田初三郎の鳥瞰図から映像メディアまで-」と題して、お話をさせて頂きます。
開催中の笹岡啓子展「PARK CITY」と合わせてお楽しみ頂けると幸いです。


第7回 
写真(的)瞬間
-吉田初三郎の鳥瞰図から映像メディアまで-
http://824ttga.tumblr.com/
日 時|2017年6月24日(土) 18:00–19:30
講 師|平田剛志 ( 美術批評)
場 所|The Third Gallery Aya
会 費|700円(1ドリンク付き/税込)
予約先|tamaki(at)thethirdgalleryaya.com / 06 6445 3557

The Third Gallery Aya 若手支援プロジェクト「824」のメンバー藤安淳、宇山聡範、福田真知は、「写真( )」というタイトルのもと、作家、評論家、キュレーターなど、写真にまつわる活動をしている方々を主にお招きし、定期的にトーク/レクチャーイベントを行っています。
第7 回目は、美術批評家である平田剛志氏をお招きし「写真( 的)瞬間 -吉田初三郎の鳥瞰図から映像メディアまで-」を開催いたします。
人はこれまでに「出来事」を様々な方法を用い、いつの時代も次世代へ残そうとしてきました。それは、記号、図、伝承、文字、地図、絵画、詩、写真、映像など時代によって変化しています。近代になり写真や映像というメディアがその役割を担い、一瞬の出来事=瞬間を記録するようになりました。平田氏の専門である鳥瞰図もその「出来事」を伝える方法の一つです。今回のレクチャーでは、鳥瞰図や写真、絵画、映像などを切り口にお話を伺いたいと思います。
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写真と鳥瞰図は似ている。どちらも「それはかつてあった」決定的瞬間(The Decisive Moment )であり、写された、描かれたプンクトゥム( 細部)へと注視させるからです。なかでも大正から昭和初期にかけて活躍した吉田初三郎(1884-1955)の鳥瞰図は「写真的瞬間」を感じさせます。初三郎の鳥瞰図には観光地や都市、鉄道の変遷が大胆かつ緻密に描かれ、近代日本の風景が記録されているからです。また、初三郎は関東大震災や広島への原子爆弾投下など、歴史的=決定的瞬間も描いています。本講では、吉田初三郎の原爆鳥瞰図を中心に、その制作意図や刊行目的、絵画や映像における「写真的瞬間」や記録性とは何かについて考えます。(平田剛志)

お問い合わせ先
The Third Gallery Aya 
大阪市西区江戸堀1-8-24若狭ビル2F
TEL/FAX:06-6445-3557
www.thethirdgalleryaya.com
824ttga.tumblr.com

追記

「爆心地の鳥瞰図――吉田初三郎の『HIROSHIMA』」
平田剛志

写真は原爆投下の瞬間を記録できなった。1945年8月6日、アメリカ軍は広島に世界で初めて原子爆弾を投下した際、カラーフィルムで撮影していた。だが、そのフィルムは現像に失敗し、記録は失われた。私たちがよく知る原爆投下後のキノコ雲の映像や写真は、別の爆撃機に同乗していた物理学者・ハロルド・アグニューが8ミリフィルムで記録していた映像であり、原爆投下の瞬間ではない。つまり、写真は歴史的瞬間を記録できなかった。

対して、原爆投下の瞬間を描いた鳥瞰図がある。鳥瞰図とは、鳥のような視点で斜め上空から立体的に描かれる地図の一種である。観光案内図や社寺、テーマパークの案内図で見覚えがあるかもしれない。凄惨な出来事とは無縁の観光地や都市がパノラマに描かれる鳥瞰図に原爆投下の瞬間が描かれたとは驚きである。描いたのは大正から昭和初期にかけて日本全国の鳥瞰図を1600点以上描いたとされる画家・吉田初三郎である。これまで目に触れる機会が少なかった作品だが、『photographers’ gallery press』(2014年、photographers’ gallery)での特集「爆心地の写真 1945-1952」に復刻掲載され、椹木野衣氏(美術評論家)が寄稿するなど、その記録性と表現性に再評価が高まっている。

初三郎の描く鳥瞰図は、ただの「地図」ではない。見えるはずのない地点まで描く大胆な構図と緻密な描写、色鮮やかな色彩と季節や遠近感を逸脱した独創的な鳥瞰図だからだ。その個性的な作風が着目され、近年では「鳥の目から世界を見る」(ボーダレス・アートミュージアムNO-MA、2015年)、「種差——よみがえれ浜の記憶」(青森県立美術館、2013年、笹岡啓子も出品)、「ラブラブショー」(十和田市現代美術館、2009年、吉田初三郎×秋山さやかとのコラボレーション)などの展覧会に出品され、鳥瞰図(地図)を越えた創造性が、観客を魅了している。

本レクチャーでは、1949(昭和24)年に広島図書が出版した英文のグラフ誌『HIROSHIMA』に掲載された吉田初三郎の挿絵・原爆鳥瞰図を取り上げ、「写真的瞬間」が描画された鳥瞰図の記録性について考察する。合わせて、同書の制作経緯や目的、初三郎がなぜ挿絵を描いたのかについて整理し、初三郎が描いた鳥瞰図・挿絵9点について分析を行なう。また、発行元である広島図書がなぜ同書を刊行したのか、刊行時の時代状況も踏まえて、制作意図や目的を検証する。
そもそも写真と鳥瞰図は、ともに固有の場所を撮影ないしは描画することである。だが、8月6日の原子爆弾投下の歴史的瞬間においては、写真は「瞬間」の記録に失敗した。歴史的瞬間を描いた鳥瞰図を考察することで、「写真(的)瞬間」とは何なのか。「広島」を撮るとは何かについて考え、原爆表象だけでなく、歴史的事件や瞬間、出来事を記録、表現することの可能性と不可能性について考える機会としたい。

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